グローカル外交ネット

令和4年6月22日

東京都大田区 国際都市・多文化共生推進課
国際交流員(CIR) ベサニー・カミングス

1 はじめに

 私は、東京都大田区国際都市・多文化共生推進課で国際交流員(CIR)として働いているベサニー・カミングスです。英国ウェールズの南海岸にあるポースコールという街の出身です。小さな街で、人口は約1万6千人です。子どもの頃、よく日本のアニメやドラマを見ていたことがきっかけで、日本に興味を持ち始めました。高校生の頃から日本文学や美術、音楽等にも興味を持ち、日本語を勉強しはじめ、高校卒業後、スコットランドにあるエディンバラ大学で日本語学とアジア学を専攻することに決めました。
 大学1年生の頃に、旅行で初めて日本を訪れ、京都・大阪・滋賀に行きました。1週間という短い旅行ではありましたが、子どもの頃から憧れていた日本を訪れることができて嬉しかったですし、実際に日本人と日本語で話すこともでき、最高に楽しかったです。旅行後はスコットランドに帰り、日本への旅行のおかげでやる気満々で日本語の勉強を続けることができました。
 大学3年生の頃に、岡山県にある岡山大学で10か月の交換留学をする機会がありました。留学中は、たくさんの友だちを作り、シェアハウス生活やアルバイト、ボランティア活動、部活等を通じて、様々な素晴らしい経験ができ、本当に充実した10か月でした。留学後、スコットランドに帰ってから将来のキャリアを考えはじめましたが、やはり日本に住んで仕事をしたいと思い、JETプログラムに応募しました。嬉しいことに、合格することができたので、2018年7月に大学を卒業して8月に来日し、大田区で国際交流員としての勤務を始めました。

2 「国際都市おおた」の実現を将来像として掲げる大田区

 大田区は、1947年に当時の大森区と蒲田区が一緒になって誕生しました。東京都の東南部に位置し、東京23区で面積が最も広いです。東京湾と多摩川に囲まれ、豊かな水と自然に恵まれている都市です。臨海部には世界有数の発着便数を誇る日本の空の玄関口である羽田空港(東京国際空港)があり、区内には2022年1月1日現在、約122の国と地域から来日した2万3,102人の外国人が住んでいます。国内外の都市との交流も積極的に行っています。
 このような環境において、大田区は、基本構想で掲げる区の将来像、「地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市おおた」の実現に向け、2017年3月12日の大田区制70周年記念式典のなかで、「国際都市おおた宣言」を行いました。それ以来、大田区は、「観光」「多文化共生」「産業」の3つを柱に、区民の皆さんと一緒に国際化を進めていくことを目指して取り組んでいます。

3 国際都市・多文化共生推進課での勤務

(写真1)橋の上で着物姿で話す様子 「春宵の響」で通訳する様子
(写真2)学校での活動の様子 小中学校での国際理解教育

 大田区は、2015年から東京23区で初めて国際交流員を採用しており、私は3代目です。業務内容としては、主に文化や言語の架け橋として、区民や職員のサポートを行っています。言葉の壁で困っている方への負担を減らすお手伝いとして、英語での文書作成や日本語と英語の翻訳を通じて、区内の情報が外国籍の方々にも広く伝わるように努力しています。その他、区のイベントでの通訳や、外国人来庁者の通訳等も行っており、姉妹都市アメリカ合衆国マサチューセッツ州セーラム市との交流に関する翻訳や、訪問団来日時は通訳者として随行しています。コロナ禍の近年においては、新型コロナウイルスやワクチン等に関する大切な情報の翻訳業務に力を入れ、正確な情報が迅速に伝わるように心がけています。
 国際交流と多文化共生の推進のための業務としては、様々な分野の大田区の魅力や情報についての区内外向けPR、小中学校での国際理解教育等をはじめとした、区在住・在勤・在学の方への母国文化の紹介、区に18ある特別出張所で実施する国際都市事業(日本人と外国人の交流を深めるための活動)などを行っています。

4 国際交流員として感じた「大田区」

(写真3)勝海舟のパネルと一緒に 勝海舟記念館を訪問

 私は、現在大田区には住んでいませんが、大田区の国際交流員として働いた4年間のうちに、大田区の様々な場所に足を運び、大田区で様々な経験をすることができたので、ここでは、国際交流員として感じた「大田区」をご紹介します。
 日本に来る前、「東京」と聞くと、渋谷・新宿・六本木のような大きな繁華街を想像していたため、「騒がしくて住みにくい」というイメージがありましたが、大田区に来て、東京都内でも実際そうではないところがたくさんあると気づきました。大田区は、静かな住宅街や町工場があり、蘇峰公園、洗足池公園、多摩川台公園等のように、きれいな公園も多く、ゆっくりと散歩ができる場所がたくさんあるという点が魅力的です。
 また、大田区には、美術館や寺院、神社、そして地域独特のお祭りが数多くあり、東京で最も文化的・歴史的な場所の一つだと言われています。大田区内には都内最多の銭湯があり、しかもその約半数が美人の湯ともいわれる「黒湯」を楽しめる温泉です。私が初めて黒湯に入った時に湯の色を見て驚きましたが、入湯後に肌がすべすべになっており、本当に美肌効果があってびっくりしました。
 最後になりますが、個人的に大田区の大きな魅力だと感じるのは、大田区の食文化とグルメです。職場は蒲田にあり、近くにお寿司やラーメン、とんかつなどの和食の他、インド、中華、タイ、スリランカ等の多国籍な料理が楽しめます。もちろん、蒲田グルメで外せないのは、蒲田発祥と言われている「羽根つき餃子」です。「羽根つき餃子」がメニューにあるお店はたくさんあり、お店によって様々な味も楽しめます。

5 最後に

 大田区で4年働いて、国際交流員の仕事を通じて様々な場所に行き、様々な経験ができました。国際交流員としての任期が今年8月に満了するため、転職するのですが、まだ東京にはいる予定なので、引き続き大田区の国際交流・多文化共生推進を応援していきたいと思います。

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