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令和3年1月18日
(写真1)スウェーデンヒルズの街並み スウェーデンヒルズの街並み
(写真2)夏至祭.jpg 夏至祭
(写真3)道の駅 道の駅

外務省地方連携推進室

1 はじめに

 北海道当別町は札幌近郊に位置する、自然豊かな美しい町です。その歴史は、明治4(1871)年、仙台藩岩出山の領主・伊達邦直公が家臣共々移住して開拓したことから始まります。人々の開拓の努力により、明治35(1902)年頃には札幌支庁管内(当時)で最も豊かな農村へと発展し、農業を基幹産業とした当別町の礎が築かれてきました。また、同町は現在切り花の生産も盛んで、道内屈指の生産額を誇っています。この町の美しい田園風景や雄大な自然環境は、遠く離れた北欧・スウェーデン王国の風景と似ていると言われています。

2 姉妹都市提携の経緯

 当別町がスウェーデン王国・レクサンド市との姉妹都市交流を行うきっかけとなったのは、「スウェーデン村構想」です。
 昭和29(1954)年、洞爺丸台風によって北海道の森林資源は壊滅的な被害を受け、昭和39(1964)年には輸入木材の供給基地として、石狩地区に木材コンビナート団地を建設する計画が持ち上がりました。1970年代に入り、国と北海道庁によって石狩新港と工業団地の建設が具体化すると、住宅問題への対処が必要となりました。
 昭和53(1978)年、都倉栄二元スウェーデン大使が当別町に来町した際、スウェーデン国王よりスウェーデンと日本の交流の足掛かりがほしいと依頼されていた経緯もあり、スウェーデン王国に気候、風土のよく似た当別町に交流拠点を建設するという「スウェーデン村構想」について助言がありました。昭和58(1983)年には財団法人を設立し、昭和61(1986)年には当別町内に「スウェーデン交流センター」がオープンしました。同年、当時の駐日スウェーデン大使が当別町に来町された折、スウェーデン訪問のお誘いを受け、スウェーデンへの公式訪問が実現することとなりました。これを機に、当別町はスウェーデンの都市との姉妹都市提携を希望する運びとなり、昭和62(1987)年には、豊かな自然と伝統・文化が調和した風光明媚な地であるスウェーデン王国のレクサンド市と、恒久的な文化、経済等の交流を行うため、姉妹都市提携に至りました。

3 姉妹都市交流等について

 「スウェーデン村構想」をきっかけとし、当別町の丘の上にスウェーデン式住宅が立ち並ぶ街づくりの開発が始まりました。昭和59(1984)年には、スウェーデン式住宅の工事が着工し、緑に包まれた北欧風のニュータウン「スウェーデン・ヒルズ」が誕生しました。
 スウェーデン・ヒルズは、自然と調和した街並みや、地区全体の統一性と美観を確保するための屋根や外壁の基本色、門塀はつくらないなどの内容とする建築協定があります。その個性豊かな美しい街作りは広く認められ、平成3(1991)年及び平成4(1992)年にはNHK・北海道新聞社主催による「北海道街づくり100選」で「21世紀に向けた街づくり」の代表例にも選ばれています。

 また、両町市の交流の証の一つとして、当別町で毎年夏に開催される「夏至祭」が挙げられます。夏至祭とは、スウェーデンの夏の伝統行事で、昼が一番長い白夜の時期に太陽の恵みに感謝し、豊作と健康を祈るお祭りです。レクサンド市の夏至祭は、スウェーデン国内でも最も規模が大きく、スウェーデン国内はもとより、ヨーロッパ各地から多くの観光客が訪れることで知られています。
 当別町では、このスウェーデンの夏至祭を再現したイベントを開催しており、毎年数千人の来場がある一大イベントとなっています。お祭りでは、マイストング(夏至柱)と呼ばれる白樺の木を立上げ、フォークダンスやグリーンコンサートが開かれるほか、当別町産の食材を使用したスウェーデン料理を提供するカフェテリアなど、両市町の魅力を凝縮した多彩なプログラムが楽しめます。当別町の夏至祭は、昭和59(1984)年より毎年開催されてきており(注 令和2年度に実施予定であった第37回夏至祭は新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止)、両市町の長い交流の歴史の象徴にもなっています。

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