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ドイツ・ラール市笠間焼展覧会オープニングセレモニーに参加して
友好都市との文化交流の記録
茨城県笠間市産業経済部商工課
はじめに

ドイツ国内では唯一,菊まつりを軸とした観光施策によって,国内外から観光地として知られるようになったラール市。そのラール市と笠間市の交流が始まったのは,今から10年以上前に日本最古の菊まつりのメイン会場である笠間稲荷神社との縁がきっかけでした。以後,交流を深め平成30年に友好都市協定を締結しています。
今回は,ラール市から,笠間市の地場産業の一つである“笠間焼”を題材にした展覧会開催にあたってのオープニングセレモニーへ招待を受け,笠間焼のPR及び文化の交流,並びに新ラール市長との親睦を深めるため,笠間市長,笠間市議会議長,笠間焼作家と市職員2名で,令和2年1月16日から20日までの期間でドイツを訪問しました。
笠間焼とは
東京から一番近く,東日本を代表する焼き物の一大産地として知られる笠間焼。
陶芸家が個性を自由に発揮できる土地柄は,伝統的なスタイルや現代的な表現,様々な素材から生まれる新しい技法といった,幅広い作品づくりを引き出し,多彩な焼き物に出会えるのが魅力となっています。
まちを巡ると,販売店やギャラリー,カフェ,レストランが軒を連ね,昔ながらの民藝品や伝統にとらわれない自由で個性的な作品に出会え,作家が創るうつわや生活雑貨,オブジェなどの美しい生活造形が,食卓や空間への豊かな彩りを容易に想像させるなど,訪れる人の五感を楽しませています。
毎年,ゴールデンウィーク期間中に開催される「笠間の陶炎祭(ひまつり)」では,50万人を超える来場者を誇り,その方々を魅了し続けています。
世界に羽ばたけ、笠間焼

笠間市では,これまでに地場産業の振興のため,笠間焼の魅力を国外へ発信するなど海外販路開拓への取組みを支援してきました。
直接的な活動としては,ニューヨーク,フランス,ドイツでの笠間焼展覧会や,イギリスでの試験販売や陶磁器産地との交流。間接的な活動としては,タイのメーファールアン財団への笠間焼作家による技術支援活動等を行ってきました。また,視点を変えた国内外へのPRとしては,焼き物文化を軸にしたストーリー構成による「日本遺産」認定を目指す取組み等により,更なる地域活性化への展開を図っています。
今回は,ドイツで更に笠間焼をPRする機会ととらえて訪独しています。
笠間焼展覧会オープニングセレモニー
茨城工芸会の協力のもと,笠間焼作家(13人)の作品による展覧会のオープニングセレモニーに出席しました。作家としては,第23回桂宮賜杯で大賞を受賞した井上英基氏(ドイツでの3年間の活動実績があります)が出席しました。
ラール市長夫妻をはじめとする方々約80名が出席され,盛大に開催されました。
笠間焼の展示はラール市では初めてで,井上氏に対しての質問も多く,出席者は強い関心を示していました。また,井上氏による手びねりの参加型デモンストレーションでは,両市長がぐい飲みを作り,見栄え良く出来上がると会場は大いに盛り上がりました。
参加された方々の,笠間焼への真剣な眼差しがとても印象的で,日本の文化,笠間焼の作風を感じていただけたと実感した瞬間でした。
今後の展望

ラール市の菊装飾を参考に,建物全体を菊で装飾するなど改良を加えると,華やかさが増し来場者からは大好評を得ました。文化交流の成果です。
今後の両市の交流について,両市長は友好都市協定に基づき園芸と文化,観光の分野で協力を強化しつつ,多方面にわたって相互交流を発展させていくとともに,更なる友好を深めることを約束し,訪問団は帰路につきました。
本市の目指す将来像『文化交流都市かさま 未来への挑戦』の実現のため,両市の特徴を生かした,互いに有益な交流促進への取組みを進めてまいります。