グローカル外交ネット
21世紀の鹿児島の若者を英国へ
薩摩スチューデント派遣事業
鹿児島県観光・文化スポーツ部
国際交流課
1 薩摩スチューデント派遣事業とは
薩摩スチューデント派遣事業は、グローバルに活躍する人材の育成を目的として、ロンドン・カムデン区にあるユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)及びケンブリッジ大学で実施されるプログラム「UCL-Japan Youth Challenge」に本県高校生が参加すると同時に、友好協定提携先であるロンドン・カムデン区やマンチェスター市を訪問する事業です。
UCL-Japan Youth Challengeは、近代日本の礎を築いた薩摩藩の英国留学生が1865年にUCLで学んだ150周年を記念して、2015年に開始されました。鹿児島県では、2018年7月から8月にかけて、明治維新150周年の記念事業として県内の高校生等19名を英国に派遣しました。2019年以降も、県内の高校生を広く募り、これまでに本県から12名が事業へ参加しています。
2 薩摩藩英国留学生

19世紀半ばの生麦事件や薩英戦争など、英国と薩摩の出会いは必ずしも友好的なものではありませんでした。しかし、1863年の薩英戦争で英国の軍事力を目の当たりにした薩摩藩は、翌年には英語や海軍の技術を学ばせるため開成所を設立し、さらに翌年、その中から優秀な学生を選抜して英国に留学させました。
使節を含む19名の若者たちは、学問や技術にとどまらず、西洋の社会システムや文明そのものを習得し、帰国後、初代文部大臣となった森有礼をはじめ、政治・経済・軍事・文化・学問などさまざまな分野で近代日本の国づくりに大きく貢献しました。
3 ロンドン・カムデン区との友好協定締結

当時、出国から2か月あまりの航海を経てロンドンに到着した留学生達は、人種や宗教にこだわらず広く門戸を開いていたUCLに入学し、必死に勉学に励みました。
明治維新から150周年を迎えた2018年、英国と鹿児島県は歴史的にも深い関係があることを踏まえ、当時の鹿児島県知事や県議会議長らが英国を訪問し、7月18日にUCLのあるロンドン・カムデン区と友好協定を結びました。
なお、鹿児島県は、幕末に薩摩藩の五代友厚が木綿紡績機械購入と紡績技師派遣の契約を行ったゆかりのあるマンチェスター市とも友好協定を結んでいます。
4 2023年度の事業

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、同プログラムがオンラインで実施となった年もありましたが、今年度は4年ぶりに現地開催となり、鹿児島県内の高校生2名と引率教員1名が訪英しました。
今年のプログラムでは、「グローバル社会のレジリエンス」をテーマに、大学の講師陣から英語での講義を受けたり、グループディスカッションやプレゼンテーションを行いました。
参加した高校生からは、他県からの参加者や英国の高校生など、それぞれバックグラウンドの違うメンバーと一緒に共通の課題に取り組むことで、コミュニケーション力やお互いの意見を尊重することの大切さ、広い視点で物事を考える重要性を学ぶ良い機会となったとの声が寄せられました。
これまでに英国に派遣された生徒の今後の活躍が期待されるとともに、今後の薩摩スチューデント派遣事業が一層鹿児島県の高校生の英国や世界に対する見聞を広める契機となることを願っています。