グローカル外交ネット

令和5年8月16日

寄稿者:丸亀市国際交流協会
大久保あい

 この度、ドイツ連邦共和国ノルトライン=ヴェストファーレン州ヴィリッヒ市と香川県丸亀市が姉妹都市提携しましたので、以下にその内容を紹介いたします。

1 両市の概要

ヴィリッヒ市:人口約51,000人、面積約68平方キロメートル

 ドイツ連邦共和国西部のノルトライン=ヴェストファーレン州、フィア―ゼン地区内、州都デュッセルドルフ市から西に約30キロメートルのところに位置しています。
 豊かな田園風景が広がるまちで、白アスパラガスやジャガイモなどの農産物や、欧州各地のサッカー場で使用される芝の生産が盛んです。また、欧州最大の工業団地の一つであるミュンヒハイデ工業団地があり日本企業も進出しています。
 市庁舎でもあるネールゼン城は、約800年前に建てられ、広大な庭園があり、全国的に有名な野外演劇祭が開催されるなど、行政の中心地および文化の中心地として機能しています。

丸亀市:人口約108,000人、面積約111平方キロメートル

 香川県の中西部に位置しており、北に面した風光明媚な瀬戸内海と南に連なる讃岐山脈に囲まれた讃岐平野の一部と、瀬戸内海に広がる塩飽諸島の一部から成ります。
 市のシンボルである丸亀城は、築城400年を超え、「石垣の名城」として有名で、現存十二天守の一つでもあり市民に広く親しまれています。伝統工芸品である丸亀うちわは、江戸時代に金毘羅参りのお土産として生産され、現在では全国シェア9割を誇る地場産業として根付いております。また、第一次世界大戦中に300人余りのドイツ兵が、2年5か月間、丸亀俘虜収容所(本願寺塩屋別院)で俘虜生活を送りました。

2 姉妹都市提携までの経緯について

 ヴィリッヒ市では1970年代に欧州最大の工業団地の一つであるミュンヒハイデ工業団地の建設が始まりました。日本企業も進出し始め、1982年にはヴィリッヒ日本クラブが誕生しました。また、2002年に就任した神余隆博在デュッセルドルフ総領事(当時)が丸亀高校出身ということもあり、ヴィリッヒ日本クラブの催し等での交流を通して、丸亀市との繋がりが生まれました。
 平成29年には丸亀市の学校法人藤井学園とヴィリッヒ市の中等教育学校聖ベルンハント・ギムナジウムとが姉妹校提携を結び、学生間交流も行われました。これにより、両市の繋がりが深まり、市民レベルでの都市間交流を意識し始めました。
 平成30年には、ヴィリッヒ市のネールゼン城で両市が「友情表明」に署名をし、両市の市民や団体、特に青少年の出会いを奨励し、相互理解にもとづく良き友好関係を固めることを宣言しました。その後、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けながらも、互いの文化や伝統を理解し合い交流を続け、令和4年にヴィリッヒ市代表団が丸亀市を訪問し、姉妹都市提携について合意しました。

姉妹都市提携の調印式会場

3 姉妹都市提携の調印式

 令和5年7月7日(ドイツ時刻)、ヴィリッヒ市の企業起業センターにて姉妹都市提携の調印式を行いました。調印式には、丸亀市長、市議会議長ら約20名をはじめ総勢約100名が出席。オープニングでは、ヴィリッヒ市のスポーツクラブによる和太鼓演奏やヴィリッヒ市在住の日本人ご夫婦によるクラッシック音楽演奏が披露されました。ヴィリッヒ市長の挨拶では、「今日の様に多様性のある世界では、相互理解の重要性を認識することで紛争を克服し未来を築くことが出来る。両市が共同して相互理解の橋を築くことで、世界に良い影響を及ぼし、世界平和に貢献できる。」と述べました。また、丸亀市長は、「七夕という特別な日を新たな出発点として、これまでの交流で築いてきた信頼関係のもと、様々な分野における交流を一歩ずつ進めていきたい。末永くお付き合い下さい。」と述べました。河原在デュッセルドルフ総領事からも祝福の言葉を頂き、両市長による調印後、ドイツと日本の国歌が斉唱されました。その後、記念品贈呈が行われ、懇親会へと移りました。懐かしい人と再会を喜び合う姿、新しい出会いを喜ぶ姿など、姉妹都市提携という歴史的な瞬間を出席者全員で祝いました。

両市長による調印風景

4 今後の交流にかける期待と展望について

 ヴィリッヒ市と丸亀市との姉妹都市提携のニュースは、ノルトライン=ヴェストファーレン州の州都デュッセルドルフ市に本社を置く大手地方紙にも大きく取り上げられました。日本とノルトライン=ヴェストファーレン州は長年に渡り繋がりを持ち続けておりますが、民間レベルでの交流が少なく、今回の様な姉妹都市提携こそがドイツと日本の二か国間の関係強化に貢献する、という期待を感じました。
 文化、スポーツ、産業、経済、教育、特に青少年の出会いなど幅広い分野における交流を、両市民によって、持続可能な形で一歩ずつ進めていきたいと思います。
 そのためには、まず両市民がお互いに姉妹都市であることを認識し、お互いを特別な存在として意識し合えるように努めることが大切だと思っております。調印式後、丸亀市役所1階ロビーにて、協定書や記念品、記念植樹プレート、パネル、写真などの展示を行い、来庁者にヴィリッヒ市を紹介いたしました。

友情の木(日本エンジュ)を記念植樹
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