グローカル外交ネット

令和元年9月27日

外交実務研究員 山名 毅史
(鳥取県から派遣)

1 はじめに

 私は,2018年4月より,鳥取県から外務省に派遣され,現在,欧州局日露経済室で勤務しております。このたび寄稿の機会をいただきましたので,簡単ではありますが,私の外務省での勤務を紹介させていただきます。

2 日露経済室の業務

(1)8項目の「協力プラン」の推進

(写真1)6月29日大阪で開催された日露交流年閉会式において,安倍総理が「日露地域・姉妹都市交流年」の開催について発表する様子 6月29日大阪で開催された日露交流年閉会式において,
安倍総理が「日露地域・姉妹都市交流年」の開催について発表する様子

 日露経済室は,その名のとおり日本とロシアの経済分野における互恵的な協力に関する業務を所掌しています。特に,2016年5月に安倍総理からプーチン大統領へ提示した8項目の「協力プラン」の推進のため,日露間の経済プロジェクトの具体化に向けた作業を進めています。私も,自らの担当である「医療」「農林水産」「地域間交流」といった分野において,関係省庁と連絡をとりながら日本企業や自治体の活動のフォローを日常的に行っております。私が担当する3つの分野はロシア側の関心が非常に高く,日々の業務は大変でありますが,契約や覚書,姉妹都市提携の成立など具体的に協力が進み,メディア等で報道されるのを見るとやりがいを感じます。

 特に,地域間交流は,近年活発であり,本年6月のG20大阪サミットの際に行われた日露首脳会談において,2020年から2021年にかけて「日露地域・姉妹都市交流年」(日露地域交流年)を開催することが発表されました。派遣元の鳥取県はロシア極東の沿海地方(州都ウラジオストク市)と姉妹都市の関係にあり,20年以上に亘り交流を続けておりますが,日露地域交流年を盛り上げるためには,このような地方自治体の活動がとても重要になります。外務省での勤務を通じて,ロシアに限らず,一見外交と無縁と思われる地方自治体の取り組みが国どうしの相互理解促進等広義の意味での外交において大きな影響があることを強く感じております。

(2)日本センター関連業務

(写真2)訪日研修の閉講式,修了証授与式の様子 訪日研修の閉講式,修了証授与式の様子

 ソビエト連邦崩壊後,ロシアでの経済改革の促進に向けた日本国政府による技術支援の一環として,ロシア国内6ヶ所に日本センターを設置しています。私は,日本センターが行う様々な事業を監督しサポートする業務を行っております。
 特に,ロシア人企業経営者等を対象に「カイゼン」や「廃棄物処理」といったテーマで年間12回実施している訪日研修事業は,研修実施のための業務量が膨大で大変でありますが,民間事業者や日本センターと協力しながら進めております。研修最終日の閉講式の場で満足感に満ちた研修生の姿を見ると嬉しい気持ちになります。

(3)要人往来/大型イベント業務

 両国の首脳や大臣等の要人が往来する際には,事務的な後方支援(いわゆるロジ)に従事しています。首脳会談の開催に合わせて,場合によっては,文書署名式や企業との懇談会など様々なイベントが行われますが,それらの行事の検討や参加者との連絡調整を行いました。着任した当初は,バタバタと対応に苦慮していましたが,私が着任してからのおよそ1年半の間だけで計6回の日露首脳会談が開催されたこともあり,少しずつではありますが慣れてきたところです。

3 おわりに

(写真3)霞ヶ関名物 深夜退庁者を待つタクシーの列 霞ヶ関名物 深夜退庁者を待つタクシーの列

 鳥取にいる頃,噂で聞いていました。霞ヶ関は激務だと。そして,外務省に来て聞きました。ロシア関係はとりわけ大変だと。確かに日露経済室の業務は,時に大量の業務に対してハイスピードな対応を求められ,辛く苦しいときもあります。しかしながら,前述のとおりやりがいを感じる業務も多々あります。また室員の仲はよく,仕事終わりには飲みに行ったり,(ロシアらしく)サウナに行ったりと,楽しく過ごしています。この貴重な機会を与えていただいた派遣元の鳥取県,また常日頃経験不足の私を優しくご指導くださるロシア課及び日露経済室の上司・同僚をはじめ,外務省でお世話になった全ての人にこの場を借りて御礼申し上げます。外務省本省での勤務も残り半年となりましたが,引き続きこの機会を生かし経験値を積めるよう精進して参ります。

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