グローカル外交ネット

令和4年12月22日

駐コートジボワール日本国特命全権大使
一方井 克哉

1 コートジボワールの大使として

 2022年1月にコートジボワールに着任してから1年近く、政府要人や各層の方々と交流を重ねる中で、これまで多くの日本人が現地の社会経済発展、国民生活の向上及び日本との友好関係増進に尽力してきたこと、また、そのことがいかにコートジボワールの政府や国民から感謝、評価されているかを強く印象付けられてきました。
 自分自身、国民同士が一層身近に感じられるよう、自治体や市民レベルでのスポーツ・文化・学術分野等の交流を進めることが極めて効果的であると感じているところです。

2 岩手県盛岡市及び西和賀町を訪問

 私は、日本に一時帰国していた2022年10月に岩手県盛岡市と西和賀町を訪問しました。盛岡市では達増(たっそ)知事と会談したほか、岩手県各自治体のホストタウン関係者との意見交換を実施しました。盛岡市はカナダ及びマリと、スキーで有名な八幡平市はルワンダと、大船渡市は米国とそれぞれホストタウンの連携を結んでいます。達増知事からは、コートジボワールの開発計画と岩手県の地域振興の取り組みには相通ずるところがあるとの示唆をいただきました。また、ホストタウン関係者からは、今後の取り組みに対する意欲やこれまで携ってきた中での課題等を率直に述べていただいたほか、自治体による国際交流における日本大使館の関与に強い期待を表明いただきました。さらに、盛岡市出身の私自身に対しても強い期待と激励をいただく機会となりました。

(写真1)達増岩手県知事との記念写真の様子 (写真1)達増岩手県知事訪問

 また、コートジボワールのホストタウンの1つである岩手県西部の西和賀町も訪問し、内記(ないき)町長と会談したほか、深澤晟雄(ふかさわまさお)資料館を訪問しました。
 昨年町長に就任した内記町長からは、コートジボワールを含む国際交流への強い意欲を語っていただきました。また、深澤晟雄資料館は西和賀町が合併前の沢内村であった時代に、深澤村長が高齢者や子どもの医療費の無料化や村民ぐるみのコミュニティ保健政策を打ち出し、村の乳児死亡率を劇的に改善させた業績を伝える資料館です。この旧沢内村の経験は、現在も豊かとは言えない地域を多く抱えるコートジボワールにとって、参考になる部分が多いのではないかと考えています。

(写真2)岩手県西和賀町訪問のさい深澤資料館前にて、内記町長らととの記念写真 (写真2)岩手県西和賀町訪問
(深澤資料館前にて、内記町長らと)

 更に、日本滞在中にウェア駐日コートジボワール大使とも意見交換を行いました。
ウェア大使は、2019年に西和賀町をご自身の目で確認し、コートジボワールのホストタウン登録に貢献した方でもあります。会談の中で、ウェア大使は、西和賀町を含むホストタウンとの交流について、改めて強い意欲を語っていただきました。

3 東京2020大会の絆を大切に

 日本はコロナ禍の困難な状況の中で、2021年にオリンピック・パラリンピックを無事に開催することができました。開催前後は厳しい状況下であったかもしれませんが、東京2020大会を機に生まれた絆を将来に向けて生かしていくことは、外務省・在外公館にとっての大きな任務と考えています。とりわけ、コートジボワールに赴任する前まで、出向先の東京都の職員として東京大会開催に尽力してきた私にとっては、特別に大きな使命を感じています。

(写真3)コートジボワールにおける柔道日本大使杯で、試合に臨むコートジワワールの選手の様子 (写真3)コートジボワールにおける柔道日本大使杯

 コートジボワールは柔道が盛んなアフリカの国の1つであり、東京2020大会にも選手を派遣しました。また、2022年には、過去数十年にわたり、コートジボワール及びアフリカにおける柔道の発展に寄与したコートジボワール人の元柔道家に日本政府からの叙勲を伝達する機会もありました。2022年10月、3年ぶりに柔道日本大使杯をアビジャンにて開催しました。長い間待ち望んでいたかのように、会場となったスタジアムは観客で埋め尽くされ、活気にあふれていました。決勝戦にはスポーツ大臣も駆けつけてくださいました。
 来年のパリ五輪に向けて、コートジボワールにおける柔道をさらに盛り立てていくつもりです。また、スポーツに限らず、学術交流・文化交流なども今後、発展させていきたいと思います。

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