グローカル外交ネット

令和4年2月18日

福島県国際課

1 はじめに

 福島県では、復興五輪と位置付けられた東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会での野球・ソフトボール競技の観戦に合わせて、駐日外交団の皆様を本県視察に招待する事業を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でやむを得ず中止となりました。
 しかし、東日本大震災と原発事故から10年が経過した節目に、これまで各国から頂いてきた心温まる御支援や数々の応援に対して感謝の思いをお伝えするとともに、復興に向けて挑戦を続ける「ふくしまの今」を実感していただきたいという思いから、令和4年1月、改めて駐日外交団の皆様を本県視察に招待するツアーを実施しました。(1月13日~14日、1月18日~19日の2回に分けて実施)

2 視察ツアー内容について

 今回の視察ツアーでは、東日本大震災からの10年を振り返るとともに、復興が着実に進んでいる「ふくしま」の姿を実感し、理解を深めていただく行程を用意しました。
 具体的な訪問先としては、東日本大震災・原子力災害伝承館や震災遺構浪江町立請戸小学校では、震災当時の状況やその後の対応の記録を御覧いただきました。また、インフラや災害現場など実際の使用環境を再現し、ロボットの性能評価や操縦訓練等を行うことができる世界に類を見ない施設である福島ロボットテストフィールドでは、会津大学によるロボットのデモンストレーションが披露されました。
 さらに、東京2020オリンピック競技大会の聖火リレーがスタートしたJヴィレッジや聖火台の燃料として使用された水素を製造した福島水素エネルギー研究フィールドなど、東京大会ゆかりの場所も巡りました。
 この他、福島県農業総合センターでは、県産食品の放射線モニタリングによる安全・安心の取組を、奥の松酒造では工場・酒蔵ギャラリーを視察いただきました。放射線モニタリングの視察では、外交団から「検査基準の厳しさに驚いた。情報の共有や継続的な発信が重要と感じた。」という感想があった他、酒蔵ギャラリーでは、「とても美味しい。」と日本酒を試飲・購入する姿が見られ、福島が誇る日本酒の魅力を味わっていただきました。

3 想定外の幕開け

 第1回視察ツアー初日の朝、懸念していた降雪もなく天候に恵まれました。参加者全員が無事に東京駅に集合し、あとは我々が福島駅でお迎えするばかりという矢先、東北新幹線が運転見合わせという一報が届きました。運転再開の案内も二転三転し、見通しが立たないため、急きょ貸切バスを手配し、約4時間をかけて東京から福島県へお越しいただくこととなりました。
 視察ツアーに参加された駐日外交団からは、「こんなトラブルが起きた中でも、福島県は素早く対処した。おかげで我々は福島を訪れ、福島が復興に挑戦する姿を見て、学ぶことができている。これは、福島の復興の歩みを誰も止めることができないという象徴のように感じる。」とのお言葉もいただきました。
 また、このような状況にもかかわらず、上杉外務大臣政務官にも東京から福島県農業総合センターへ駆けつけていただき、駐日外交団の皆様に向けて輸入規制の撤廃や風評被害の払拭に向けて理解と協力を求めていただくとともに、食品の放射線モニタリングの視察にも参加いただきました。

4 おわりに

 今回の視察事業では、2回のツアーに計27か国35名の駐日外交団の皆様に参加いただきました。各視察先では、強い関心を持って案内・説明をお聞きいただき、質疑応答が盛んに行われました。参加された皆様からは、「福島が経験した震災の教訓や復興が進んでいる現状を本国にも発信したい。」、「福島県のほとんどの地域での生活がほぼ正常に戻っていることがわかってよかった。それは県民の活力と回復力を示している。」といった声を伺うことができました。
 東日本大震災から10年余りが経過した今もなお、海外における「Fukushima」への風評は根強く残っています。風評を払拭し、震災の記憶の風化を防止するため、今後も、様々な主体と連携しながら、海外に向けて本県の正確な情報を発信し続けていきます。

視察ツアー訪問先

  • 福島県営あづま総合体育館(2回目のみ)
  • 奥の松酒造(2回目のみ)
  • 福島県農業総合センター
  • Jヴィレッジ
  • 東日本大震災・原子力災害伝承館
  • 震災遺構・浪江町立請戸小学校
  • 福島水素エネルギー研究フィールド
  • 福島ロボットテストフィールド
  • 株式会社テラ・ラボ
(写真1)駐日外交団の皆様と上杉外務大臣政務官 農業総合センターでの記念写真
(写真2)説明を聞く人々 東日本大震災・原子力災害伝承館を視察する様子
(写真3)ロボットのデモンストレーションを見る人々 会津大学による陸上ロボットのデモンストレーション(福島ロボットテストフィールド)
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