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ソロバンが繋ぐ、トンガと日本(トンガ・ヴァヴァウ諸島-兵庫県小野市)
令和5年6月20日
トンガ王国駐箚特命全権大使 宗永健作
1 南太平洋唯一の独立王国、トンガ
トンガは南太平洋島嶼国の中では唯一、植民地経験のない国です。植民地ではないものの英国の保護国という位置づけで、外交権等は制限されていましたが1970年に独立し、独立と同時に我が国との国交も樹立されました。国王を国家元首とする立憲君主制の国です。
2 日本とトンガの繋がり

- (1)国交樹立の以前からトンガには日本人が訪れており、日系ファミリーの中には王族と姻戚関係があるものもあります。何より、南太平洋で唯一の王国として我が国皇室との繋がりは大変に強く、今の天皇陛下は皇太子時代に三度もトンガを訪問されておられます。
- (2)民間の繋がりの面では最近は何といってもラグビーですが、実はラグビーよりも先にトンガと日本を結びつけたのは“ソロバン”でした。先々代の国王トゥポウ4世が日本のソロバンをトンガの小学校に取り入れたのです。今もトンガでは国立小学校の3年生から6年生まで、“ソロバン”は算数の必修科目となっています。
3 トンガのソロバン教育を支え続けてきた播州ソロバン、兵庫県小野市からの寄贈
- (1)必修とはいえ、トンガにもともとソロバンはありません。ご想像通り、トンガのソロバン教育導入は日本からの支援がセットとなっていました。問題は“ソロバン”の数。人口10万人の国とはいえ、小学生一人に一丁ソロバンを持たせるのは容易ではありません。またトンガの所得水準からすればソロバンは高いものでした。
- (2)トンガのソロバン教育を支えてきたのは、関係者による技術指導ももちろんですが、日本の篤志団体からの数多くのソロバンの寄贈でした。中でも群を抜いているのが、播州ソロバンの産地、兵庫県小野市からの寄贈で、本年4月に届けられた千丁を合わせると、これまで1万丁ほどものソロバンが小野市から寄贈されています。
4 小野市とヴァヴァウ諸島との姉妹都市乃至友好都市提携に向けて

- (1)小野市からの長年にわたる数多くのソロバンの寄贈に、トンガは感謝のしるしとしてこれまで数多くの民芸品を小野市に贈ってきました。そしてこの度、トンガのヴァヴァウ諸島知事から、小野市との間での姉妹都市協定の可能性について内々の打診が大使館になされ、本年3月、日本で開かれた大使会議の機会をとらえて蓬莱小野市長にお会いし、この申し入れのご検討をお願いした次第です。

- (2)姉妹都市あるいは友好都市連携はあくまでも自治体のご判断であり、議会との関係もあることから今後の展開は小野市及びヴァヴァウ諸島の判断・協議に委ねられております。ただ、これまでの長年の経緯からトンガは南太平洋におけるまごうことなき親日国、友好国であり、また今後とも続く、播州ソロバンが取り持つ縁が小野市-ヴァヴァウ諸島の姉妹都市連携等に結び付くこととなれば、小野市-ヴァヴァウ諸島間はもちろんのこと、日本とトンガの連携・友好関係をより一層強固にするものとなることは間違いないと思われます。関係者の前向きなご検討を祈念するものです。