グローカル外交ネット

令和5年4月17日

在グアテマラ日本国大使館

 グアテマラは、太平洋とカリブ海の双方に面しメキシコの南側に位置する中米の国です。日本でもグアテマラの高品質のコーヒーは大変人気で、また、マヤ文明のピラミッド群もあります。
 今回は、ホストタウン登録をきっかけに始まりオリンピック後も活発に継続している、グアテマラと奈良県田原本町、そして北海道恵庭市とのスポーツ交流をご紹介します。

1 奈良県田原本町とのホストタウン交流

(1)背景とホストタウン交流会

 奈良県田原本町とグアテマラ共和国は、古代の歴史遺産や農業などを通じたつながりがあることから、2019年8月22日、ホストタウン関係となりました。ホストタウン登録後、2020年1月、グアテマラ・オリンピック委員会会長ほか関係者が同町を訪問し交流イベント「グアテマラ・デー」が開催されたり、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、田原本町からグアテマラへの応援メッセージや5,000枚以上のマスクやアルコール消毒ジェルなどが寄付されたほか、ビデオ・メッセージの交換やグアテマラ選手団と町民のオンライン交流会等を通じて交流を深めてきました。

(2)バドミントン関連用品の寄贈

 本年1月31日には、田原本町のイニシアティブで日本全国から集められたラケット等のバドミントン関連用品がグアテマラ・バドミントン連盟に供与されました。
 これは、田原本町にはバドミントン専用体育館が存在し全国大会が定期的に開催される等、バドミントン競技が盛んに取り組まれているほか、東京2020大会にて、グアテマラ・バドミントン選手のケビン・コルドン選手がグアテマラ最高成績である4位を獲得したことがきっかけとなっています。
 ホストタウン交流の一環として、田原本町が日本全国へ寄付を呼び掛けて下さり、バドミントン・ラケット141本とシャトル151個、ラケット用カバー・バッグ12個、グリップ交換用ゴム6個を集め、グアテマラのバドミントン連盟に寄贈していただきました。

(写真1)バドミントン用具寄贈式の様子 (写真1)バドミントン用具寄贈式
(写真2)ケビン・コルドン選手 ケビン・コルドン選手(右)

 バドミントン連盟によると、ケビン・コルドン選手のオリンピック等での活躍からバドミントンに取り組んでみたいと思う国民は増えているそうですが、ラケットとシャトルは米国等の海外で注文し購入する必要があるため、時間とお金がかかります。今回、田原本町から寄贈されたラケットやシャトルは、首都を含む16県に存在するバドミントン協会を通じて各地に届けられ、多くのアスリートや青少年に提供され大変喜ばれました。
 ケビン・コルドン選手も「今回の供与により、グアテマラ全国の子供たちがバドミントンを楽しむ機会を得ることができます。田原本町からの寄贈に心から感謝します。オリンピックを契機に始まった田原本町とグアテマラの友好関係が継続しているのは非常に喜ばしく、今後も交流が続くことを願っています。」とのメッセージを送るとともに、日本のバドミントン技術のレベルの高さに感銘を受け、今後日本人コーチとの契約を考えていると嬉しそうにお話してくださいました。

2 北海道恵庭市とのホストタウン・スポーツ交流

(1)グアテマラ代表競歩チームの恵庭市合宿

 グアテマラは2020年12月、恵庭市とホストタウン提携を行いました。恵庭市では陸上競技が活発に行われており、グアテマラ・オリンピック代表団競歩チームの事前合宿地となりました。グアテマラにとって競歩は特別な競技で、2012年のロンドン・オリンピックでエリック・バロンド選手がグアテマラで初めて、かつ唯一のオリンピック・メダル(銀メダル)を獲得しています。
 恵庭市とグアテマラは、オリンピックの事前合宿や大会中の応援を通じ、また大会後の恵庭市での市民との文化交流会で交流を深めてきました。そして現在も、グアテマラ陸上選手や連盟を通じ様々な形で交流を継続しています。

(2)オンライン交流会

 本年3月3日、グアテマラ陸上連盟は北海道恵庭市と陸上選手らとのオンライン交流会を実施しました。交流会には、恵庭市から子供達や市役所職員20人ほどが参加し、グアテマラからは東京2020大会に出場した競歩のホセ・バロンド選手やホセ・オルティス選手、グアテマラ陸上連盟関係者、ユース選手、山元在グアテマラ日本国特命全権大使ほかが参加しました。
 交流会では、恵庭市の観光名所や特産品についての紹介、オリンピック後に恵庭市で開催されたグアテマラ人競歩選手団と市民の交流会の様子を振り返るプレゼンテーションが行われたほか、恵庭市の子供達からグアテマラ人アスリートらへの質問コーナーが設けられ、親睦を深めました。また、東京2020大会の際に恵庭市に滞在したグアテマラ人競歩選手達は、恵庭市民との交流会で当時日本食や浴衣を着た思い出の映像を懐かしい様子で楽しんでいました。

(写真3)グアテマラ陸上連盟とオンライン交流会している恵庭市の皆さんの様子 (写真2)恵庭市とグアテマラ陸上連盟のオンライン交流会
(写真4)恵庭市とオンライン交流会しているグアテマラ陸上連盟皆さんの様子

(3)スポーツ用具の寄贈

 恵庭市では、オリンピック期間中に日本のテレビで放映されたグアテマラのエリック・バロンド選手の「子供たちが武器の代わりにスポーツシューズを手にとってくれることを願う」という言葉に深く賛同し、貧困問題を抱えるグアテマラでも熱心にスポーツに取り組んでいる子供たちのスポーツ支援を目的として、スポーツ用品寄贈のプロジェクトが生まれました。同プロジェクトを通じ、たくさんの恵庭市民から、グアテマラで特に不足しているシューズやジャージ、ウインドブレーカー等、多数のスポーツ用品を寄付していただき、3月3日、陸上連盟への引渡式が行われました。
 スポーツ用品の寄贈を通じ、グアテマラの多くの青少年がスポーツに取り組み、一生懸命練習に打ち込み心身を鍛えることで、非行に走らずチームで団結してプレーする楽しさを知ってもらえることを期待しています。
 3月16日には、一時用務帰国中の山元大使が恵庭市を訪問し、原田市長と横道副市長を表敬、寄贈スポーツ用品を受け取ったグアテマラのアスリートや児童、陸上連盟からのお礼のメッセージを伝達しました。

(写真5)北海道恵庭市からの寄贈スポーツ用品の引渡式(写真:CDAG提供)の様子 (写真3)北海道恵庭市からの寄贈スポーツ用品の引渡式(写真:CDAG提供)
(写真6)スポーツ用品を受け取る少年の様子

 今後も在グアテマラ日本国大使館では、奈良県田原本町と北海道恵庭市とのホストタウン関係を通じ、両自治体とのスポーツ文化交流を更に深めていけるよう、ともに取り組んでまいります。

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