グローカル外交ネット

令和5年2月16日

松戸市経済振興部国際推進課

概要

 松戸市は、令和4年11月30日、ドミニカ共和国コンスタンサ市と姉妹都市に準ずるパートナーシップ協定を結びました。日本とドミニカ共和国の自治体による都市間協定は全国初となります。
 コロナ禍であったため、調印式はオンラインで開催しました。両国初の都市間協定ということもあり、在ドミニカ共和国日本国大使館高木昌弘特命全権大使、駐日ドミニカ共和国大使館ロバート・タカタ特命全権大使に証人として署名いただきました。また、ドミニカ共和国外務省ホセ・フリオ・ゴメス副大臣には、ドミニカ共和国本国より来日いただき、証人として署名いただきました。
 両市は、本協定に基づき、農業、スポーツ、教育、文化、環境の5分野において連携を強化することとなりました。

  • (写真1)オンラインによる調印式の様子(日本側)。前列は市立松戸高校生徒。
    (写真1)在ドミニカ共和国日本国大使館高木昌弘特命全権大使、駐日ドミニカ共和国大使館ロバート・タカタ特命全権大使、ドミニカ共和国外務省ホセ・フリオ・ゴメス副大臣と市立松戸高校生徒によるオンラインによる調印式の様子(日本側)。

きっかけ

 両市の交流は、平成27年に外務省と共催した「駐日外交団による地方視察ツアー」において、参加した駐日ドミニカ共和国公使が、本市の特産品である梨の味を大変気に入ったことから始まりました。ツアー後、ドミニカ共和国より農村部の貧困層を支援するために、梨を同国の新しい農作物として導入することについて正式に要請がありました。その要請に応えることが、本市の国際化を進める上で、大きな効果があるとの判断の下、平成28年、同国農地庁をカウンターパートとして、コンスタンサ市で梨栽培支援を開始しました。
 その後、令和2年には、本郷谷健次松戸市長がコンスタンサ市を訪問し、両市の友好の証として桜の木を寄贈し、コンスタンサ市長とともに現地に桜の木を植樹しました。街路に植えられた桜の木は、コンスタンサ市で大切に育てられています。令和3年に開催された東京2020オリンピック競技大会においては、本市は同国のホストタウンを務め、テコンドー選手の事前キャンプを受け入れました。令和4年12月には、外務省の「草の根・人間の安全保障無償資金協力」の枠組みで、コンスタンサ市へ中古消防車の寄贈を実現し、本市消防局職員が現地にて使用方法の指導を実施するなど、交流の輪は様々に広がっています。

協定の内容

 パートナーシップ協定では、農業、スポーツ、教育、文化、環境の5分野において連携を強化することをうたっています。

農業

 交流のきっかけである梨栽培支援事業は、平成28年開始以来、ドミニカ共和国の政権交代によるカウンターパートの変更やコロナ禍で海外渡航ができない期間を乗り越え、交流の中心事業として行っています。この事業は、梨の育種や国内外で栽培指導をしている東洋梨育種研究家の田中茂氏の協力の下進めています。ドミニカ共和国では、同氏が開発した病気に強い「秋ゴールド」と「秋のほほえみ」という2種類の梨を栽培しています。梨の栽培は、簡単に覚えられるものではありませんので、年に2から3回、田中氏に現地の生育状況の確認と指導を行うため、ドミニカ共和国へ訪問してもらっています。また、同国の農地庁職員や農業関係者を招いて、千葉大学園芸学部等の協力も得ながら、本邦研修も年1回実施しています。
 本事業は、令和3年に独立行政法人国際協力機構(JICA)草の根技術協力事業として採択され、令和4年4月よりJICA共同事業として新たなスタートを切りました。体制を強化するために、田中氏に加え、千葉大学、観光梨園組合連合会、日本・ドミニカ共和国友好親善協会、松戸市観光協会、松戸市国際交流協会からなるプロジェクトチームを結成しました。また、東京農業大学博士課程に在籍する出沼大輔氏に、現地に駐在してもらうことで、田中氏が渡航しない期間も圃場の管理や技術指導をすることを可能にしました。本市の特産品の梨の栽培支援を継続し、ドミニカ共和国の農家の所得向上及び「まつどの梨」のブランド力向上を目指します。

(写真2)本市の観光梨園でたわわに実った梨を見ている様子 (写真2)駐日ドミニカ共和国大使等が本市の観光梨園を訪問。ドミニカ共和国の国旗の色でプロジェクトのTシャツを作成。
(写真3)田中茂氏とドミニカ共和国農地庁長官がコンスタンサ市で梨の苗木を植樹している様子 (写真3)田中茂氏とドミニカ共和国農地庁長官がコンスタンサ市で梨の苗木を植樹。

スポーツ

 ドミニカ共和国は日本球界にも多くの野球選手を輩出しています。ホストタウン交流のレガシーとして、テコンドーや野球を通じたスポーツ交流の拡大について協議を行う予定です。

教育

 市立松戸高校国際人文科の選択科目としてスペイン語(ドミニカ共和国の公用語)があることから、スペイン語を通じた交流を行うことを協議するとともに、千葉大学とドミニカ共和国の大学による大学間連携を目指しています。

文化

 市内の様々なイベントで、ドミニカ共和国の無形文化遺産であるダンス「メレンゲ」と「バチャータ」をはじめとした文化紹介を実施し、普段触れることの少ない地球の反対側の底抜けに明るいラテン文化に出会う機会を創出していきたいと考えています。

環境

 ともにSDGs達成を目指すため、両市の環境に関する取り組みについて情報共有を行っていきます。

今後への期待

 梨の栽培支援から始まった両市・両国の関係は、両国の多くの人々と協力のもと、さまざまな分野に広がっています。今後、一つ一つの交流がしっかりと定着するとともに、益々の交流が広がるよう努めてまいります。

グローカル外交ネットへ戻る