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令和3年5月21日
(写真1)会場内の様子 大都市環境フォーラム
(写真2)きれいな海(ロシア語)の文字が映し出されたモニター 日露地域交流環境会議「きれいな海」
(写真3)マスクをして椅子に座る人々 聴衆の様子

在サンクトペテルブルク総領事館

 3月24日、サンクトペテルブルク市で、日露地域交流年事業として在サンクトペテルブルク総領事館とサンクトペテルブルク市政府の共催で、海洋プラスチックごみ問題に焦点を当てた日露地域交流環境会議「きれいな海」が開催されました。

1 学術文化と芸術の都、サンクトペテルブルク

 サンクトペテルブルクはロシア第2の都市として行政、経済、芸術、学術文化の中心地となっております。モスクワとは異なり海に面した海洋都市で、「北のベネチア」と称えられるように、市内には40以上の運河や河川が流れ、橋の数は340以上にのぼる非常に美しい街です。現在はコロナ禍により観光客は少ないですが、毎年非常に多くの観光客がこの街を訪問します。
 また、プーチン大統領やメドベージェフ元首相の出身地でもあり、経済フォーラムをはじめとして、毎年様々な国際会議がサンクトペテルブルクで開催されております。

2 海洋プラスチックごみ問題

 現在、世界中で年間800万トンの海洋ごみが発生しており、2050年にはごみの量が魚を上回るといった悲観的な予測もあります。海に流入したプラスチックはエサと間違えて飲み込んだ魚などが死ぬ原因となる他、5ミリメートル以下のプラスチックであるマイクロプラスチックとなり食物連鎖を通じて人間の体にも悪影響を及ぼします。こうしたことを受けて、2019年のG20大阪サミットでは海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が共有されました。
 サンクトペテルブルクも海洋プラスチックごみ問題を抱えております。隣接するバルト海沿岸の砂浜で2018年から2019年に行われた調査では、プラスチックごみが多く見つかっております。昨年、同市では国家プロジェクトによって多くの環境啓発行事や海岸の清掃活動が行われました。

3 サンクトペテルブルクで海洋プラスチックごみ問題を啓発

 海洋プラスチックごみ問題に対する意識を向上し、今後の日露協力の一分野にしたいという考えから、当館はサンクトペテルブルク市政府と共催で、3月23日~25日に開催された同市政府主催の国際会議「大都市環境フォーラム」の枠内で、24日、海洋プラスチックごみ問題に焦点を当てた日露地域交流環境会議「きれいな海」を実施しました。これには日露の専門家や北海道、山形県酒田市、富山県、大阪市、沖縄県の5つの地方自治体、NGO等が参加しました。
 会議では、冒頭にサンクトペテルブルク市を訪問したこともある玉城デニー沖縄県知事や松井一郎大阪市長のビデオメッセージが放映されました。その後、この分野の第一人者である高田秀重・東京農工大学教授やロシア国立水文気象大学教授が日露それぞれの現状と解決策等を述べた他、大阪市の「新たなペットボトル回収・リサイクルシステム」の導入や、酒田市の「とびしまクリーンツーリズム」など、各地方自治体の取組内容も紹介され、パネルディスカッションでは意見交換を行い、今後の本問題への協力の意向が日露双方から述べられました。
 本会議は、YouTubeでもオンライン中継しました。現在、コロナ禍で直接的な相互往来が困難な中、オンラインを用いて日本の地方自治体とロシアが一つのテーマに沿って交流をする好例となりました。当館は今後もコロナ禍でも実施可能な日露交流に取り組んでいきます。

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