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駐日モンゴル大使館における東京オリパラ・ホストタウン交流行事の開催
外務省大臣官房地方連携推進室


モンゴルの「馬頭琴(ばとうきん)」という名の弦楽器はご存じでしょうか。
古くからモンゴル遊牧民に伝わる楽器で,先が馬の頭の形をしていることからこのように呼ばれています。
今年4月に都内の駐日モンゴル大使館で開催された2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下,オリパラ)の「ホストタウン交流行事」においては,馬頭琴奏者が奏でるモンゴル国歌と君が代の美しい音色に迎えられました。

2002年の日韓サッカー・ワールドカップでは各国の代表チームが事前キャンプを行い,市民が一体となって各国代表チームを応援した光景を覚えている方もいらっしゃると思います。2020年東京大会のホストタウンに登録されるためには,必ずしも事前キャンプを行う必要はなく,選手団が練習を行える十分な施設を備えていない自治体でも,大会の前後で,相手国・地域の選手や市民との間で,スポーツに限らず,音楽,食文化など,いろいろな分野で交流を深めることができます。また,こうした交流が2020年の大会開催時の一時的なイベントに終わらず,大会終了後もホストタウンを通じた相手国との交流が末永く続くことが期待されています。
モンゴルはレスリング,柔道などの競技種目に力を入れており,東京大会でも複数のメダル獲得を目指しています。モンゴルとは,これまで二国間交流が活発に行われていることもあり,北は青森県から南は宮崎県まで18もの自治体がホストタウンに登録されています。ホストタウン交流の内容については,オリパラ競技種目の事前キャンプを行う自治体,小学生がモンゴルの生活習慣や文化を学ぶ機会を設ける自治体,FMラジオ番組でモンゴルを特集する自治体,市内の相撲大会にモンゴルの少年を招待する自治体など多種多様です。
「ホストタウン交流行事」では,こうした各自治体の交流の取組の現状や今後の課題について発表が行われました。中には,大会前後に自治体間で協力して選手団を「リレー」してお世話することが計画されている事例もあり,頼もしく感じました。ホストタウンを担う自治体からも「横のつながりができた」「他の自治体の交流が大変参考になった」との声も聞かれました。何よりモンゴルの選手が東京大会で最高のパフォーマンスを発揮するために応援してくださるサポーターの方がこんなにも多いのかと実感し,大会終了後も,今回のホストタウン交流を通じたご縁から,両国の関係が更に深まることが大いに期待できる会合でした。
このように東京大会の参加国の駐日大使館が音頭をとって,全国のホストタウンに登録されている自治体を集めて意見交換を行い,親交を深める会合は,ドイツやニュージーランドなども開催しています。今後ホストタウンの数が増えるにつれて,こうした動きがさらに活発になり,ホストタウン交流を通じた人や国同士のつながりが深まっていくことを切に願っています。