グローカル外交ネット

令和4年2月28日

神奈川県国際文化観光局国際課

1 神奈川県とベトナムとの交流の活発化

 近年ベトナムは経済成長が著しく、ビジネス、観光や人材交流等様々な分野において日本との交流が活発になっています。神奈川県においても令和3年1月1日現在、2万6千人を超えるベトナム人が県内で暮らしており、平成27年度と比べ約2.4倍に増加しています。また、令和3年10月1日現在、県内の外国人労働者数の約20%がベトナム人となる等、日常生活やビジネスにおいてベトナム人と接する機会が多くなっています。
 本県では、平成25年に黒岩神奈川県知事が駐日ベトナム大使と会談を行ったこと等を契機としてベトナムとの交流が活発化し、様々な分野で交流が進んでいます。

2 「ベトナムフェスタ in 神奈川」と「神奈川フェスティバル in ハノイ」

(写真1)イベントの様子 左:ベトナムフェスタ in 神奈川でのベトナム人アーティストのライブ
右:神奈川フェスティバル in ハノイでのよさこい

 交流を進めていくに当たっては、各分野で個別に交流を深めていくだけでなく、各事業をつなぎ、効果的に交流を深めていけるような取組も重要です。そこで、平成27年9月、幅広い分野での人の交流及び企業交流を促進するため、横浜市内においてベトナム交流イベント「ベトナムフェスタ in 神奈川」を開催することとなりました。
 このイベントでは、ベトナムの伝統芸能「水上人形劇」や伝統的な歌や踊り、最新の音楽、ベトナムの遊びの紹介や、学生によるベトナム研究発表等、様々な角度からベトナムに親近感を感じられるようなプログラムを実施してきました。
 本イベントは令和元年度までに5回開催し、延べ160万人を超える方々にご来場いただくことができ、秋の恒例イベントとして地域に根付きつつあります。
 さらに、平成30年度には、ベトナム国内における神奈川県、県内観光地、県内事業者等の知名度、認知度を向上させ、観光、ビジネス、留学生の誘致等、より一層交流を深めていくため、ベトナムの首都・ハノイ市において「神奈川フェスティバル in ハノイ」を開催しました。令和元年度と合わせ2回開催し、14万人を超えるベトナム現地の方々に、日本及び神奈川県に触れていただくことができました。

3 コロナ禍における交流

(写真2)イオンスタイル東戸塚でのパネル展に来場したナム大使 「かながわ・ベトナム パネル展」を視察する黒岩知事とナム大使
(写真3)握手する黒岩知事とチン首相 黒岩知事とチン首相との会談

 令和2年度以降は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、両イベントを開催することができませんでした。特に令和2年度は、ベトナム関連事業をほとんど実施することができず、これまでの交流で築き上げてきたベトナムとの関係性を維持することが難しくなり、相互理解が進まなくなってしまうのではないかと不安を抱く時期となりました。
 そこで、コロナ禍においても、ベトナムとの相互理解を深め、これまで培ってきた絆を維持・発展させていくため、令和3年度は、新たに「かながわ・ベトナム パネル展」を開催することとしました。
 このパネル展は、「ベトナムフェスタin神奈川」等、これまでの本県とベトナムとの交流や県内で努力を続けるベトナム人の皆さまを紹介することにより、ベトナムの文化や人柄を県民の皆さまに知ってもらい、地域内における共生促進に寄与することを目的としています。本県と包括連携協定等を締結している事業者に御協力いただき、県内4か所(イオンスタイル東戸塚、首都高速道路・大黒PA、東名高速道路・EXPASA海老名、神奈川県庁(注))で実施するもので、開催にあたっては、駐日ベトナム大使館にも御協力をいただきました。
 本パネル展では、「ベトナムフェスタ in 神奈川」等での交流や神奈川県内で学び、働いているベトナム人の皆さまをご紹介するパネルを展示するとともに、ベトナムの景色・文化・食等を知ることができるパネル展示、ベトナムの民族衣装「アオザイ」の展示、日越交流テーマソング「青」の動画放映や、ベトナム語の絵本展示等を行いました。
 イオンスタイル東戸塚での最初のパネル展には、ヴー・ホン・ナム駐日ベトナム大使にもご来場いただきました。小規模な取組ではありましたが、コロナ禍で今までのような交流やベトナムの紹介が難しい中、本県がパネル展を開催することに感謝の言葉をいただきました。
 パネル展を見た来場者の方からは、「コロナ禍の今、外国(日本)で頑張って生活して、働いて、本当に偉いわね」といったお話をいただくことができる等、県内における相互理解に少しでも寄与できる機会になったのではないかと思います。
 令和3年11月には、ファム・ミン・チン・ベトナム首相が就任後初めて来日しました。その際、黒岩知事もチン首相と面会する機会をいただき、会談を行いました。チン首相からは、これまでの「ベトナムフェスタ in 神奈川」の開催等を高く評価しており、引き続きベトナムとの交流を行ってほしい、また、県内に在住しているベトナム人の支援に力を入れてほしい、といった期待の言葉をいただきました。
 また、チン首相と一緒に来日されたグエン・チー・ズン計画投資大臣とも会談を行い、更なる経済交流について意見交換を行いました。

4 今後の交流の取組

 コロナ禍においても県内在住のベトナム人数は増加し、日常で接する機会も増えています。今回のパネル展やチン首相との会談等を通じて、今後も引き続きベトナムとの交流を続けていくことが重要であると改めて認識することができました。
 新型コロナウイルス感染症の収束がなかなか見えない中、これまで実施してきた「ベトナムフェスタ in 神奈川」と「神奈川フェスティバル in ハノイ」の開催については、今後の状況をしっかりと見極めた上で、コロナ禍でも可能な形式での開催を目指しています。一方で、今回開催したパネル展等のような小さな取組でも、地域における交流や相互理解を少なからず得られることを知ることができました。その時々の状況に応じた取組を展開することで、引き続きベトナムの皆さまとともに生活し、ビジネス等で互いに成功を収められるよう、本県としても取り組んでいきます。

(注)神奈川県庁でのパネル展は、3月上旬に開催予定です。

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