グローカル外交ネット

令和4年1月27日

神戸市市長室国際部国際課

 神戸市は、1868年に日本で最初の国際貿易港のひとつとして開港して以来、西洋諸国を中心に多くの外国人が居を構え、日本人との交流が進むことで、国際色豊かな文化をはぐくんできました。

1 フランス・マルセイユ市との姉妹都市提携の経緯

(写真1)港と街並みの様子 マルセイユ港

 神戸市は、1961年7月にマルセイユ市と姉妹都市提携をしました。マルセイユ市長より、両市は古くから開けた有数の港のある町であることから、提携により親善を深め、通商を盛んにしたい旨の申し入れがあったことがきっかけです。
 マルセイユ市は、フランス南部の地中海に面したフランス第2の都市で、国内最大の港であるマルセイユ港、マルセイユ・プロヴァンス空港があり、高速鉄道(TGV)でヨーロッパ各都市とつながっています。また、フランスの生鮮食品流通の中心でもあります。
 交流の内容としては、神戸市がマルセイユ市立ボレリー公園内の日本庭園への技術協力を行うなど文化交流が中心となっています。また、現地百貨店での神戸の産品・観光情報プロモーションや、ビジネスセミナーを開催するなどの経済交流も行っています。

2 目に見えないもの

(写真2)外観、入口の様子 ユニクロ マルセイユ店
オープニングの様子

 2021年は姉妹都市提携60周年でしたが、新型コロナウイルスの影響により神戸からの訪問は中止となり、これまで行ってきたような往来をともなう現地でのプロモーションや交流はできませんでした。目に見えないウイルスによって国際交流活動を制限された年となりました。
 そのような中で、往来を伴わない手法として改めて着目したのは、現地開催イベントやオンラインを活用した交流です。マルセイユ市役所やKobe International Club(注)マルセイユ支部、さらには在マルセイユ日本国総領事館の協力を得て、現地の日系衣料品店のイベントや秋まつりなどの場で、観光情報も含めた神戸のプロモーションを実施しました。
 11月にはマルセイユ市ロンシャン公園内に新しい日本庭園が完成しました。これは、マルセイユ市が在マルセイユ日本国総領事館協力のもと、姉妹都市交流60周年記念事業として、同市の小学校を対象に「日本庭園を造ろうコンクール」を行ったもので、この中から選ばれた作品が実際に造られました。
 また、これまでは両市のリアルな場で写真展を実施していましたが、今回はマルセイユ市のホームページで神戸のオンライン写真展を開催していただいており、また神戸市側でも公開に向けて準備中です。

(注)Kobe International Club:世界各地の神戸を愛する方々に、神戸の魅力の発信などを通じて、神戸を応援していただく組織。現在世界各地に26支部を設置(令和4年1月11日現在)

ユニクロ マルセイユ店でのプロモーション

 ユニクロの新店舗オープンに際し、マルセイユ市がユニクロ側に本市とマルセイユ市が姉妹都市であることをお話くださり、開店にあわせたプロモーションイベントの実施につながりました。店内で神戸の観光地などの写真展示、神戸の観光ガイドブック(フランス語)の来店者・取材記者へ配布を実施していただきました。地元紙にも神戸と姉妹都市提携60周年を迎えたことが記事として掲載され、マルセイユ市民に改めて神戸を思い出していただける機会となりました。

(写真3)テントの外には神戸の写真が展示してある 秋祭りでのKobe International Club
マルセイユ支部の出展の様子

Kobe International Clubマルセイユ支部

 2021年10月にマルセイユ市で開催された秋祭りへの出展による姉妹都市提携60周年を含めた神戸のプロモーションや、11月には主催イベントのMARSEKOBEでも、現地マルセイユから、神戸をマルセイユ市民に発信していただきました。

 いずれの取組も本市から職員が現地に渡航しておりません。このユニクロ店でのイベントは、マルセイユ市が提案し、本市とつないでくださらなければ実現しませんでした。マルセイユ市がそこで「神戸」を思い出し、行動してくれたことに、「関係性」という目には見えない、しかし60年という時間の中で確かに築かれてきたものを実感させてくれました。そして、Kobe International Clubマルセイユ支部は神戸への想いを込めてイベントを企画実施してくださいました。今回のように往来が困難な状況においては、現地の状況に通じた神戸の応援者が、現地で精力的に活動してくださるということの心強さを実感しています。コロナ禍で、行政だけではない、こうした一人ひとりの熱量が都市間の関係性を多様で豊かにしてきたのだと改めて感じる機会となりました。

3 寒い日のスープ

 新型コロナウイルスにより、想定していた交流事業が延期、中止となるなか、オンラインでのプロモーションやビデオ会議など対処療法的に対応せざるを得ないながらも、その代替手法の利便性などのプラスの面も発見し、今できることは何かを考えながら、国際交流を行ってきました。その過程の中で、我々がこれまで両者間で「培ってきたもの」を改めて振り返り、姉妹都市という都市間の関係性について考えるきっかけにもなったのではないかと思います。
 寒い日に食べるスープに温められるように、都市と都市、人と人とのかかわりあいの中で、これまで大切に培われてきた関係性に支えられながら、相互によい未来に向かっていけるよう、姉妹都市交流に取り組んでいきたいと考えています。

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