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蕎麦をきっかけにした姉妹都市
(富山県南砺市とネパール連邦民主共和国ツクチェ村の交流)
外務省地方連携推進室
富山県南砺市は県内南西部に位置する市であり、2004(平成16)年に、ユネスコ世界文化遺産にも登録されている五箇山の合掌造り集落がある旧上平村をはじめ、8つの町村が合併する形で誕生しました。
ツクチェ村との交流は、南砺市の合併前の利賀村の時代に始まりました。利賀村では、昔から冬になると「ごんべ」と呼ばれる蕎麦会が村内の各地で開かれる風習があり、現在も冬の時期に、地域を上げた一大イベントとして南砺利賀そば祭りが開催されています。(令和2年2月は積雪量不足のため中止)
利賀村がツクチェ村と知り合ったのはこの蕎麦がきっかけ。1988(昭和63)年、当時の利賀村では村立100周年を記念し、蕎麦の食文化を紹介する「そばの郷」構想が計画されており世界の蕎麦文化を探るため、有名な蕎麦の原産地のひとつであるツクチェ村に利賀村から友好交流調査団を派遣。平成元年には、ツクチェ村で多くの村民が見守る中、友好調印式が行われ、2つの村は姉妹都市となりました。
1990(平成2)年に、旧利賀村では、ネパールからの資料の展示をはじめとした蕎麦の資料館の見学から蕎麦打ち体験までできる「そばの郷」がオープン。
1992(平成4)年には、利賀村で世界そば博覧会が開かれ、ツクチェ村からの一行も来村し、会期中にツクチェの蕎麦料理を参加者に振る舞いました。
また、日本とネパールとの国交成立40周年を記念する1996(平成8)年には、利賀・ツクチェ村おこし交流展inネパールが開催されるなど、両村は交流を深めていきました。
また、蕎麦のみならず、2つの村は文化的にも交流を行っていました。友好調印後、利賀村はチベット仏教の信仰の深いツクチェ村出身の画僧を招き、約1年半に渡る長い時間をかけ、大曼荼羅と仏教画を作成し、村内にこれらを展示する瞑想の館を開館。現在に至るまで、ツクチェ村との友好のシンボルとして存在しております。
2004(平成16)年の新市移行後も、利賀村とツクチェ村との交流を南砺市が引き継ぐ形で交流を続けており、ツクチェ村からの研修生の受け入れなどを実施してきました。蕎麦がきっかけとなって始まった交流は、今日に至るまで途切れることなく続いています。