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奈良県のMICE誘致推進の取組について
奈良県地域振興部観光局観光プロモーション課
1 奈良県がMICE誘致を推進する意義

MICE(Meeting,Incentive,Convention,Exhibition/Event)は,一般の観光旅行に比べ参加者の消費額が大きく,人の集積や交流から派生する多様な付加価値があると言われています。特に,国際会議の誘致は,その開催による直接的な経済効果だけでなく,県内におけるビジネス機会やイノベーションの創出,国内外へのPR効果や受け入れ・おもてなし環境の改善による観光地としての魅力向上がその後の外国人観光客誘致につながるなど,地域経済活性化や都市力の向上等に大きな意味を持つものです。
本県では,2020年に2,000名規模のMICE開催が可能な「奈良県コンベンションセンター」がオープンすることから,これを中・大規模MICEを誘致する好機と捉え,「誘致力の強化」に注力し,MICEが地域にもたらす効果を得られるよう施策を進めているところです。
(参考)「奈良県コンベンションセンター」について
コンベンション施設、屋外・屋内多目的広場、飲食・物販施設,バスターミナル,地上・地下駐車場からなる複合施設です。2020年春の「まちびらき」を予定しています。
現在,仮予約についてホームページでご案内しております。(下記URL参照)
http://www.nara-cc.jp/index.html
2 平成30年度の主な取組

(1)マーケティング機能高度化支援事業
観光庁公募の「マーケティング機能高度化支援事業」に本県が採択され,国際会議の誘致・開催活動において高度な専門知識と国際ネットワークを有する専門家より,国際会議誘致を目的としたマーケティング及びプロモーション活動の高度化のための指導を受けました。
当該事業では,本県だけでなく,会議誘致の実務を担う(一財)奈良県ビジターズビューローやコンベンション施設,宿泊施設,交通事業者等の地元受入関係者も集い,地域資源の分析に基づいた奈良県のMICEブランド構築や,関係者間の連携のあり方について討議を行うことで,専門家の知見を共有することが出来ました。

(2)奈良県MICE誘致PR動画の制作
MICE主催者を主な訴求対象とした誘致PR動画を制作しました。動画には,奈良県へのアクセスや会議施設,ユニークベニューや会議開催の様子等が盛り込まれ,MICE開催地としての奈良の魅力が簡潔に伝わる構成となっています。また,2020年にオープンの「奈良県コンベンションセンター」と「JWマリオットホテル奈良」も紹介しています。
現在,YouTubeにおいて公開中ですので,ぜひご覧ください。(下記URL参照)
https://www.youtube.com/channel/UCHfnH7xRDDA1ItJQV7VdPkg
(3)ICCA(国際会議協会)への新規加入
ICCAは,MICE振興や国際会議業界の関係者の交流等を目的として設立された,90か国・約1,000団体が加盟する世界的な組織です。奈良県は,日本で初めて地方自治体としてICCAに加入しました。
ICCA加入の最大のメリットは,会員のみが閲覧出来る国際会議データベースの利用が可能となることです。このデータベースを活用し,誘致可能な国際会議の抽出が出来るようになりました。
3 今後の取組
従来,奈良県ではMICEの中でもコンベンションに特化し,(一財)奈良県ビジターズビューローを中心に誘致の営業活動に取り組んできました。しかしながら,「奈良県コンベンションセンター」の開業に加え,世界的なラグジュアリーホテルである「JWマリオットホテル奈良」の日本初進出も控えており,奈良県のMICE誘致環境は大きな変化の時を迎えようとしています。
このような奈良県の現状や国際的なMICE誘致競争の高まりを踏まえ,今後は昨年度の取組を活かしながら,観光分野における世界最大の国際機関である「国連世界観光機関(UNWTO)」の駐日事務所(所在地:奈良市)とも連携し,奈良県自らがMICE誘致の営業活動を展開してまいります。具体的には,MICE開催情報の収集や誘致案件の選定,知事のトップセールス,MICE商談会への出展,誘致体制強化のための組織整備等の取組を進めていきます。