地球環境

エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)
第7回会合 概要

平成22年7月2日
日本政府代表団

1.日程・場所

 6月30日及び7月1日,於イタリア・ローマ

2.参加国等

  1. (1) 日本,米国,中国,ロシア,インド,ドイツ,カナダ,英国,イタリア,韓国,フランス,メキシコ,オーストラリア,南アフリカ,インドネシア,ブラジル,EU(現議長国スペイン及びEC)及び国連が参加し,デンマーク(気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)議長国),バングラデシュ,バルバドス,エチオピア,シンガポール,アラブ首長国連邦及びムカハナナ=サンガウェAWG-LCA議長がオブザーバーとして出席(コンゴ(民),ペルー及びイエメンも招待されたが出席はしなかった)。(我が国よりは杉山外務省地球規模課題審議官等が出席した。)
  2. (2) マイク・フローマン米国家安全保障次席補佐官及びプレスティジャコモ・イタリア環境大臣が議長を務めた。

 AWG-LCA:気候変動枠組条約の下での長期的協力の行動のための作業部会

3.議論の概要

  1. (1) 今次会合では,COP16で目指すべき成果,特に適応と資金,測定,報告及び検証(MRV)/透明性,緩和につき,建設的な議論が行われた。特に,MRV/透明性については掘り下げた議論がなされた。
     MEFは第1回会合開催以来14か月が経ち,出席者間で多くの時間を共有した結果オープンでフランクな議論ができるようになったとの評価がなされた。
  2. (2) 短期資金
     コペンハーゲン合意(CA)にある短期資金の早急な実施の重要性,及び最大限の分かり易さ(clarity)と透明性(transparency)が国際的信頼醸成に寄与し,カンクンにおけるバランスのとれた成果を得るために必須であることが強調された。特に必要性が高い途上国や気候変動に脆弱な途上国の適応支援へ焦点を絞ることが必要であるとの指摘がなされた。
     CAの下で実施済みの短期支援について最新情報が共有された。
  3. (3) MRV/透明性
     CAに従い(a)附属書I国の緩和,(b)非附属書I国の緩和を支援する資金及び技術支援,及び(c)非附属書I国の緩和の3つの分野のMRVについて議論する必要性が指摘された。カンクンにおいてはどこまで決定する必要があるかについて種々意見が表明された。
     附属書Ⅰ国の緩和については、既存のガイドラインが種々存在すること,頻度及び内容の点でこれらガイドラインがどの程度十分であるか議論された。非附属書Ⅰ国の緩和については,特に,あり得べき国際的な協議及び分析(ICA)プロセスについて,原則(例:締約国主導(Party-driven)であるべき,政治性の排除等)や実施の要素(例:締約国のフォーカル・ポイントの設置,事前の書面による照会の機会等)などのアイデアが提示された。
  4. (4) 緩和
     CAに基づき多様な削減目標や行動がリスト化されていることに留意の上,CAの付表を如何に次期枠組みに反映させるのか,目標や行動の性格(法的拘束力をもつべきか否か),文書の形式,目標/行動を反映するタイミング,公平性の取扱い等につき議論を深めた。また,附属書I国の追加や,他のプロセス(例えば,削減を進める上での森林減少に対処するパリ~オスロ・プロセス)の重要性も指摘された。
  5. (5) その他

    (イ) 2009年7月のラクイラ・サミットの際のMEF首脳会合において開始されたグローバル・パートナーシップの技術行動計画(TAP)を前進させるため,7月19日,20日,ワシントンDCにおいてクリーン・エネルギー大臣会合が開催され,エネルギー効率,その供給及びエネルギーへのアクセスにつき,新しいイニシアティブが開始される旨,また,交渉の加速を念頭に,メキシコとインドが11月8日,9日に技術に関する閣僚会合を共催することが紹介された。
    (ロ) メキシコより,他国との閣僚級会合の共催を含む,カンクンでの成果を促進するためのプランにつき紹介があった。

  6. (6) 日本政府は,これまで同様,すべての主要国が参加する公平で実効的な枠組みを構築するため,CAを踏まえて,新しい一つの包括的な法的文書の採択を目指すべきとの立場で議論に積極的に参加した。また,日本の150億ドルの短期支援策の実施状況に触れつつ,CA実施における先進国側のコミットメントとして短期支援の迅速な実施の重要性を強調したほか,長期資金支援(資金源,ガバナンス)の検討の重要性も指摘した。
  7. (7) 我が国において革新的資金調達メカニズムについても議論されており,本年後半「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ」(LG)議長国を務める日本としても革新的資金調達に関する内外の関心を一層喚起し,その発展に貢献することにより,LG議長国としての務めをしっかりと果たす考えである旨紹介した。
このページのトップへ戻る
目次へ戻る