平成22年10月26日
10月26日、愛知県名古屋市において、前原外務大臣及びアバル・パプアニューギニア外務貿易移民大臣の共同議長の下、標記会合が行われた。本会合は、気候変動問題への対応において、森林の減少及び劣化に由来する排出の削減等(REDD+注)の取組が重要な役割を果たすことが、昨年末の国連気候変動条約第15回締約国会議において国際社会で広く認識されたことを受け、REDD+の取組の国際的な連携・協調の強化を目的として設立された「REDD+パートナーシップ」の下で開催された。各国閣僚級を含む62か国の代表、関係国際機関及び条約事務局(UNFCCC事務局、UN-REDD事務局、世界銀行、UNDP、UNEP、FAO、ITTO、UNFF等)、NGO等が参加した。
本会合は、前原外務大臣の共同議長の下で実施されたが、午前セッションについては前原大臣の代理として山花外務大臣政務官が共同議長を務めた。また我が国政府代表として近藤環境副大臣が発言した。
各国、関係国際機関及びNGO等からは、REDD+が最も重要な気候変動緩和策の一つであると同時に、国連気候変動条約交渉の下で実質的に前進している分野であり、国際社会が協力してREDD+への取組を強化すべきとの強い意思と、REDD+パートナーシップの下で実施されてきた今まで取組への前向きな評価が示された。また、多くの国より本会合主催国である我が国と、我が国と同じく共同議長であるパプアニューギニアに対して謝意が表明された。
午前セッションでは、冒頭にREDD+の活動、資金及び結果をまとめたデータベースの構築や情報共有及び対話促進のためのホームページの立ち上げ、本パートナーシップにおける利害関係者の関与の方法等、REDD+パートナーシップの活動実績について、共同議長及びREDD+パートナーシップ事務局より報告がなされた。
右報告を受け、各国からは、透明性の向上とREDD+の活動及び資金の拡大のため、データベース構築は有意義であり、データの内容・質を引き続き発展させるべきとの見解が示された。また、同データベースを基に資金の不足や重複について初期的な分析が開始されたことについても、効率的・効果的な支援を実施するための取組として評価された。
途上国より、REDD+の国内的な取組の実績・経験や、地域間・二国間を通じた取組の現状等が紹介されたほか、取組を実質的に拡大するため、支援の拡充が要望された。先進国からは、資金の拡大を行う上で民間資金・投資の役割が重要との指摘がなされ、官民パートナーシップの活用等が提案された。
午後セッションでは、2012年の作業計画の大枠を決めるため、これまでの実績を踏まえた上で、今後の取組の方向性について議論を行った。
多くの国より、REDD+パートナーシップの下での野心的な取組を継続すべきとの意思が確認され、本プロセスでの活動を継続し、活動を発展させるため、2011及び2012年の作業計画を本年中に決定するべきとの主張がなされた。また、パートナーシップの運営方式の議論よりも、具体的なREDD+の支援活動に重点を移していくべきとの意見もみられた。
また、気候変動の緩和のみならず、生物多様性、貧困削減等も含めて、森林が多面的な機能を有することにも留意しつつ、森林保全の取組を進めていくべきとの指摘がなされた。
また、ベルギー、イタリアよりREDD+に関する新規の資金コミットメント、英国より気候変動短期支援に係る追加的な資金コミットメントが表明された。
REDD+の活動・資金の拡充が、気候変動交渉の前進への弾みとなることを踏まえ、多くの国より本会合がCOP16へ強力なモメンタムとなるとの理解が示された。また、REDD+パートナーシップの下でREDD+の具体的取組促進に向けて様々な措置をとることにより、経験や知見を蓄積し、国連気候変動交渉において議論されているREDD+メカニズムの構築に向け、前向きな影響を与えることができる旨が確認された。
本会合の閉会セッションにおいて、本会合での議論の概要と2011年及び2012年の作業計画をまとめたものとして、共同議長サマリーを発出した(共同議長サマリー(英文及び仮訳)。気候変動の重要な柱であるREDD+の取組を加速化するための方向性を打ち出すことにより、本会合での前向きな動きを、1ヶ月後のCOP16の成功に繋げていくべきことで認識が一致した。
近藤環境副大臣から、我が国の取組みや今後に向けた活動の課題等について発言を行った。特に、森林資源の把握や温室効果ガス排出削減の測定、報告、検証(MRV)確保に貢献しうるリモートセンシング技術や研究体制による貢献と、課題として1)民間資金・投資を促進するための枠組み、2)森林炭素モニタリング手法の開発、3)生物多様性保全等のコベネフィットへの配慮の重要性を指摘した。また、カンクンCOP16では、REDD+を含めたバランスの取れたパッケージの合意を目指すべきと主張した。
本会合の機会を利用し、パプアニューギニア、メキシコとの意見交換を行った。
注) 開発途上国における森林の減少及び劣化による排出の削減並びに森林保全、持続可能な森林経営及び森林炭素蓄積の増加の役割(バリ行動計画(決定1/CP13)