グローカル外交ネット

令和3年11月22日

令和3年11月16日
外務省地方連携推進室

 令和3年10月26日、「令和3年度第2回外交実務研修員研修」として、21名の外交実務研修員が豊田通商株式会社を訪問し、ネクストモビリティ、アフリカにおける事業、再生可能エネルギー/プラント、グローバルヘルスケア等同社取組について学びました。その概要は次のとおりです。

豊田通商の特色ついて

(写真1)机に座りモニター画面を見る研修員たち 研修風景

 はじめに、組織の特色として、トヨタグループの商社であり、自動車分野での強みを活かした取り組みがなされる一方、7つある営業本部の中には、商品を軸とした6本部に加え、アフリカという個別の地域の事業に注力するアフリカ本部を設けている点がユニークであること、また、生産準備から最適調達、加工物流、部品組付、販売・サービス、リサイクルに至るまで、グループ・パートナーとの連携を活かした様々な商流工程に携わっていることなどが同社の強みである旨等説明頂きました。多岐にわたる巨大プロジェクトを推進する傍ら、昨今高まる、これまでになかったニーズへの対応として、「ネクストモビリティ推進部」や「デジタル変革推進部」、「カーボンニュートラル推進タスクフォース」を立ち上げ、国内・海外での価値創造、社会貢献に全社一丸となって果敢に取り組まれておられることについて学びました。歴史ある企業ながら、顧客や社会のニーズだけでなく、持続可能な社会実現に向けた、未来を見据えた体制が構築されているように感じました。

ネクストモビリティ事業について

 水素ステーション運営等の水素インフラ事業、バーチャルパワープラント事業、LifeMaaS事業、低炭素エネルギーサプライチェーン構築、バイオガスの事業開発・貯蔵・利活用のための次世代エネルギー事業、EV/HEV等のバッテリー3R事業、バスDX事業など、「モビリティ」に関する多角的な事業について、国内自治体と連携して進行中のプロジェクトも含めてご紹介頂きました。社会変革に伴うニーズに応じた開発や投資を後押しするためにネクストテクノロジーファンドを設立するといった機動的かつ包括的なシステム構築など、リーディングカンパニーならではの最新鋭の取組についても新鮮な気持ちをもって知ることができました。例えば、交通・物流MaaS事業においては長崎県五島市でドローン物流の実証実験が行われているということです。
 水素利活用モデルのグローバル展開を行う同社は、製造・供給・使用の全工程に関わりを有し、国内では日本の自治体とも協力して水素ステーションの構築に取り組まれています。国内では件数がまだ少ないため、今後は自治体間で連携が図られて面的展開が進むことへの期待が伝えられました。水素供給事業で先行している欧州やカリフォルニアとの比較により、地球儀を見るような視点から次世代モビリティ事業のあり方について考察することができました。

アフリカ事業について

 2017年にアフリカ本部が設立され、アフリカ全54か国で事業が展開されている中、主要4事業(自動車などのモビリティ、医薬品販売などのヘルスケア、飲料等の現地生産・販売などの消費財関連、電力・インフラ開発事業)についてご紹介をいただきました。「WITH AFRICA FOR AFRICA」のスローガンを掲げ、アフリカ経済・社会の発展に貢献し、人々と地域社会とともに成長することを念頭においた活動を展開、その一環として、ケニア等に人材育成施設も設置しており、トヨタグループの文化である安全・カイゼン活動も現地に伝えるための取組を続けられているということです。事業の奥行きの深さを感じました。

再生可能エネルギー/プラント事業について

 イラクとエジプトにおける具体的取組について現地駐在経験のある社員の方からそれぞれお話を伺いました。イラクにおいては、同社のプロジェクトである変電所建設や作業船供与の事業についてご説明頂きました。また、エジプトにおいては民間企業初となる風力発電事業や自動車専用ターミナルを抱える港湾運営事業などについてご紹介頂き、こうした大きな事業を進めるにあたっての日本政府による側面支援の存在についても学びました。

グローバルヘルスケア事業について

(写真2)マイクで質問する様子 質疑応答風景

 コロナ禍において日本が世界でイニシアチブを取れる分野は何かを考えた結果生み出された、世界で初めてWHOによる医療器材品質認証PQS(Performance, Quality, Safety)を取得した保冷庫搭載型ランドクルーザー(ワクチン保冷輸送車)をGAVIやUNICEFを通じて途上国に供与した実績を映像とともにご紹介いただきました。同社の強みを最大限に活かしたラストワンマイル支援について学ぶことができました。

最後に

(写真3)外交実務研修員と豊田通商株式会社の方々 集合写真

 外交実務研修員研修として初の商社訪問研修となり、今回、豊田通商の多くの社員の皆様から、現場の臨場感に富む、フロンティア精神に満ち溢れたお話を伺うことができました。特に海外で取り組まれているプロジェクトにおいて外務省との協力・連携関係もよく分かり、在外公館への赴任を今後に控える外交実務研修員にとって、大変貴重な機会となりました。

 この度、大変有意義な研修を行っていただいた豊田通商株式会社の皆様に厚く御礼申し上げます。

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