グローカル外交ネット

令和4年11月28日

奈良市観光経済部観光戦略課

 「話に聞いていたとおりに美しい、いやそれ以上に美しい」
 東方遠征でアレキサンダー大王がサマルカンドの地に到達したとき、思わずこう漏らしたといいます。ときは紀元前4世紀。この時代すでにサマルカンドはオアシス都市として栄えており、アレキサンダー大王のこの言葉によって、その存在が広く世界に知られるところとなったとされます。様々な王朝がこの地で興亡しながらもシルクロードの要衝として存在し続け、美しき「青の都」として現代に名高き古都サマルカンド。そして、この地からおよそ6千km東へ東へと海をも超え、シルクロードの最果てに存するは古都奈良。シルクロードを通じて西方から伝わった様々な文化・文物により8世紀の奈良の都に天平文化が華咲いたことはご存じの通りであり、正倉院宝物含め奈良市内各所でその歴史を目の当たりにできます。そうしたシルクロードでつながる古の深き縁を背景にして、このたび奈良市はサマルカンド市と姉妹都市提携を結びました。姉妹都市提携の経緯、今回のサマルカンド市訪問と姉妹都市提携式、今後の展望についてご紹介します。

姉妹都市提携の経緯

 平成30年12月、当時のサマルカンド市長から姉妹都市提携を打診する親書が届き、その翌年1月に駐日ウズベキスタン特命全権大使が仲川げん奈良市長を訪問され、奈良市とサマルカンド市の交流について意見交換が行われました。奈良市長から交流提携についての文書をサマルカンド市長へ送付するなど姉妹都市提携へ向けて具体的な検討が進みました。令和元年には当時のサマルカンド市長から国際音楽フェスティバル「シャルク・タロナラリ」への招待状が届き、仲川市長がサマルカンド市を訪問しました。この訪問の機会を捉えて、奈良市はサマルカンド市役所にて、教育・文化・観光分野での相互交流を目的とした「日本国奈良市とウズベキスタン共和国サマルカンド市 両市間の都市間交流に向けた覚書」を令和元年8月26日に結びました。その後、コロナ禍となり、訪問交流ができない期間が3年ほど続きましたが、その間、奈良市役所や市内施設においてサマルカンド市の名所や料理といったサマルカンド市の魅力について市民に紹介するパネル展を実施してきました。「覚書」提携からちょうど3年目を迎えた令和4年度に、サマルカンド市から「サマルカンド市デー」を記念する式典へ奈良市長及び市議会関係者を招待したい旨の書簡が届きました。この招待を受けるとともに、この訪問機会に合わせて、今後、両市間で更に幅広い交流を展開することを目的に姉妹都市提携を結ぶこととなりました。

サマルカンド市訪問と姉妹都市提携式

 令和4年10月17日から21日までの5日間の日程で、仲川市長、北良晃奈良市議会議長を含む計6名による奈良市訪問団がサマルカンド市を訪問しました。姉妹都市提携式では、藤山駐ウズベキスタン日本国特命全権大使に同席いただき、また、ウズベキスタン側はウマロフ・サマルカンド市長に加えて、アブドゥハキーモフ副首相兼観光・文化遺産大臣とトゥルディーモフ・サマルカンド州知事が同席されました。両市長及び同席者から祝意及び歓迎の意が表された後、両市長間で盟約宣言書と協定書の署名が取り交わされ、記念撮影を行い、最後に記念品交換が行われました。両市がシルクロードによって強い絆で結ばれてきたことについて双方から言及され、担当としては大変印象深く感じました。複数の現地メディアも会場入りする中で、緊張感が伴いつつも華々しい雰囲気の中で無事に提携式が執り行われました。また、本年は日・ウズベキスタン外交関係樹立30周年に当たり、本提携式へ両国政府からご支援いただき、特に藤山大使を始めとする日本国外務省及び在ウズベキスタン日本国大使館の皆様に多大なるご支援をいただきましたことをこの場をお借りして改めて心より御礼申し上げます。
 姉妹都市提携式後には、サマルカンド市とすでに姉妹都市関係にある他の周辺国自治体の参加者とともに、「サマルカンド市デー」を記念した食事会や音楽会への出席、新たなMICE施設である「グレート・シルクロード・サマルカンド観光センター」内の「永遠の都」等の視察に参加しました。各所への案内や食事会における盛大な歓待とおもてなしには大変驚かされるものがあり、まさに「客人を父より大切に」というウズベキスタンの諺を、身をもって体験することとなりました。その他に、シルクロード国際観光大学、サマルカンド商工会議所、アフラシャブ博物館、職業訓練校モノセンターなどを視察しました。このたびの姉妹都市提携により、今後、学術文化・スポーツでの交流や産業・観光分野での協力、歴史・文化・教育に関する情報や研究結果の交換等を行っていくこととなり、具体的には、シルクロード国際観光大学生の実地研修の受け入れや、サマルカンド商工会議所との経済的マッチング、文化財展示交流等から進めていく予定です。

  • (写真1)姉妹都市提携式のサインを見せ合う様子
    姉妹都市提携式
  • (写真2)「サマルカンド市デー」歓迎夕食会で 伝統舞踊が披露される様子
    「サマルカンド市デー」歓迎夕食会で
    伝統舞踊が披露される一幕
  • (写真3)シルクロード国際観光大学視察の様子
    シルクロード国際観光大学視察

今後の展望

 経済成長を着実に遂げつつあるウズベキスタン。若い世代が多いことからも、新しいことを学び、取り入れようとする意欲に溢れるエネルギッシュな雰囲気が肌身で感じられました。特にサマルカンド市は近年発展が著しく、サマルカンド国際空港や新MICE施設の開業など大型開発が相次ぎ、シルクロード国際観光大学開校や新劇場も誕生予定であるなど、観光誘致にも力を入れています。
 サマルカンド市はシルクロードの十字路として歴史的に東西南北の文化が融合する場所であったことからも変化に柔軟な素地があり、今日の世界の変化スピードに今後益々即応していくと思われます。成長の勢いに圧倒される面もありますが、唯一無二の歴史資産を有する両市が今後様々な分野で交流、協力、連携し、お互いの価値を高め合えるような関係構築を目指していきたいと考えています。
 「青の都」の古都サマルカンド市と「青丹よし」の古都奈良市。お互いに「青」を冠する古都であることに、悠久なる絆を思います。いざ、現代そして未来へ向けた新たなシルクロード交流へ。ぜひ今後もご注目ください。

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