グローカル外交ネット

令和3年10月22日

在ポートランド領事事務所
経済・広報文化担当領事 佐藤博昭

1 オレゴン州は実はこんなところ

 オレゴン州は、米国西海岸、カリフォルニア州の真上にあり、州内最大人口のポートランド市が「ライフスタイル」や「クリエイティブ」というフレーズとともに日本で有名になりました。そんなオレゴン州の人に、日本に自分の州を紹介するとしたら何?と突然質問すると、決まって返ってくる答えは「木」です。州を南北に縦断するカスケード山脈から太平洋岸までの地域は雨が多く深い森が広がっており、林業は州の最大産業の一つとなっています。これを聞いて、富山県と友好提携30周年、というタイトルに皆様も納得されるのではないでしょうか。
 自然環境が似ていることなどをきっかけに始まった友好提携のもと、オレゴン日米協会が富山県やポートランド日本人商工会などと協力して毎年実施している日本語スピーチコンテスト「富山カップ」(優勝者は富山に親善訪問)や、両知事団の相互訪問など、これまで様々な友好活動が行われています。

2 祝30周年!!・・・友好県だったの!?

 それでも、当地でよく聞くのは、富山県と友好提携を結んでいるなんて知らなかった!それも30周年!?さらには、そもそも富山県は日本のどこにあるの?という声です。立山から黒部峡谷、富山湾まで広がる自然と最高に美味しい魚介類、世界遺産の合掌造り集落など、旅先の実生活を見て体験することを求める昨今の旅行者、特にアウトドア好きなオレゴン州民にとって富山県は正にパラダイスです。
 富山県の方々も同様で、ポートランドには行ってみたいとは思っていたけど、え?姉妹県なの!?という具合です。お互いこの友好提携のことを知らないのは、余りにもったいないと感じていました。
 そうした中、偶然紹介されたカリフォルニア在住の桝本さんという方が富山県南砺市出身と伺い、それから、肝心の住民同士が友好提携のことを知り、お互い特別な経験ができる取組を何か始めようということで、話が動き出しました。

3 やっぱりまずはオンライン

 まずは、オンラインで繋がってみようということで、富山県からは顔の広い桝本さん、お知り合いの学生さんから実業家、市議会議員さんまで、オレゴン州からは、富山県に派遣されたことのある又はこれから出発予定のJETプログラム参加者や、日米協会のメンバーなどが参加して、毎月のオンラインミートアップが始まりました。毎回、参加者が自己紹介するところから始めるのが定番となっています。(「Oregon Toyama Connections別ウィンドウで開く」という名前でフェイスブックグループがありますので、是非、読者の皆様も参加して下さい!)

(写真1)集まった会員の顔が映し出されたモニター 毎月のオンラインミートアップ

4 アナログなれど紙のポスターから!

 同グループの最初の活動となっているのが、オレゴン州と富山県の観光ポスターをお互いの地に貼り合う、ポスタープロジェクトです。オレゴン州観光局が毎年、アニメ画で州内各地の名所を紹介する、Only Slightly Exaggerated」シリーズ(YouTube)別ウィンドウで開くというその名も面白いポスターを発行しているのが気になっていたところ、ダメ元で相談したら富山に送ってもらえることになりました。早速、グループメンバーが富山県副知事にポスターを持参し、Oregon Toyama Connectionsの発足とポスタープロジェクトについて紹介したところ、地元紙にも掲載されました。富山県庁からも、かの有名な「富山で休もう。」ポスターを最近大量に送って頂きました。県庁、市役所さんからもサポートを頂きつつ、駅や学校、レストランなどに貼っていき、その様子もグループ内外で共有していこうと考えています。

(写真2)アニメ画でオレゴン州内各地の名所を紹介している一場面 トラベルオレゴンのポスター
(写真3)ポスターを持つクレアニューヨーク草壁さん、オレゴン日米協会宮永さん、ポートランド州立大学西芝先生 クレアNY草壁さん、オレゴン日米協会宮永さん、ポートランド州立大学西芝先生と

 まずは、お互いの住民がポスターに目をとめて友好提携のことを知り、オンラインのミートアップでお互いが知り合い、更には「今度、日本に行く予定ですが会いませんか?」「とっておきの場所を紹介します!」と、繋がっていければ最高だと思います。観光ガイドは本やインターネットに山ほどありますが、やはり、地元の人の普段の行きつけの店、遊び場には勝てません。
 ミートアップには、富山在住で古家具を現代風にアレンジする芸術家さんや音楽家さんもいらっしゃり、今後、オレゴン州で富山を紹介する展示会などを皆で企画できるかも、と夢が膨らみます。
 まだミートアップの開催には桝本さんやオレゴン日米協会、その他リード役の存在が不可欠ですが、友好交流協会や委員会といった組織はなくても、定期的に有志が自由に集う場を続けていけば、この先どんなことが起こるか、30年後、どんな姿になっているか楽しみです。

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