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令和4年3月28日

新潟県産業労働部産業政策課

1 はじめに

 新潟県では、本県が強みを持ち海外での販路拡大が期待できる品目について、販路開拓手法を検討・実行することにより、県産品の輸出拡大につなげる取組として有望品目海外販路開拓事業を実施しています。
 今回は、こうした有望品目の一つであるニットに着目した取組についてご紹介します。

2 新潟県のニット産業の課題

 本県のニット産業は、戦後の服装の変遷に伴い織物業者より転業した一部の先覚者などにより興されました。その後、企業の集約化をはじめとする設備の近代化が進み、製品の高級化に努めニットの総合産地となっています。
 本県の五泉市、見附市などは日本製ニットセーターの生産シェア約30%を占める国内有数の企業集積地帯であり、それぞれ独自の産地形態を有した特色ある製品作りが進められています。
 しかしながら、その生産量を占める大部分は大手アパレルメーカーや海外ブランドといった他社ブランドとして製造するOEM供給であり、業界内において技術力や品質を高く評価されながらも、これらを国内外の一般消費者に対していかに訴求していくかが、長年の課題となっていました。

(写真1)職人の手によるニットの製造風景 職人の手によるニットの製造風景

3 県・ジェトロによる取組

 そこで、県では令和2年度から3か年にわたり、独立行政法人日本貿易振興機構新潟貿易情報センター(ジェトロ新潟)とともに、県内ニット企業が取り組む新しいニットブランドの構築支援等を通じ、海外販路拡大に向けた取組を行っています。

  • (1)ファクトリーブランドの立ち上げ、ECサイト構築
     将来的な県産有望品目の横展開を目指すためのモデルケースづくりとして、ファクトリーブランド「30/70(トレンタ・セッタンタ)」の立ち上げを支援しました。なお、ブランド名の由来は「シルク30%×カシミア70%」という素材の混紡率からきています。
(写真2)外国の男性と女性が映し出された写真 ファクトリーブランド「30/70(トレンタ・セッタンタ)」のキービジュアル
  • (2)国内販路開拓
    海外展開を見据えた購入層のターゲティングを行うため、国内での顧客層や購買パターンのデータを集め、海外へのアプローチ方法を検討しました。
  • (3)フランスにおけるテストマーケティングの実施
    株式会社グラムスリーがフランス・パリで運営する新潟専門店「Kinasé(キナセ 注)」においてテストマーケティングを実施しました。
    注「きなせ」は新潟弁で「いらっしゃい」
(写真3)展示されたニット フランス・パリでの展示の様子
  • (4)ジェトロ事業による県産ニットPR
    ジェトロ事業であるインフルエンサー発信事業により、ミス・インターナショナル代表によるSNS投稿やインスタライブ等の動画で県産ニットがPRされました。
  • (5)新潟県産品PRマッチングサイト「Discovery NIIGATA(ディスカバリー新潟)」掲載
    ジェトロ新潟が運営する同サイトにおいて、ニットを含む新潟県産品を世界中のバイヤーに向けて発信し、世界中のバイヤーから商談希望を受け付けています。
    ディスカバリー新潟ホームページOpen a New Window(JETRO新潟)】

4 今後の展望

 新型コロナウイルス感染症の状況や国際情勢を見極めた上での対応となりますが、令和4年度は立ち上がった新たなファクトリーブランドを中心とした県産ニットの海外販路開拓に向けた取組支援を予定しています。
 新潟県のニット産業の国内外のビジネスチャンスの拡大や知名度向上につながるよう取組を進めるとともに、ニット以外の有望品目の輸出拡大の可能性についても検討してまいります。

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