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芸術文化で一つになる日中韓 「東アジア文化都市2022大分県」
大分県 国際政策課 国際交流員
盧 知榮(ノ ジヨン)
1 東アジア文化都市
大分県では、今年の5月から「東アジア文化都市2022大分県」を開催しています。
「東アジア文化都市」とは、2012年の「第4回日中韓文化大臣会合」での合意に基づき、2014年から開始された文化交流事業で、日中韓の3か国において文化芸術による発展を目指す都市を選定し、都市間交流を含む様々な文化芸術行事を約1年間にわたり実施するものです。
本年は開催都市に日本の大分県、中国の温州市と済南市、韓国の慶州市が選定され、大分県では、5月22日に大分県別府市で行われた「東アジア文化都市2022大分県」の開幕式典をはじめとして、中韓の3都市とともに様々な芸術文化交流事業に取り組んでいます。
- 【プレ事業】 コシノジュンコ「原点から現点」 など
- 【コア事業】 TAOの丘 DRUM TAO スペシャルコラボライブ など
- 【連携事業】 東アジアの次世代交流 日韓子ども民俗芸能祭 など
2 芸術文化と大分県
大分県は、文化の創造に向け多様な取組を展開しています。
音楽では、世界的ピアニストのマルタ・アルゲリッチさんを大分にお迎えし、「別府アルゲリッチ音楽祭」を20年以上にわたって開催しています。また、美術の分野では、「大分アジア彫刻展」として、アジアの新進彫刻家の登竜門となる彫刻展を1992年からビエンナーレ形式で開催しています。
この度、9月16日から10月10日まで「東アジア文化都市2022大分県」のコア事業の一つとして、韓国の慶州市と連携し、慶州エキスポ大公園内の文化センターで「大分アジア彫刻展」の過去の受賞作品を展示する紹介展を開催しました。
それに伴い、彫刻作品の現地での設置及び撤収のため、9月から10月にかけて2回、慶州市を訪れました。そこで、ここからは当事業について、大分県庁所属の国際交流員の視点から紹介します。
3 大分アジア彫刻展の紹介展(於:韓国 慶州市)


「大分アジア彫刻展」には、韓国をはじめ、アジア各地から毎回多数のアーティストに参加していただいています。今回の紹介展では、韓国のアーティスト2名の作品を含めた計10点の受賞作品を展示することになりました。
現在の新型コロナウイルス感染状況の下で、大分県は展示会の開催に向けて、慶州市とオンラインで緊密に連絡を取り合いながら、順調に準備を進めていきました。幸いにも、慶州市側から渡韓や現地視察に必要な情報を提供してもらうなど積極的な協力もあり、無事韓国に入国し作品を設置することができました。
作品の設置は、「展示のレイアウト・輸送した作品の確認・設置」の順で行われ、5時間程度かかりました。慶州市からの情報によると、設置後、多くの方が彫刻鑑賞のために会場を訪れており、彫刻の質の高さや発想力に感銘を受けているとのことです。これを機に韓国を含め、海外の方々に日本や大分について興味を持ってもらえればと期待しています。
4 持続的な交流に向けて

紹介展が開催された慶州エキスポ大公園では、慶州市の東アジア文化都市の事業として、各交流都市の文化(民族衣装など)を灯籠で表現し、夜にライトアップする事業、「豊かさを伝える東アジアの灯り」も実施されていました。
この事業では、各交流都市を象徴する提灯を持ち歩くことで、自然に日中韓の文化に触れることができました。イベントを楽しんでいる方々を見て、「まずはこのように『異文化に触れられる』機会を作ることが大事だ」と思いました。
大分県では、県民に芸術文化を通じて異文化に触れる機会を設け、民間レベルによる日中韓の交流を促し、友好関係を築いていくとともに、大分県の文化芸術の魅力や文化的な価値を発信するために、当事業に取り組んできました。今後もこのようなネットワークを活かし、各交流都市と文化芸術をはじめ、産業・観光など様々な分野における都市間交流を積極的かつ持続的に実施していきたいと思います。