グローカル外交ネット
外務省地方連携推進室での勤務を通じて
外交実務研修員 松場 茜
(東京都から派遣)
1 はじめに
私は,2014年4月に東京都に入都し,私学助成や広報の仕事に携わった後,2019年4月から政策企画局外務部にて,都市外交の業務を担当しておりました。外務部では,二都市間・多都市間の都市外交や在京大使館等との連携を推進しています。その中で私は主に,姉妹友好都市をはじめとする海外諸都市との交流,海外要人等と知事との面会,外国の政府機関や都市の職員等への都政に関する説明や都の施設案内を担当し,日々海外の様々な方と関わる仕事を行っていました。
以前から国際的な仕事や海外勤務を希望していたところ,2019年11月末から外務省での勤務という貴重な機会をいただき,今約4か月が経ちました。
2 地方連携推進室での勤務
(1)「地方創生支援 飯倉公館活用対外発信事業」について
外務省では,地方連携推進室に配属となりました。地方連携推進室では,地方の魅力を世界に発信する場や地方の国際交流に関する情報交換の場を提供したり,地方の国際的な取組を支援するなど,「地方と海外をつなぐ」様々な施策を実施しております。ここでは,私が主に担当した「地方創生支援 飯倉公館活用対外発信事業」について紹介させていただきます。
「地方創生支援 飯倉公館活用対外発信事業」とは,外務大臣と地方自治体首長との共催によるレセプションを外務省の飯倉公館にて開催し,駐日外交団等に地方の魅力を発信する事業です。2015年から実施しており,私が地方連携推進室に配属となってからは,2019年12月に奈良県,2020年2月に岩手県との共催でレセプションを開催しました。
(2)奈良県,岩手県との共催レセプション開催
外務省での勤務が始まって4日目,2月の岩手県との共催レセプションに向け,早速岩手県庁を訪問し,打合せを開始。そこから約2か月間,12月の奈良県との共催レセプションと並行し,2つのレセプションの準備に携わることとなりました。
レセプションでは毎回,各県の特色となるブースやパフォーマンスも交えながら,食,文化,伝統工芸等,会場一体でその地方の魅力を体感できるよう工夫をしています。例えば,奈良県との共催レセプションでは,大学生による雅楽のパフォーマンスを披露し,日本のはじまりの地としての奥深い魅力を発信。また,岩手県との共催レセプションでは,南部鉄器で沸かした甘茶を飲むといった伝統文化の体験ブースを設けるとともに,漫画やラグビーワールドカップ,ホストタウン等の「今の岩手」の姿も紹介しました。このようなレセプションの内容を共催の県の担当者の方と検討しつつ,招待状の作成から当日のロジまで,細かな調整を重ねていきました。
レセプション当日は,駐日外交団,駐日商工会議所,企業関係者等,いずれの回も200名を超える多くの方にご出席いただきました。外交団等の参加者が県の食や文化を体験する様子を目にし,また,レセプションを機に県との交流を更に深めていきたいという声を聞く中で,この行事が地方の魅力を世界に発信し,地方と海外をつなぐ場となっていることを実感しました。同時に,各県のアイデアや工夫を通じて,私自身,地方の様々な魅力を再発見し,それを効果的に発信する方法について学ぶことができ,有意義な経験となりました。
- 岩手県との共催レセプションの様子
- 雅楽のパフォーマンス(奈良県)
- 漆塗りの体験(岩手県)
3 おわりに
これから約1年間本省で勤務し,その後2021年度から2年間,在外公館に赴任する予定です。国際的な仕事に携わり,将来は海外勤務にも挑戦したいと考えていた私にとって,外務省での勤務は大変貴重な機会であると感じております。このような機会をくださいました外務省と東京都,そして,温かくご指導いただきました地方連携推進室の皆様に,この場を借りて感謝申し上げます。地方連携推進室で経験させていただいたことを活かし,今後も精進して参りたいと思います。