地球環境

森林保全と気候変動に関する閣僚級会合
共同議長サマリー(仮訳)

平成22年10月26日
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 2010年10月26日,日本国愛知県名古屋市において前原誠司日本国外務大臣及びサミュエル・T・アバル・パプアニューギニア独立国外務貿易移民大臣の共同議長の下,森林保全と気候変動に関する閣僚級会合が開催された。

 本会合は生物多様性条約第10回締約国会議の際に開催され,REDD+パートナーシップに参加する62カ国の閣僚及び代表団長が出席した。また,多様な国際機関,地域機関,非政府組織及び市民社会の代表も出席した。

 閣僚は,COP15以前及びCOP15での,コペンハーゲン合意を含むREDD+1の重要な進展を想起し,2010年3月にパリで開催された主要森林流域に関する国際会議でなされた,経験の共有を含むREDD+の活動及び支援の連携を強化するための暫定的なプラットフォームを構築するとの一般的なコミットメントを再確認した。さらに,閣僚は,2010年5月27日に開催された気候と森林に関するオスロ会議及び「REDD+パートナーシップ」の設立を,REDD+の活動及び資金の国際的な取組のための里程標として言及した。

 閣僚は,REDD+の活動及び資金を拡大するための暫定的なプラットフォームとして,REDD+パートナーシップにより果たされるべき決定的な役割を再確認し,その目的のために,REDD+の取組の有効性,透明性及び連携を向上させるために迅速な行動をとることを再確認した。閣僚は,社会的及び経済的な利益を含む森林の多面的な機能を活用する観点から,REDD+の活動の重要性に留意した。特に,本会合を生物多様性条約第10回締約国会合の際に開催することにかんがみ,閣僚は,気候変動及び生物多様性の相乗効果並びに,関連する保全措置を含む実用的な経験の教訓を共有するパートナーシップの役割を認識した。

 閣僚は、REDD+の活動に対する支援として,ベルギーがGEFの持続可能な森林経営及びREDD+プログラムに対して1000万ユーロの新たなプレッジを行ったこと,カナダがFCPF準備基金に対して4000万カナダドルの新たなプレッジを行ったこと,イタリアがREDD+の活動に対してFCPFに対する500万米ドルの拠出を含む1億米ドルの新たなプレッジを行ったこと,英国が気候変動対策の短期支援として,2011/12年度と2014/15年度の期間について29億ポンド(約45億米ドル)の拠出(短期支援として既に表明した15億ポンドを含む。)を表明したことを歓迎した。

 また,閣僚は,豪州,カナダ,フィンランド,フランス,ドイツ,日本,ノルウェー,スウェーデン,スイス,英国及び米国を代表してドイツが行った,天津で提示された予算に基づく2010年及び2011年のREDD+パートナーシップの運営費用を支援するとの声明を歓迎した。

1.REDD+パートナーシップの下での活動の成果

 閣僚は,パリからオスロへのプロセスに続くREDD+パートナーシップの下の活動の実施上の進展を高く評価した。これに関連し,閣僚は,パートナーシップ参加国の拡大を歓迎した。閣僚は,オスロで合意されたREDD+パートナーシップ文書の原則及び同原則を更に発展させ天津で決定された利害関係者の参加方式に従い,利害関係者がパートナーシップに包括的に参加することの重要性を再確認した。

 閣僚は,また,2010年の作業計画の下での成果を歓迎した。この成果には,自発的なREDD+のデータベースを通じたREDD+の資金,活動及び結果についての透明かつ包括的な情報の提供並びに情報の共有及び対話を強化するためのREDD+パートナーシップのウェブサイト2立ち上げが含まれる。閣僚は,REDD+の活動及び資金の連携の強化を通じてREDD+の取組を向上させるための不可欠な基礎として,自発的なデータベースの重要性を認識するとともに,パートナー国に対して,引き続きデータベースに貢献し,及び継続的に情報を更新することを求めた。閣僚は,パートナー国及び利害関係者からデータベースのために集められた情報の範囲及び質を向上させること,並びに公表されたデータ を用いて定期的に評価することの必要性に留意した。

 資金の不足及び重複についての初期的な分析に言及しつつ,閣僚は,既に行われた野心的な取組を歓迎するとともに,2010年末までに終了する初期的な分析を考慮しつつ,REDD+の活動及び資金の不足を減らし,重複を回避し,及び効果的な実施を最大化するための行動をとる必要性を認識した。

