グローカル外交ネット

令和3年3月24日

長野県林務部

1 はじめに

 長野県は、本州のほぼ中央に位置するいわゆる内陸県で、森林面積は約106万ヘクタール、県土の約8割を豊かな森林に覆われた、全国有数の「森林県(森林面積:全国第3位)」です。
 先人たちのたゆまぬ努力により育成が進められた結果、本県の森林資源はかつてないほど充実し、いよいよ「森林を育てる時代」から「森林を利用する時代」に移り変わりつつありますが、素材(木材)生産量は、全国でも中位(素材(木材)生産量:全国第15位)に留まっていることから、「森林県」から言わば「林業県」への飛躍に向けて、様々な取組を推進しています。
 その一環として、本県では平成25年度より林業先進国「オーストリア」と、令和元年度には国際競争力の高い森林関連産業を形成している「フィンランド」と覚書を締結し、人材交流、情報交換などの連携・交流を行ってきました。
 今回は、そうした森林・林業分野での長野県と海外先進国との連携事例をご紹介します。

2 オーストリアとの連携

(写真1)平成30年8月 林業現場の視察(オーストリア グラーツ) 平成30年8月 林業現場の視察(オーストリア グラーツ)
(写真2)令和元年8月 次世代森林産業展2019(長野県長野市) 令和元年8月 次世代森林産業展2019(長野県長野市)

林業立国オーストリア

 オーストリアは、本県のように急峻な地形を有する内陸国であるにも関わらず、最先端技術を用いて豊富な森林資源を様々に活用し、木材製品を世界中に輸出している林業先進国です。本県は、オーストリアの政府機関等と締結した技術交流に関する覚書に基づき、様々な取組を進めてきました。

覚書の締結

締結者 覚書締結期間
長野県林務部、信州大学農学部、オーストリア連邦森林・自然災害・景観研究研修センターの3者 平成25年10月~令和5年8月(平成30年8月に期間更新)
長野県とオーストリア共和国サスティナビリティ・観光省(旧農林環境水資源管理省)の2者 平成27年10月~令和6年10月(令和元年10月に再締結)

連携事例

 覚書締結を契機として、下記のような連携・交流の取組が、県内で着実に拡がっています。

  • (1)オーストリアで行われる研修への県内林業技術者の参加や、山地防災に関する技術者の交流
  • (2)大規模な林業関係国際展示会を長野県で開催し(国際ウッドフェア2017、次世代森林産業展2019)、国内外の最先端の技術を県内に普及
  • (3)高性能な林業機械やバイオマスボイラーの県内への導入

連携の成果

  • 県内において、エネルギー効率の高い木質バイオマス利用システムの普及や、林業現場での安全対策の向上、より高性能な林業機械の導入等が促進されています。
  • また、オーストリア側にとっても、自国製品や技術等の国際展開が促進されるなど、相互にとって有意義な連携・交流となっています。

3 フィンランドとの連携

(写真3)令和元年10月 覚書締結(北カルヤラ県) 令和元年10月 覚書締結(北カルヤラ県)

 ICT等の積極的活用などを通じて、国際競争力の高い森林関連産業を形成しているフィンランドの中で、森林関連の研究・教育機関が集積している同国北カルヤラ県と令和元年10月(期間5年)に技術交流に関する覚書を締結しました。
 今後は、世界最先端の森林管理技術や、家具や建築物の優れたデザイン、再生可能な資源の利活用等に関する技術交流等を集中的に進めることとしています。

4 今後の展望

 令和2年度は、新型コロナウイルスの感染拡大により、具体的な連携が進めにくい状況となってしまいましたが、実施方法を工夫しながら、引き続き海外先進国の最先端の技術や知識等の本県への導入・定着を進めることで、効率的で持続可能な森林管理を実現するなど、「林業県」への飛躍に向けた取組を加速させていきます。
 加えて、海外先進国の事例を参考に、森林を関連産業(観光、健康、環境、教育等)と結び付けることで、森林の多面的な利活用による地域の活性化にも取り組んでいきます。

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