グローカル外交ネット
外務省での勤務を通じて
令和3年9月22日
外交実務研修員 髙橋 大佑
(札幌市から派遣)
1 はじめに
私は、2020年4月に札幌市から外務省に派遣され、現在は外務報道官・広報文化組織の文化交流・海外広報課で勤務しております。本省勤務開始から1年半ほど経過し、寄稿の機会をいただきましたので、これまで経験させていただいた業務を振り返って御紹介させていただきます。
2 文化交流・海外広報課での業務
- (1)在外公館文化事業
世界各国にある日本の大使館や総領事館等では、対日理解の促進や親日派・知日派の維持・育成を目的として、様々な日本の文化を紹介する事業を実施しています。
その内容としては、茶道、華道などの伝統文化を紹介する事業や、海外でも人気を得ている日本の漫画、アニメ等のポップカルチャー紹介、和食のレクチャー・デモンストレーション等多岐にわたっています。各公館が現地の事情やニーズを的確に捉え、より効果的な事業となるよう検討を重ねて企画・実施しています。
文化交流・海外広報課では、事業計画の内容を確認し、訴求対象や広報の手法、費用対効果などについて、各公館と協議して調整しながら事業を進めています。事業実施後のアンケート結果等で、「日本への理解が大変深まった」、「いつか日本へ行ってみたい」といった感想を目にするたびに、広報文化外交の重要性を実感しています。
新型コロナウイルス感染症の影響によって、これまでの集客型や対面型の事業実施が難しくなる中、現在では、SNSを活用したオンライン発信型の事業も導入しており、どういった内容が効果的か様々な可能性を検討しています。

(令和2年8月 在アルゼンチン日本国大使館主催)
- (2)海外における日本語教育
海外における日本語教育は、日本との交流の担い手を育て、海外における日本への理解と認識を深めることを通じて、諸外国との友好関係の基盤を作る上で非常に重要な分野と位置付けられています。
外務省では、独立行政法人国際交流基金と連携して、現地の日本語教師への助言・指導や教材作成の支援等を行う「日本語専門家」の海外派遣、オンラインコースの運営・学習管理を行う日本語学習プラットフォーム「みなと」やモバイル端末向け学習アプリ等の日本語教材の開発・提供などの取り組みを日々進めています。また、多くの国・地域において、日本語を母語としない方の日本語能力を測定し、認定する「日本語能力試験」も実施しています。
これらに係る業務を進めるに当たって各省庁や関係機関等と協議する中で、在留管理制度や経済連携協定(EPA)等に関する知識が必要となる場面が少なからずあり、苦労することが多く日々勉強が必要ですが、非常にやりがいのある仕事です。
3 おわりに
着任早々にテレワークとなり、不安を抱えた中で外務省勤務を開始しましたが、皆様に大変優しく丁寧にご指導いただいたおかげで、ご迷惑をおかけしながらも今日まで勤務を継続することができています。非常に多くの業務を、スピード感をもって的確に処理されていく様子に圧倒される日々ですが、その業務の一端に関わることができ、大変得難い経験をさせていただいております。また、テレワーク体制でもコミュニケーション不足に陥らないよう、積極的に各種ツールを活用し、業務効率化をも追求していく姿勢には本当に感銘を受けました。
このような貴重な機会を与えていただいた外務省と札幌市に、この場を借りまして心から感謝申し上げます。本省での勤務も残り半年ほどとなりましたが、より多くのことを学びとり、業務に貢献できるよう日々精進したいと思います。