グローカル外交ネット

令和5年2月24日

在バングラデシュ日本国大使館

1 はじめに 

 みなさんバングラデシュをご存じでしょうか。インドとミャンマーに挟まれた北海道2つ分(日本の約4割)の国土に1億7000万人近くの人々が暮らす、世界有数の人口過密国家です。多くの人には貧困や水害といったマイナスのイメージが強いかもしれません。しかし、ここ10年余りは着実に経済成長を続けており、2026年には後発開発途上国(最貧国)を脱して、これまで東南アジア諸国やインドが成し遂げてきたような発展が期待されています。昨2022年に日本との外交関係樹立50周年を迎えたほか、ダッカ市民に大歓迎されている首都初のメトロ交通をはじめ、港湾・空港・発電所などの大型インフラ整備は日本によって積極的な支援が行われています。
 工業団地には若く豊富な働き手を集めた縫製工場が建ち並んでいます。ユニクロなどのファストファッションのタグをよく見ると「バングラデシュ製」と書かれていることも少なくありません。また、日本で働くバングラデシュの人々も多く、その労働力に期待されています。
 このように経済協力や企業進出が進んでいる一方で、両国間で友好都市は残念ながらまだひとつもありません。こうした中、徳島県鳴門市と首都ダッカに近いナラヤンガンジ市とが長年交流を行ってきています。これは、2009年以来同市において縫製品の原料調達から完成品まで一貫して製造する工場を運営する(株)丸久の本社が鳴門市にあることから、日バングラデシュ協会理事でもある平石社長が牽引役となって発展させてきました。
 コロナ禍以前から、鳴門市長のバングラデシュ訪問や協力覚書による提携等、両市は順調に友好都市関係提携に向けて関係を構築してきました。また、コロナ禍においても、鳴門市からの救援物が送られるなど、両市の関係発展の機運を維持するための努力がなされてきました。

2 岩間大使の鳴門市訪問

 新たにバングラデシュに赴任することとなった、岩間在バングラデシュ日本国特命全権大使(以下、岩間大使)は、赴任を前にした2022年12月6日・7日に鳴門市を訪問しました。岩間大使は、ドイツ大使館勤務時代の2018年に「鳴門の第九100周年」関連行事で鳴門市を訪れており、2回目の訪問となりました。4年ぶりに再会した泉市長からは、「2020年1月にナラヤンガンジ市を訪問した際の歓迎ぶりを今も良く覚えている、バングラデシュとの関係は文化交流のみならず、経済面での実際的な関係強化という要素がある」などの発言がありました。また、東(あずま)市議会議長(当時)は、「コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻等,国際情勢は不透明な状況が続くが,それゆえに、より一層地域同士の友好協力の推進は重要と考えている」と述べました。
 また、コロナ規制の緩和に伴い、徳島日本バングラデシュ友好協会総会が3年ぶりに対面で実施され、岩間大使は同協会幹部と意見交換を行いました。意見交換では、バングラデシュからの人材受入れについての準備状況の報告が行われました。総会では、中岸友好協会会長(前鳴門市商工会議所会頭)より、会員の多くの参加を得たことへの感謝とともに、活動再活性化に向けた弾みとなったとの発言がなされました。

3 経済効果のある友好都市交流に向けて

 友好都市関係の正式調印に向けての機運が高まる中、岩間大使の訪問は、こうした動きを後押しするものとして,泉市長はじめ鳴門市関係者により歓迎されました。
 また友好都市調印プロセス再開という意味合いにとどまらず、経済面での交流に関する具体的なステップについて鳴門市関係者の意見交換が進展しました。特に鳴門商工会議所は地方での人手不足解消の一環として、バングラデシュよりIT人材や特定技能分野に関する受け入れに関心を寄せている中、同友好協会幹部は同市商工会議所会頭はじめとする幹部で構成されています。岩間大使の来訪に合わせた情報交換・意見交換を通じて、友好都市関係提携後の具体的な成果について速やかに検討していくことが確認されました。

4 草の根レベルの関係強化への期待

 最貧国から世界有数の消費地へ。バングラデシュのさらなる成長に向けた視線は熱く、日本のニュースで同国に触れる機会は今後増えていくと思います。そしてバングラデシュ人は、独立前後における日本の人道支援や国家としていち早く認めてくれたことに対して強い感謝の念を抱いており、日本に対するまなざしは敬意に満ちています。両国関係が中央政府レベルのみならずあらゆるレベルで発展していくことは、日本の将来にとっても大きな価値を生み出します。地方連携の強化はその大きな柱となります。これからも日バングラデシュの草の根交流を支援していきたいと考えています。

(写真1)鳴門市役所内での意見交換のようす 鳴門市役所訪問
(泉市長・東市議会議長(当時)他との意見交換)
(写真2)泉市長との記念写真 泉市長とともに
(写真3)徳島日本バングラデシュ友好協会総会の様子 徳島日本バングラデシュ友好協会総会
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