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(三重県四日市市と中華人民共和国天津市の交流)

令和2年8月7日

外務省地方連携推進室

 三重県四日市市は中京工業地帯の代表的な都市です。県内最大の人口を有する市でもあり、西に鈴鹿山脈、東に伊勢湾を望む素晴らしい自然に恵まれた土地です。

 さかのぼること江戸時代には、同市は東海道の主要な宿場として、東海道を行き交う人や伊勢参りの旅人に多く利用されるなどして栄えてきました。

 中華人民共和国天津市は、首都北京の南東約140kmに位置する市で、古くから北京の海への玄関口となっていました。また、天津は、北京、上海、重慶とともに四大直轄市の一つに数えられ、商工業の都市として歴史を有しており、現在では中国北部最大の湾岸都市として成長している大都市です。

 両市が友好都市となったきっかけは、1978(昭和53)年当時、国際的な港と伝統的な産業、大規模な石油化学工業などがある日本有数の工業都市として繁栄していた四日市市が、石油化学や環境問題への関心が強い天津市との友好都市提携を希望し、中日友好協会へその旨を伝えたことでした。

 当時の天津市は、中国最大級の港を持ち、油田を中心に成長を遂げている産業都市であり、規模は違うものの似たような産業構造を有している両市が友好都市関係を結ぶことは有意義であるとして、1980(昭和55)年10月28日に天津市で友好都市提携に至りました。

 両市は提携後、環境を通しての国際協力を中心に友好関係を深めてきました。友好都市提携後の1984(昭和59)年には、半年間にわたり天津市からの技術研修生の受入を実施、1993(平成5)年からは、天津市の環境行政能力向上を目的とし、四日市市にて天津市の環境保護担当者を対象とした研修を実施しました。

 四日市市では、公益財団法人国際環境技術移転センター(ICETT)を通じ、環境問題が顕在化している発展途上国などへ環境保全技術を伝えています。2001(平成13)年より、多くの担当者へ環境保全技術を伝えるため、天津市にてセミナーを開催しています。また、研修効果を更に高めるため、セミナー参加者の中から数名を同市へ招聘し、国内受入研修も実施しています。2007(平成19)年3月には、同市と天津市との環境交流事業が、創意工夫に富み、地域の国際化に貢献している取組との評価を受け、一般財団法人自治体国際化協会の姉妹自治体交流表彰で第1回総務大臣賞を受賞しました。

 また、四日市市制111周年の記念の一環として2008(平成20)年から始まった「地球環境塾」では、夏休み期間中の一週間、友好都市の中国天津市及び姉妹都市の米国ロングビーチ市から高校生を招き、四日市市の高校生と共に環境問題などについて研修及び意見交換を行っています。本取組を通して、相互理解を深めることにより、次世代を担う青少年が国際的な視野から環境について考え、各都市において環境保全活動の活性化につながることを期待しています。

 四日市市と天津市は、環境をテーマとした交流のみならず、経済交流の一環として、両市の販路開拓ツアーの実施、書道、音楽、文化などの文化交流、青年訪問団・市民訪問団の相互訪問など、多岐に渡る交流を通して絆を深めてきました。

 1980(昭和55)年の友好都市提携から今年の2020(令和2)年で40周年を迎える節目となります。40周年記念事業として計画していた青少年のスポーツ交流など一部の事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により見合わせとなりましたが、このような状況下でも、心を込めたメッセージを添えた支援物資を相互に送り合うなど、両市の友好関係はより深いものとなっており、今後もさらなる交流の深化が期待されます。

  • (写真1)地球環境塾において四日市公害と環境未来館を視察する様子(2019年(令和元年)7月)
    地球環境塾において四日市公害と環境未来館を視察する様子
    (2019年(令和元年)7月)
  • (写真2)天津市内で開催された「四日市フェア」で地場産品の展示販売やシティプロモーションをする様子(2019年(平成31年)3月)
    天津市内で開催された「四日市フェア」で
    地場産品の展示販売やシティプロモーションをする様子
    (2019年(平成31年)3月)
  • (写真3)友好都市提携35周年記念事業の一環で実施した青少年スポーツ交流(サッカー)の様子(2015年(平成27年)8月)
    友好都市提携35周年記念事業の一環で
    実施した青少年スポーツ交流(サッカー)の様子
    (2015年(平成27年)8月)
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