グローカル外交ネット

令和2年3月19日

在南アフリカ日本大使館

 サバンナを凜々しく駆け抜ける,南アフリカに生息する動物「スプリングボクス」を愛称に持つ南アフリカのラグビーチーム。2015年のラグビーワールドカップでは日本代表が劇的な勝利を飾った一方,まだ記憶に新しい昨年(2019年)の日本でのワールドカップでは,圧倒的な強さを見せつけ,優勝カップを手にしました。
 南アフリカと日本をつなぐものはラグビーに限りません。東日本大震災後は南アフリカのレスキュー隊が被災地に駆けつけ,救助活動が展開されました。このような支援に対する感謝の気持ちを込めて「復興ありがとうホストタウン」に登録された宮城県岩沼市の菊地啓夫(きくちひろお)市長ほか一行が2020年1月に南アフリカを訪問し,現地の人々と心温まる交流を行った様子を今回ご紹介します。

1 南ア・スポーツ連盟・オリンピック委員会(SASCOC)訪問

 1月21日,一行は南ア・スポーツ連盟・オリンピック委員会(SASCOC)を訪問し,同委員会幹部との意見交換を行いました。
 菊地市長からの「東京大会の前後に,南アフリカの選手のみなさんに岩沼市を訪問していただき,様々な交流事業に参加いただきたい」との言葉を受けて,ヘンドリクス南ア・オリンピック委員会会長代行は,「わざわざ岩沼市長が南アフリカを訪問してくださったことを歓迎する。」と述べました。また,マーク・アレクサンダー・南アラグビー協会会長は,「自分は昨年のラグビーワールドカップで訪日した際,日本で素晴らしいおもてなしを受けた。南ア・ラグビーチームとともに岩沼市を訪れたい。」と応じました。南ア・ラグビーチームの岩沼市への訪問,当館としても,楽しみにしております。

2 日・南ア小学生同士によるTV会議の実施

 1月22日,一行はプレトリアのクロフォード校(初等部)を訪問し,クロフォード校と岩沼小学校の間でテレビ会議(Web会議)による交流が行われました。

クロフォード校 日・南ア小学生によるテレビ交流(クロフォード校)
岩沼小学校 日・南ア小学生によるテレビ交流(岩沼小学校)

 テレビを通じて子どもたちは,お互いの町や学校の紹介,お互いの国歌を歌ったほか東京オリンピック・パラリンピックについて語り合いました。画面に震災当時南ア・レスキューチームの一員として岩沼市で活動した,ツワネ消防局の隊員が登場すると,岩沼市側では「おお~!」という歓声が上がりました。また,この機会に,菊地市長は,東日本大震災を題材にした絵本「きぼうのおか」をクロフォード校の全校児童に贈呈しました。
 後日,クロフォード校では,岩沼市及び南ア・レスキューチームの同校訪問を振り返りました。一行の訪問から何を学んだか質問された児童は,「お互いに助け合いながらすべての国と良い関係を築かなければならない」「私たちはそれぞれの文化を尊重しなければならない。」などの素晴らしい意見を発表しました。その後,岩沼市から寄贈された絵本「きぼうのおか」を高学年から低学年の児童に読み聞かせを行う特別授業が行われ,みなさんが熱心に絵本を読む姿がとても印象的でした。
 また,岩沼小学校でも「きぼうのおか」の読み聞かせが行われ,南アの災害支援の偉大さに改めて感謝の気持ちを持ったとのことです。
 当館としても,今回,テレビ会議を行った両校のように,今後も日・南アの子供たちの交流の輪が広がることを願います。

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2011年に救助活動に駆けつけた南アフリカのレスキュー隊も所属するツワネ市消防隊員と
絵本「きぼうのおか」の特別授業

3 レスキュー・サウスアフリカ及びヨハネスブルグ大学救急医療学部との意見交換

 1月22日,菊地市長一行は,レスキュー・サウスアフリカ及びヨハネスブルク大学救急医療学部を訪問しました。
「23時間かけて遠い南アフリカにやってきたが,レスキューのみなさんが,震災直後に同じ時間をかけて支援に来てくださったことを改めて実感し,感謝の気持ちで一杯である」と菊地市長が伝えたのに対し,2011年に実際に岩沼市で活動した隊員からは,「短い期間,救助活動をした中で,日本のみなさんの忍耐強さに感銘を受けた」という言葉をもらいました。

4 南ア・レスキューと岩沼市の絆

 2011年3月11日の東日本大震災後間もなく,南アフリカのレスキューチームが岩沼市の仙台空港周辺において救助活動を実施したほか,その後も被災者の皆さんを励ますための様々な支援が行われました。このような縁がきっかけとなり,2018年11月2日,岩沼市が南アフリカの「復興ありがとうホストタウン」に登録されました。
 また,昨年(2019年)のラグビーワールドカップ期間中は,岩沼市から被災者や中学生が強化試合の行われた埼玉県熊谷市を訪れシヤ・コリシ主将率いるスプリングボクスの選手を激励したほか,南アフリカ対イタリア戦が行われた静岡県袋井市にも,岩沼市から市民応援団が駆け付けました。さらに,「岩沼市南アフリカ応援連絡会」のみなさんが市内の集会所等に集まり,テレビ観戦をしながらスプリングボクスを応援しました。日本でのスプリングボクスの優勝は南アフリカと岩沼市の絆をさらに深めたのではないでしょうか。2020年東京オリンピック・パラリンピックでも更なる交流が生まれるよう,当館としても,引き続きサポートしていきたいと考えております。

【必読】当館館員(当時)による2011年震災時の南ア・レスキューチームの活動報告(PDF)別ウィンドウで開く

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