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聖火リレーがつなぐ姉妹都市交流



愛知県稲沢市市長公室秘書広報課
愛知県稲沢市とギリシャ共和国・オリンピア市は3つの共通点をきっかけに,南山大学名誉教授・故国分敬治氏の提唱をいただき,姉妹都市提携の話を進めました。
1つ目は紀元前にまでさかのぼる歴史を持つ古い都市で,多くの遺跡や文化財があること。
2つ目は両市とも平和を願い,非核平和都市宣言をしていること。
3つ目は古代オリンピックが裸で行われ,稲沢市の「国府宮はだか祭」と共通するものがあること。
以上の3点から1987年(昭和62年)8月22日にオリンピア遺跡内のヘラ神殿前で姉妹都市提携の調印を行いました。
オリンピア市は世界の一大イベントである古代オリンピック発祥の地であり,姉妹都市提携の調印式を行ったヘラ神殿前では,現在もオリンピックの聖火採火式が行われています。
平成9年12月には姉妹都市提携10周年事業として長野冬季オリンピック聖火リレー中学生派遣事業を行い,稲沢市内7つの中学校から1人ずつ選ばれた中学生7人が,オリンピアの地を走りました。
平成12年5月のシドニーオリンピック時においては聖火採火式に出席するため,稲沢市長らがオリンピア市を訪問しています。
姉妹都市提携を仲介いただいた故国分敬治教授はオリンピア市名誉市民であり,平成14年の姉妹都市提携15周年時にはオリンピア市内で胸像除幕式が行われ,稲沢市長らが参加しました。
平成16年3月のアテネオリンピック時には,長野冬季オリンピック聖火リレーと同様に7人の中学生を派遣し,ギリシャでの聖火リレーに参加しました。
平成17年の市町村合併により稲沢市内の中学校が9校になったため,平成20年の北京オリンピック聖火リレー,平成24年のロンドンオリンピック聖火リレー,平成28年のリオデジャネイロオリンピック聖火リレーには9人の中学生を派遣し,聖火ランナーの大役を務めてまいりました。
参加した聖火リレーのトーチはオリンピア市との長きに渡る交流の証として,稲沢市役所で展示をしています。
この派遣事業を通して,国際的視野と見聞を広め,平和と友好のメッセージである神聖な「聖火」を,輝かしい未来がある子どもたちが手に取って走ることで,平和の大切さとオリンピック精神を両市から世界に向けて発信できたと思います。
オリンピア市からは,平成10年2月の長野冬季オリンピック開会式に出席するためにオリンピア市長が来日し,聖火ランナーを務めた中学生らと親睦交流を図りました。
同市長は,平成17年に愛知県で行われた愛知万博の際にも稲沢市を訪れ,過去の聖火リレー参加者や姉妹都市交流に関わった多くの市民と交流を図り,また,5月20日に万博会場で開催されたギリシャデーを視察されました。
現在は,オリンピア市での聖火リレーに派遣を行った翌年に,オリンピア市長らを稲沢市に招待し,姉妹都市提携のきっかけにもなった「国府宮はだか祭」を見学いただくなどの交流を続けています。
平成30年7月には市民レベルでの交流を目的とし,オリンピア市の中学生をホームステイで受け入れました。ゲスト,ホストファミリーの両方にとってお互いの国を知るいい機会になりました。
こうしたオリンピア市との交流が縁で稲沢市は東京2020オリンピック・パラリンピックにおけるギリシャ共和国を相手国としたホストタウンに登録されています。
今後もオリンピア市をより多くの市民に知っていただく機会をつくり,さらなる交流を図っていきたいと考えています。