グローカル外交ネット

令和2年7月27日

在トンガ日本国大使館

1 花の種子で児童らを支援

(写真1)ひまわりの世話をする児童ら ひまわりの世話をする児童ら
(写真2)アテレ小学校のひまわり畑 アテレ小学校のひまわり畑

 南太平洋に浮かぶ小さな島国であるトンガは、緑豊かな国ですが、花の種類はそれほど多くありません。しかし、現在は、国内の公立小学校10校で、小さなひまわり畑が見ごろとなっています。
 このひまわりは、昨年、「情操教育に力を入れたい」というトンガ教育省の要望を知った秋田県大館市内の小学校が、在トンガ日本国大使館を通じて提供した秋田県産の種子から咲いたものです。
 昨年10月、これらの種子がトンガに届き、トンガの児童らは喜んで生育計画を立て、植え付けを始めましたが、同時に、近隣諸国で流行し出したはしかの影響で学校が休校となってしまいました。それでもトンガの児童有志らは、水やりのために学校を訪れ、生育を諦めませんでした。
 2020年2月、試行錯誤を経て、ついにトンガにひまわりが咲き誇りました。自ら工夫し、新しい経験を通じて達成感を得た児童らは、笑顔いっぱいで喜びました。

2 ひまわり二代目の生育、感謝の手紙

 同小学校からは、生育方法に加え、種子の採取方法等の説明書が送られたため、トンガの多くの児童は、秋田県産ひまわり二代目の生育に意欲を示しました。
 大洋州は、世界でも新型コロナウイルスによる被害の少ない地域ですが、この時期、この地域で最も人の往来が多い豪州とニュージーランドで感染者が出ていました。幸い、今のところ(7月7日現在)新型コロナウイルスの感染者はトンガでは発生していませんが、予防のため外出禁止や国境封鎖等の様々な措置が取られました。
 この状況により、児童らの計画は再び頓挫し、多くの種子は育ちませんでした。感謝の手紙も用意しましたが、発送する手段はなくなりました。それでも児童らは諦めませんでした。
 本年5月、本島東部にあるアテレ小学校は、再び生育計画を立て始めました。そして、7月上旬、様々な苦難を乗り越えた児童らの想いは、満開のひまわりとして実を結びました。

3 『新型コロナウイルスに負けないで』

(写真3)トンガからの励ましの手紙の内容を聞く児童ら トンガからの励ましの手紙の内容を聞く児童ら

 トンガの国内人口は約10万人ですが、それ以上のトンガ人が海外で出稼ぎ労働を行っていると言われています。そんな彼らにとって「国境封鎖」とは、大切な家族に会えないことを意味しています。
 トンガの児童らは、自身の辛い思いを他者への思いやりに変え、大館市内の児童らに宛て、新たに手紙を書きました。
 「新型コロナウイルスの影響はつらいですが、皆さんもそれに負けないでください。」
 これらの手紙は、大使館と外務省の連携により、無事、大館市内の小学校に届きました。

 南国に咲いた小さなひまわり畑は、両国の児童の友情の証となるととともに、未来の交流のきっかけとなったのです。

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