平成23年4月8日
4月3日~8日、タイ・バンコクにて、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)及び京都議定書(KP)の下の特別作業部会(AWG)等が行われたところ、概要以下のとおり。我が国から、南川環境事務次官、山田外務省国際協力局参事官ほか、外務・農林水産・経済産業・国土交通・環境各省関係者が出席した。
今回のAWG会合は、昨年末にメキシコのカンクンで開催された第16回気候変動枠組条約締約国会議(COP16)後に初めて開催された、本年最初の公式な国連交渉であった。また、上記AWG会合に先立ち、先進国及び途上国の緩和(排出削減目標・行動)に関するワークショップ及び技術移転に関するワークショップが行われた。
今回の会合では、本年末に南アで開催される第17回気候変動枠組条約締約国会議(COP17)に向け、本年前半にどのような作業を行うかを定めるための条約作業部会議題案に合意した。
なお会合中、多くの国から、3月11日に発生した我が国の東日本大震災の犠牲者に対する弔意と連帯の意が表明された。
作業部会に先立ち行われたワークショップでは、米国、EU、英国、ドイツ、フランス、ロシア等を含む17のグループ・締約国が、主に自国の排出削減目標についてプレゼンテーションを行った。その後質疑応答を通じ、各国の目標の前提条件や目標の野心度の引き上げ等に関する意見交換が行われた。我が国からは、南川環境事務次官が、震災に対する世界各国からのお見舞いと支援に謝意を表するとともに、我が国は震災の被災者救済と復興に全力を注いでいるところであるが、気候変動に対して、なし得る努力は惜しまないことと、全ての主要国が参加する一つの公平かつ実効性ある国際枠組みの構築に向けて交渉に引き続き積極的に参加していく旨のステートメントを行った。
中国、インド、ブラジル、韓国、メキシコ、南アフリカ、小島嶼国連合(AOSIS)等を含む12のグループ・締約国が、主に自国の温暖化対策に関するプレゼンテーションを行った。その後質疑応答を通じ、各国の政策をさらに促進する方法等について意見交換が行われた。
日本、米国、EU、中国、インド等が、「カンクン合意」で設立された技術メカニズムの在り方、気候技術センター・ネットワークの役割、技術メカニズムと他のメカニズムとの関係等に関するプレゼンテーションを行った。我が国からは、気候技術センター・ネットワークのデザイン等について我が国の案を説明した。
会合期間中、米国、EU、フランス、南アフリカ(COP17議長国)、インドネシア、メキシコ(COP16議長国)、ニュージーランド、アフリカ主要国等との意見交換を行った。会談では、本年末に南アフリカで開催されるCOP17に向けた交渉の進め方について議論するとともに、我が国からは、気候変動交渉における我が国の立場や震災の影響等について説明を行った。また、米国やインドネシアとは、技術・資金・市場メカニズム・森林保全等のさまざまな分野における二国間協力の可能性についても意見交換を行った。