2.REDD+パートナーシップの下での将来の活動の方向性

 これまでの進展に基づき,閣僚は,REDD+パートナーシップ文書の付表II及び最近作成された作業計画に列挙される方策を引き続き実施することの重要性を認識した。同時に,閣僚は,パートナーシップがREDD+の資金及び活動の更なる効果的な拡大並びに透明性,効率性及び連携の更なる強化に貢献するとの共通の確信を得た。

 この目的のために,閣僚は,2011年から2012年に実施されるものとして,2010年作業計画で予定される活動のうちいまだ完了していないものを延長するとともに,本文書の附属書Iに要約される準備活動,実証活動及び結果に基づく活動を促進することを含む更なる活動を追加し,もって包括的なREDD+パートナーシップの2012年までの作業計画を作成する共通の意図を表明した。また,閣僚は,2011年から2012年までの作業計画を2010年末までに完了させるためにあらゆる努力を尽くす決意を表明した。

 また,閣僚はパートナーシップが活動志向型であることを目指すものであって,交渉の場ではないことに留意するとともに,効果的な対話並びにすべてのパートナー国及び関連の利害関係者を含む開放された,かつ,透明なプロセスを確保することの重要性を改めて表明した。

3.REDD+パートナーシップ及びCOP16の成功

 閣僚は,パートナーシップの本質はパートナー国主導であること並びに具体的で拡大されたREDD+の活動及び資金の蓄積及び連携の向上は,国連気候変動枠組条約の下でのREDD+の政策及び活動のためのインセンティブを含むメカニズムの構築を支援する強力な原動力であることを認識した。

 本閣僚会合は,メキシコ・カンクンで行われるCOP16に向けた重要な足掛かりであった。閣僚は,COP16において,REDD+に関する決定を含む成功裡の,かつ,バランスのとれた成果を達成するため,国連気候変動枠組条約の下での取組を加速させるとの強い意図を表明した。


  1. 注1) 開発途上国における森林の減少及び劣化による排出の削減並びに森林保全,持続可能な森林経営及び森林炭素蓄積の増加の役割(バリ行動計画(決定1/CP13))。
  2. 注2) http://reddpluspartnership.org(他のサイトヘ)

附属書I
REDD+パートナーシップの2011-2012年作業計画の枠組み

 パートナー国は2011年及び2012年におけるパートナーシップの将来のビジョン,すなわち,能力の向上,技術の開発及び知識の移転を促進すること等を通じてREDD+の活動及び資金の効果的な拡大という主要目的を達成するとのビジョンを共有した。この関連で,パートナー国は,促進すべき活動として,準備活動,実証活動及び結果に基づく活動の3つの活動を確認した。経験,教訓及びベストプラクティスの共有は,REDD+の実施及び支援における一層効果的な実践を確立する上で核心となる。また,資金の流れ及び活動の透明性も,有効性及び連携を向上させるために重要である。そして,市民社会,先住民及び地域共同体の完全かつ実効的な参加の確保が重要である。

 以下の活動分野は,2011年及び2012年にパートナーシップの下で集中すべき取組としてパートナー国により特定された。

1.準備活動の促進

 準備活動を促進するため,パートナー国は,制度上の措置及びガバナンス構造の強化,国家戦略の策定,能力の向上,技術の開発及び知識の移転並びに研究機関との協力について,経験及び習得された教訓の共有に集中する。

以上の活動を促進するため,以下の実施措置を検討する。

2.実証活動の促進

 パートナー国は,実証活動を開発し,及び実施する。

 以上の活動を促進するため,以下の実施措置を検討する。

3.結果に基づく活動の促進

 パートナー国は,結果に基づく活動の実施を促進するとともに,活動を拡大し,及び環境サービスへの対価の提供を行うことにより,実証活動から結果に基づく活動へと移行する。

 以上の活動を促進するため,以下の実施措置を検討する。

4.資金及び活動の拡大の促進

 パートナー国は,多様な国際機関,資金源及び資金メカニズムの透明性及び連携を向上させるとともに,活動及び資金をより効果的に拡大する方法を理解するため,公共部門及び民間部門を更に関与させる。

 以上の活動を促進するために,以下の実施措置を検討する。

5.透明性の推進

 パートナー国は,情報の共有及び対話を強化する手段として,自発的なデータベース及びREDD+パートナーシップのウェブサイトを更に開発する。データ及び情報の提供を通じてREDD+活動の実施の促進が期待される。

 以上の活動を促進するために,以下の実施措置を検討する。

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