グローカル外交ネット
鳥取県の伝統的・郷土工芸品(民芸品)の海外展開
鳥取県商工労働部兼農林水産部
市場開拓局販路拡大・輸出促進課
1 はじめに
鳥取県には、経済産業大臣の指定を受けている伝統的工芸品が3品目、鳥取県知事指定の郷土工芸品が49品目あります。なかでも、因州和紙は画仙紙の分野で全国シェアが高く、筆の運びが滑らかで墨がかすれず、筆が長持ちすることから、「因州、筆切れず。」といわれ、全国の多くの和紙愛好家や書道家に愛用されています。このような魅力ある鳥取県の工芸品を、国内だけでなく海外にも紹介することで、工芸品のみならず、鳥取県の魅力をより多くの方々に知っていただきたいと考えています。
2 工芸品の海外展開
鳥取県の工芸品とその作り手、観光地としての鳥取県の豊かさを伝え、工芸品の販路拡大と観光誘客を図るため、2017年以降、フランスにて鳥取の工芸品展を毎年開催しています。2018年からは、フランスのインテリア系インスタグラマーでトップの人気を誇るインフルエンサー「Mamie Boude」のプロデュースによる展示販売会の実施と鳥取県の工芸品のSNS発信を委託し、旅行、生活雑貨及び文化に関心を持つ「Mamie Boude」のフォロワーを中心にPRを行っています。そのほかにも、台湾や香港のセレクトショップで鳥取県の工芸品展を開催する取り組みも行っており、鳥取県の魅力の海外発信に努めています。
3 「Mingei wa Kawaii III(民芸はかわいい)」

「Mamie Boude」の協力を得て開催するフランスでの工芸品展は、令和2年12月の実施で3回目となりました。昨年度は、フランス・ビアリッツのA MANO STUDIO(ギャラリー)において、「Mingei wa Kawaii III(民芸はかわいい)」を開催し、展示に参加した鳥取県内の作家及び作品の紹介を通じて、鳥取の魅力を「Mamie Boude」がインスタライブで発信しました。また、「Mamie Boude」が鳥取県に訪れた際に撮影した動画・写真を因州和紙に印刷した作品も会場で展示し、彼らのインスタグラム上でも、展示会前や会期中に随時発信しました。

(出展者は次のとおり。展示:【因州和紙】大因州製紙(鳥取市青谷)、長谷川憲人製紙(鳥取市青谷)。販売:【陶磁器】延興寺窯(岩美町)、玄瑞窯(鳥取市)、国造焼(倉吉市)、【ガラス】saon(倉吉市)、【鍛冶包丁】大塚刃物鍛冶(智頭町))
4 イベントの結果

会場で実際に工芸品を展示・販売するほか、人気インフルエンサーとのコラボレーションにより、鳥取県の工芸品の情報発信が広くできたことに加え、毎回、陶器は展示会の開催後すぐに品切れとなるなど、集客や売上にも効果が出ています。また、「Mamie Boude」のインスタグラムを見て、日本在住のフランス人が鳥取県の窯元を訪ねて来られたことや、展示会に参加したパリ在住の日本人の中から「鳥取のことはあまり知らなかったが、今度訪問したい。」との声があったことから、今まで情報が届いていなかった方々へのアプローチを効果的に行うことができたと実感しました。
新型コロナウイルス感染症の国内外の状況も見ながら、今後もこうした取組を継続し、鳥取県の工芸品の販売促進を実施することはもちろん、鳥取県の魅力を発信していきたいと考えています。