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ナショナルサイクルルート「ビワイチ」の取組とこれから

日本のほぼ真ん中に位置する滋賀県。その中央に県土の約6分の1を占める日本最大の湖・琵琶湖を抱え、周囲には緑豊かな山々や田園風景が広がり、水と緑の豊かな自然にふれ合うことができるところです。
特に、琵琶湖一周約200kmをサイクリングする「ビワイチ」は、湖岸に広がる美しい風景や歴史遺産などの魅力的な観光スポットを楽しみながら、スポーツとして楽しむサイクリストはもちろんのこと、家族連れや女性など、多様な方がそれぞれのペースで、安全で快適に周遊できることが特長であり、今では年間10万をこえる人々がサイクリングを楽しんでいる全国でも有数のサイクリングルートの1つです。
その「ビワイチ」の推進においては、県民の健康増進、観光振興などを目的として、これまで路面整備や案内看板の設置など安全で快適な走行環境や、「ビワイチ」のゲートウェイとしてレンタサイクル拠点の整備を進めるほか、空気入れやトイレの貸し出しなどサイクリストをサポートする施設を充実させるなど、市町や県内事業者、民間団体との連携も積極的に図り、県全体で受け入れ体制づくりに取り組んできました。
そうした取組が高く評価され、令和元年11月7日には、国土交通省自転車活用本部が指定する「ナショナルサイクルルート」第1号に、しまなみ海道(広島県・愛媛県)、つくば霞ヶ浦りんりんロード(茨城県)とともに選ばれました。

今回の指定で「ビワイチ」のブランドイメージや知名度が大きく向上したこと、また、三密を避けて実施しやすい特性を持つサイクリングは、新型コロナウイルス感染症拡大防止に対応やすい観光コンテンツの1つとして注目を集めていることから、今まで以上に多くの方々が来訪して、県内周遊を楽しむことが期待されています。現在も引き続き、走る方、住んでいる方、社会全体が「三方よし」のよりよいサイクリングルートとなるよう、ハード、ソフトの両面から一体的に取組を進めているところです。
ハード整備においては、「だれもが安全・安心に楽しめるルート」となるよう、「低速コース(家族連れなどのサイクリングの中/初級者が地域の魅力に触れながらゆっくりと走行するコース)」と「上級コース(スポーツとしてサイクリングを楽しむ人が走行するコース)」の2つを設定し、それぞれのコースに合わせ、自転車の通行空間整備を進めています。
また、ルート上には全線で青矢羽根と青破線の路面表示を整備した他、主要差点や分岐点では案内する看板・路面表示について、それぞれ日・英2か国語表記やピクトグラム化を進めており、誰もがわかりやすい案内表示に努めています。

ソフト面においては、英語や繁体字表記のサイクリングマップを制作するとともに、アプリ「BIWAICH Cycling Navi-Shiga trip-」を改修し、国内観光客はもちろんのこと、外国人観光客も安心して快適に本県での旅行を楽しめるよう、多言語での情報発信機能およびナビゲーション機能を強化し、旅マエから旅ナカまでをしっかりサポートしています。さらには、サイクルサポートステーション登録事業者を対象に講習会を開催し、おもてなし力の向上を図るなど、地域を巻き込んだ受け入れ体制づくりの強化に取り組んでいます。
また、琵琶湖岸のルート「ビワイチ」に加えて、そこから派生して琵琶湖岸以外の地域を周遊する「ビワイチ・プラス」や、サイクルクルーズやサイクルトレイン等の公共交通とサイクリングを組み合わせたルートなどさまざまな形の「ビワイチ」を提案し、さらに幅広い層の人が楽しめるコンテンツへと磨き上げを行っているところです。
今後も、ナショナルサイクルルート「ビワイチ」としてその名に恥じぬよう、また他の地域に参考にされる先進事例となるよう、国や市町、関係者等とこれまで以上に連携を取りながら、走行空間整備や安全対策の実施を徹底していくとともに、案内情報の提供や地域の受け入れ体制づくりの強化など、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。