グローカル外交ネット

令和2年7月20日

外交実務研修員 岩佐 陵平
(北海道から派遣)

1 はじめに

 私は、2019年4月に北海道から外務省に派遣され、現在欧州局日露経済室で勤務しております。2年間の本省勤務も折り返し地点を過ぎ、寄稿の機会をいただきましたので、当室での勤務を振り返って御紹介したいと思います。

2 日露経済室での業務

(写真1)日露観光当局間で40万人目標を共有 (観光庁ホームページより) 日露観光当局間で40万人目標を共有
(観光庁ホームページより)

 日露経済室では、2016年5月に安倍総理からプーチン大統領へ提示した8項目の「協力プラン」を推進するため、日露間の経済プロジェクトの具体化に向けた作業を進めています。
 私は、「運輸」「観光」「産業多様化」といった分野を担当しており、日露の省庁間で行うプロジェクトや日本企業が行うロシアビジネスのフォローを日常的に行っています。例えば、2023年までに日露の訪問者数を40万人とするという目標は、日露の観光当局間で覚書として形になっているのですが、私もこの覚書を作成する過程に関わらせていただきました。2019年6月に両首脳立ち会いの下で署名文書として交換されたときには、無事に仕事を終えられた安堵感とともに、報道でも取り上げられるような大きな仕事に携わることができた喜びを感じました。
 また、両国の首脳や大臣等の要人が往来する際には、事務的な後方支援(いわゆるロジ)にも従事させていただいております。宿舎の手配、移動手段の確保、現地での連絡方法の確認等、一見当たり前のように見えることですが、ロジでは完璧さが求められ、ここでつまずくと要人の会談日程にも影響してしまいます。報道では総理の発言や会談の内容しか取り上げられることはありませんが、こうしたロジ業務の積み重ねが外交を支えていることを強く実感しました。

3 2年間の勤務を通して

(写真2)モスクワで行われた貿易経済に関する日露政府間委員会第15回会合の様子 モスクワで行われた貿易経済に関する
日露政府間委員会第15回会合の様子

 赴任した当初は、仕事を指示されても疑問だらけで進められないということが続き、本当に自分で仕事が進められるようになるか不安で仕方がありませんでした。また、道庁にいたときには定型的な仕事が多かったので、定型的な仕事がほぼない当室の業務は想像を絶するものでした。このようなストレス(?)にも打ち勝ち、様々な仕事をこなす中で、徐々にではありますが、自分なりの仕事の進め方ができるようになってきたのではないかと思っております。
 しかしながら、外務省職員の皆さんの能力は非常に高く、私自身まだまだ研鑽が必要と感じております。非常に短時間で質の高い仕事を行う能力、外交的に切ることができるカードを見つける能力、そしてそれを切るタイミングを計る能力・・・枚挙にいとまがありませんが、こうした優秀な方々と一緒に勤務できたことは私の人生の財産となることを確信しています。

4 終わりに

(写真3)モスクワ「赤の広場」に建つ 「聖ワシリイ大聖堂」 モスクワ「赤の広場」に建つ 「聖ワシリイ大聖堂」

 赴任早々、室内の仲間たちからロシア流のおもてなし(サウナ)を受けて思いました、これが外務省か、と。冗談はさておき、気の置けない仲間たちが居てくれたおかげで、時には辛い業務も乗り越えられ、充実した生活が送れています。
 貴重な機会を与えていただいた外務省及び北海道、ご迷惑をおかけしても温かく見守り、ご指導いただいたロシア課及び日露経済室の皆様には、この場を借りて御礼申し上げます。
 本省での勤務も残りわずかとなりましたが、貴重な時間を大切に、少しでも成長できるように精進したいと思います。

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