グローカル外交ネット

令和4年5月25日

在ベナン日本国大使館
埼玉県幸手市

1 はじめに

 2018年4月、アデチュブ駐日ベナン共和国特命全権大使(当時)が埼玉県幸手市の「幸手桜まつり」を訪問したことをきっかけに、ホストタウンとしての交流についての協議を重ね、同年7月24日、ベナン共和国は同市と「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした交流事業の合意書」を取り交わしました。
同合意書では、ベナン人選手などと幸手市民との交流を深めるため、文化やスポーツに関する様々な交流を図ることが約束されました。

2 大使館によるホストタウン交流の側面支援事業

 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、在ベナン日本国大使館の年刊広報資料「BENI」にて、ホストタウン事業特集ページを設置しました。2020年度版では幸手市のプロフィールや名所、ベナン人3名の同市訪問とその交流イベントについて、2021年度版では幸手市におけるベナン紹介情報や、ベナン人記者による同市市長オンラインインタビューの様子について紹介し、ベナン政府高官をはじめとした関係者に配布しました。
 また同市出身の当館派遣員を中心に、2020年には当館Facebookにて幸手市に関連する日本文化紹介記事の発出を行いました。さらに、ベナン人日本政府国費留学生の協力の下、幸手市におけるベナン紹介展示への素材提供のため、幸手市民宛てにベナンや両国の共通点・相違点の紹介等のメッセージビデオを同市市役所社会教育課(当時ホストタウン担当)に送付しました。

3 幸手市におけるホストタウン交流事業

(1)2019年における空手家ガニエロ氏、音楽学校CIAMOのド・スザ氏及びチアぺ氏の招へい、文化交流事業等

(写真1)空手の演武の様子 空手の演武の様子

 2019年、国の支援を受けて、幸手市は2月にベナンで活躍する空手家ガニエロ氏と音楽学校CIAMOのド・スザ氏、8月に同学校のチアペ氏をお招きしました。空手の演武や和太鼓の演奏を通じて市民との交流が実現し、親睦を深める貴重な機会となりました。

(写真2)千羽鶴と寄せ書きされた国旗を持って集合写真 子どもたちからのメッセージをアデチュブ大使(当時:写真中央)に届けた 幸手市長ら

 2021年7月、幸手市立行幸小学校と幸手市立さくら小学校の児童たちは、ベナンの公用語であるフランス語でベナンの国旗に応援メッセージを寄せ書きし、お手紙や千羽鶴などと一緒に駐日ベナン共和国大使館へ贈りました。

(2)オリンピック特別展示でのベナン紹介、代表選手団紹介

 2019年3月、幸手市役所本庁舎の正面玄関・ロビー内において「ベナン共和国の紹介コーナー」が設置されました。主な展示物は民芸品や現地の風景写真などで、ベナン共和国の文化や伝統が紹介されました。

(3)月刊広報紙「さって」におけるベナン紹介記事

 2020年8月号から2021年7月号まで、幸手市月刊広報紙「さって」に在ベナン日本国大使館が提供したベナンの文化を紹介する記事が掲載されました。記事は、幸手市民がベナンに興味を持ち、五輪選手団と親しむきっかけとなるような内容としました。

4 ベナンのオリンピック出場選手と子どもたちとのオンライン交流

(写真3)ビデオを見るヤリゴ選手 子どもたちのメッセージビデオを見るヤリゴ選手

 幸手市の「かけっこ陸上クラブ」(小学生対象)が活動する陸上競技場を運営するシンコースポーツ株式会社は、幸手市によるベナンの紹介に関心を持ち、在ベナン日本国大使館の協力の下、同クラブの小学生とオリンピックベナン代表ノエリー・ヤリゴ選手(Noelie Yarigo)(陸上女子800m)とのメッセージビデオ交換「夢の懸け橋」を実施しました。かけっこ陸上クラブに所属する小学校高学年の児童から送られたビデオではヤリゴ選手への質問が投げかけられ、ヤリゴ選手からはそれらの質問に対して回答してもらいました。
 鑑賞会は2022年3月に2回に分けて行われ、同クラブで活動する児童及び保護者を含む計約60人が参加しました。同社担当者からは「児童にとってヤリゴ選手との交流は非常に貴重でありがたい経験となったので感謝するとともに、今後もぜひベナンのアスリートとの多岐にわたる交流を続けていきたい」旨が伝えられました。また、本鑑賞会の様子は2022年4月15日付の埼東よみうり新聞にも取り上げられました。

5 今後の交流の展望

 ベナンと幸手市との東京オリンピック・パラリンピック大会期間中の対面での交流は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため残念ながら中止となってしまいましたが、その中でもできるようなオンラインでの交流や広報紙を通じた両国の文化紹介などを実現させてきました。今後も情勢に鑑み、さらなる交流の可能性について、検討していきます。

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