グローカル外交ネット
出身者が開く国際交流の門戸
鹿児島県宇検村
1 はじめに
2021年、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の範囲における生物多様性が評価され、新たに国内では5番目となる世界自然遺産に登録されました。宇検村(うけんそん)は奄美大島の南西部に位置する人口1659人(令和4年5月末時点)の村で、真っ白な砂浜や美しい珊瑚礁を抱えるエメラルドグリーンに彩られた海、アマミノクロウサギをはじめとする天然記念物や植物の固有種も多く、悠久な時を越えて豊かな自然が息づく美しい村です。

2 村の出身者がつないだリトアニアとの交流
宇検村の出身者であり、元駐リトアニア共和国特命全権大使の重枝豊英氏と駐日リトアニア共和国臨時代理大使(当時)のアルギマンタス ミセビチュス氏との縁がきっかけとなり、2022年5月12日に宇検村を訪れた両者により、同村立田検小学校5・6年生13名を対象に国際交流授業が行われました。
ミセビチュス氏からリトアニア共和国の自然や文化、歴史の紹介と第二次世界大戦中に迫害に苦しむ多くのユダヤ人避難民を救った杉原千畝氏に関するお話があり、児童たちは熱心に耳を傾けていました。異国において保身を捨て多くの人を救った杉浦千畝氏の勇断は、児童たちの心に深く刻まれ、人道の大切さを学んだ貴重な授業となりました。
また、児童たちからは、事前に作成した村の自然や文化、生活などを説明するカードを使って、グループごとに村の魅力を伝えました。ミセビチュス氏の温かい人柄から、児童たち自ら歩み寄って質問を投げかけるなど、交流授業は終始和やかな雰囲気で行われました。

3 オンラインでエジプトに届けた宇検村の魅力
2022年3月10日、宇検村立田検中学校において、在マレーシア日本人学校での勤務経験がある同校の松崎裕也教諭の同僚のご協力をいただき、同校と日本式教育を取り入れているエジプトの中学校(EJS)との国際交流が行われました。コロナ禍によって多くの場で活用されるようになったオンライン形式の会議等に倣い、交流はオンライン形式で行われ、双方の生徒たちがお互いの国や地域の文化、歴史などの魅力を英語で紹介しました。インターネットの環境があれば地球の裏側であってもリアルタイムでつながるオンライン形式の国際交流の魅力を体験できたと思います。また、双方の生徒たちにとっては、今回の経験によりグローバル社会に関する意識が大きく芽生えた交流となりました。今後もインターネットの技術を活かして多くの国の人たちと交流を重ね価値観を共有し、全ての人にとって持続可能で豊かな社会形成に協調し共感できる人材への成長を期待しております。
