グローカル外交ネット

令和4年3月29日

在ポートランド領事事務所 広報文化担当領事 佐藤博昭

 皆さんは新たな交流先を見つけるとき、何から始めますか?良さそうな候補地を探しメールで連絡しますか?無数にあるHPやSNS、紹介文からどういう基準でコンタクトをとりますか?私は、全米にいる日本と交流を求めている人を見つけられるかどうかが鍵を握っていると考えます。
 この度当館は「ポテトだけじゃない!アイダホ州/ボイシー市のご紹介」オンラインイベントを行いました。幾つかの交流のきっかけ作りになったこのイベントについて、ポイントを2つご紹介します。その2つとは、ボイジー市を最初のイベント対象に選んだこと、協力的な人とうまく繋がることができたことです。

(写真1)アイダホ州ボイシー市を紹介するポスター イベントフライヤー

 初めのポイントは、ボイシーでイベントを行ったきっかけです。
 私がボイシー市を是非日本に紹介したいと思ったのは、アイダホ州都でありながら姉妹都市がなかったからです。ボイシーは全米で最も人口増加率が高い都市の一つです。それは、西海岸まで一日で移動できる距離でありながら不動産価格が安いこと、スネーク川という豊富な水があり自然環境に恵まれていることが要因です。そのため全米一のポテト産地、カリフォルニア州からのワイナリー進出だけでなく、半導体大手のマイクロン本社、米国最先端の原子力発電研究、メタ社のデータセンター建設も決まり、経済も好調です。そこで、東京五輪の開会式に合わせ日本祭りを開催しました。

 次のポイントは、協力的な人とうまく繋がることができたことです。日本祭り後、ボイシー州立大学から、日本と関係強化のためアドバイスが欲しいとの依頼を受け、ミーティングを行いました。私一人に対し先方が8名という期待値でした。ここで、先方の中に日本語を話せる教授を見つけました。最初にお伝えしたとおり、全米にいる日本との交流に協力的な人を見つけられるかが問題ですが、日本語を話せるのに普段使う機会が無いという米国人は絶好の候補です。そこで、同教授に「市の魅力を日本語でライブ発信し、直接の連絡先も伝える」という提案をしたところ、喜んで賛同してくれました。さらには、同大学の生徒、JETのアルムナイや面接応募者など、日本語を使って自分の住む街を日本に紹介したいという若者が次々にプレゼンターを希望してきました。
 最終的には、日本から小松大学客員教授の桝本さんの紹介もいただき、市長や市議会議員を含む15人の参加、ボイシー側は私のほか7名の有志が参加し同市を紹介するというオンラインイベントを実施できました。座談会形式で挙手をして発言・質問するスタイルです。参加者からは、留学生交流など具体的、発展的な提案が出されました。このイベントにより現在、自治体や大学間での連絡が5件ほど始まり、現在も継続しています。

(写真2)モニターに映るアイダホ州の姉妹州・姉妹都市が書かれた地図と在ポートランド領事事務所 広報文化担当領事 佐藤博昭氏 アイダホ州はまだ姉妹都市が2つ
(写真3)ボイシー市でのアイダホジャパンデーの紹介をするリラさん アイダホジャパンデーの紹介をするリラさん

 最後に、日本そのものへの憧れがあった過去に比べ、現在の米国人特に若者は、個々が興味を持つ分野に限っての日本への関心が強い傾向です。またその仲間同士での交流が中心で、インターネットを使えば自分が求める情報を簡単に入手できる時代です。こうした中、日米交流促進の担当者としては、米国人が喜んで参加したいイベントとはどんな内容・形式なのか考え続けています。この度、自らの日本語を使って自分の街を紹介したいという若者にたくさん出会えたことは、幸運な発見でした。

 また、今はSNSを使って様々な団体や企業のイベント情報が無数に届きますが、情報の選択が大切だと考えます。その中で地方連携推進室と国内各自治体との間で直接連絡できる関係や、グローカル通信というツールは大変貴重だと思います。ボイシー市を最初のイベント対象に選んだこと、協力的な人とうまく繋がることができたこと、米国人が参加したいイベントはどういうものかヒントを見つけた今回の経験を活かし、待つだけでなく積極的に交流の種を見つけるべく、今後ともこの場の皆様と取り組んでいきたいと思います。

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