グローカル外交ネット
和歌山県の食品輸出の取組
和歌山県 農林水産部 食品流通課
今後、人口減少や高齢化により国内の食市場が縮小する傾向にある一方で、海外では、人口増加・所得水準の向上により、食の市場が拡大すると見込まれています。政府においても、農林水産物・食品の輸出額を2025年で2兆円、2030年で5兆円という目標を設定し、取り組んでいます。
食の市場拡大を踏まえ、本県では、2007年に産・官・学連携により、和歌山県農水産物・加工食品輸出促進協議会を設立しました。この協議会では農水産業者の所得水準の向上と食品産業の持続的発展を図るため、輸出拡大の取組を進めており、今年で設立15年目となります。そのような中、日本食の人気とともに、ここ3年間の本県の輸出額は約2倍に増加しました。(和歌山県水産物・加工食品輸出促進協議会調べによる。なお、同期間の全国の農林水産物・食品の輸出額の伸び率は、約1.37倍。(財務省「貿易統計」を基に農林水産省が作成した資料に基づく))。
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、海外でのプロモーション活動にさまざまな制限がある中、本県では効果的な和歌山県産品の輸出支援を目指し、下記のような施策に取り組んでいます。
1 デジタルを活用した販路開拓と販売促進
和歌山の食の総合ポータルサイトである「おいしく食べて和歌山モール」を開設し、BtoCとBtoBの両面で販路開拓・販売促進を同時に実施しています。
- (1)「おいしく食べて和歌山モール」(消費者向け)
県内事業者が生産した商品がすぐに購入できるポータルサイトで、生産現場の魅力も併せて発信することで、販売を促進しています。
- 2022年8月現在:登録事業者数119社、登録商品数638商品。

- (2)「おいしく食べて和歌山モール -FOR BUSINESS-」(バイヤー向け)
海外バイヤーへの提案力を高めるため、海外向け商品提案ページを新たに開設しました。キーワード検索はもちろん、輸送温度帯、賞味期限、輸出可能国など、複数項目での検索も可能で、バイヤーと商品とのマッチング機能を充実させています。
また、海外バイヤーへの提案力を高めるため、商品情報は、多言語化(英語・中国語)して掲載しているのもポイントです。輸出商社からは、「インターネット上の販売サイトの商品ページでは、詳細な原材料など必要な情報が見つけられないことも多い。このサイトは、バイヤーにとって必要な基本情報が簡単に検索できるので非常に使いやすい。」と、ご好評をいただいています。
- 2022年8月実績:登録事業者数143社、登録商品数816商品、登録バイヤー数240名。(国内外含む)


2 商談会の充実
従来から実施している商談会について、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、オンライン方式の商談会を新たに取り入れ、事業者とのマッチングを随時行っているほか、国内・海外バイヤーから現地のニーズや輸入規制等の情報を積極的に収集するよう努めています。
<2021年度実績>
- 海外展示商談会参加延べ事業者数16社
- 国内輸出商社との商談会延べ参加事業者22社
- Web商談会等実施合計数168件
3 企業との提携を活用した「和歌山フェア」の拡大
これまでも、アジアや米国の高級スーパーや百貨店で店頭販促・プロモーションを行っていましたが、2021年3月に「株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)」との間で、県産品の輸出拡大に向けて連携していく旨の提携を行ったことを契機に、香港、アメリカロサンゼルスなどのPPIH海外店舗で「和歌山フェア」の開催が実現しました。今後も「和歌山フェア」による新たな販路拡大を目指しています。
<2021年度実績>
- 香港DON DON DONKI全7店舗(当時)で和歌山県産梅酒等41商品が定番商品化
- 香港DON DON DONKI 3店舗で196商品出品の和歌山フェアを開催
- 台湾のDON DON DONKI 1店舗で県内事業者の加工食品の販売拡大
4 最後に
輸出に取り組む事業者さんからは、「新型コロナウイルス感染症の拡大によって観光需要が落ち込み、レストランなど業務用も伸び悩む中、輸出が右肩上がりで伸びているので経営的に救われた」「国内販路だけでなく、輸出にも取り組んでいて良かった」など、輸出に前向きなご意見も数多くいただきます。新型コロナウイルス感染症の影響で、日本に行きたくても行けない海外観光客が、せめて自国で日本食を楽しもうと、多少高価でも日本の食品を購入するという流れもあり、海外スーパーなどでの和歌山フェアの売上も好調に推移しています。今後も、時代の変化に柔軟に対応しながら、輸出拡大への取組をJAや事業者さんと連携しながら図っていきたいと思います。