地球環境

エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)
第9回会合(概要)

平成22年11月18日

1.日程・場所

 11月17日及び18日,於ワシントンDC

2.参加国等

  1. (1) 日本,米国,中国,ロシア,インド,ドイツ,カナダ,英国,イタリア,韓国,フランス,メキシコ,オーストラリア,南アフリカ,インドネシア,ブラジル,EU(現議長国ベルギー及びEC)及び国連が参加し,バルバドス,コロンビア,コンゴ民主共和国,デンマーク,ニュージーランド,シンガポール及びスペインがオブザーバーとして出席。(我が国よりは杉山外務省地球規模課題審議官等が出席した。)
  2. (2) マイク・フローマン米国家安全保障次席補佐官が冒頭出席し,リーフシュナイダー国務省次官補代理が議長代理を務めた。

3.議論の概要

  1. (1) カンクンにおいて,適応,緩和,測定・報告及び検証/国際的協議及び分析(MRV/ICA),資金及び技術等の一連の決定(パッケージ)を採択すべきとの点につき意見が一致した。今次会合においては,これらの事項につき如何に交渉を前進させるかにつき議論,また,京都議定書と,条約の下での長期的協力の行動(LCA)に関する交渉プロセスとの関係についても議論が行われた。
  2. (2) 各論
    1. (イ) 技術メカニズムは技術執行委員会(TEC)並びに気候技術センター及びネットワーク(CTCN)で構成されるべきとの点が留意され,また,これらの相互関係,COP(締約国会議)及び条約の下での資金メカニズムとの関係につき議論がなされた。COP17におけるこれらの組織の設立を念頭に,カンクン以降に回すべき論点等についても議論があった。
    2. (ロ) カンクンの成果は一乃至複数のCOP又はCMP(京都議定書締約国会合)決定の形式をとる可能性が高い一方で,法的拘束力を有する形での成果が視野からはずれた訳ではないとの認識がなされた。他方,カンクンにおいて将来的な成果の法的形式に明確に触れるべきか否かという点については,法的形式に係る議論が内容に関する合意形成を妨げるのではないかとの懸念等もあり,意見は異なった。
    3. (ハ) 短期資金,新しい緑の基金及び長期資金源について議論が行われ,基金については望ましい要素,そのあり方(COPとの関係等)及びそのデザインを決めるプロセスについて議論された。長期資金源については,気候変動資金に関するハイレベル諮問グループ(AGF)の報告書の重要性が指摘され,カンクンの成果の中で留意すべしとの意見が多く出された。短期資金に関し,コペンハーゲン合意(CA)におけるコミットメントをカンクンでのバランスのとれたパッケージとしての成果の中で留意すべきか否かという点が検討された。
    4. (ニ) 適応に関する現在の体制強化の必要性につき異論はなく,適応と開発のリンクについて留意された。適応に関する新たな組織の要否については,その機能や,資金についての意見が異なったこともあり,意見は分かれた。
    5. (ホ) CAやカンクンでの成果におけるMRV/ICAの重要性は多くの参加国が指摘し,ラメシュ・インド環境林業大臣のノンペーパー(一般原則に留まらずICAの範囲,目的,頻度等につき提案)を基にまとまった議論がなされた。多くの参加国が,ICAの重要性や他の事項とのバランスにもかんがみ,カンクンでの成果にはICAの一般原則に留まらず,詳細に掘り下げたものとする必要性を指摘した。ダーバン(南アフリカ)でのCOP17におけるICA実施に関するガイダンス合意に向けてのプロセス(専門の委員会かLCAかSBIか)についても議論が行われた。
    6. (ヘ) 緩和については,CAに基づく緩和目標・行動のプレッジを如何にカンクンの成果につなげるか等についても議論された。それぞれ一部の参加国から,提出された削減目標の合計は長期的削減目標との関係で十分でない,LCAにおける交渉成果と併せ京都議定書第2約束期間を設定することが重要,プレッジをAWG-LCAとAWG-KPの決定文のどちらに書き込んでも良いようにしてはどうか,各国の削減目標の拠って立つ前提等を分かり易くするプロセスが必要,市場メカニズムの役割は重要,等の指摘がなされた。

4.

日本政府は,これまで同様,すべての主要国が参加する公平で実効的な枠組みを構築するため,CAを踏まえて,新しい一つの包括的な法的文書の採択を目指すべきとの立場で議論に積極的に参加するとともに,技術セッションにおいてリードオフを務めた。また,日本として,京都議定書の第2約束期間の設定については,全ての主要国による公平かつ実効的な一つの枠組みにならないことから,附属書Bの改正に同意することはないとの我が国の従来の立場を改めて述べた。

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