地球環境

気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17)京都議定書第7回締約国会合(CMP7)等の概要

平成23年12月11日

  • (写真)COP17議長主催非公式会合(INDABA)出席
    COP17議長主催非公式会合(INDABA)出席
  • (写真)経団連・IEEJ・JICA共催サイドイベントでの冒頭挨拶
    経団連・IEEJ・JICA共催サイドイベントでの冒頭挨拶

1 全体の概要

  1. (1)11月28日から12月11日まで南アフリカ共和国ダーバンにおいて,気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17),京都議定書第7回締約国会合(CMP7)等が行われた。細野環境大臣,中野外務大臣政務官,北神経済産業大臣政務官,仲野農林水産大臣政務官等が出席した。
  2. (2)主に前半に行われた事務レベルの交渉(条約作業部会(AWG-LCA)及び議定書作業部会(AWG-KP))を経て,6~9日のハイレベル・セグメントに参加した閣僚間でさらに協議を重ねた結果,会期を1日半延長し,最終的にはCOP及びCMPの一連の決定が採択された(以下3参照)。

2 日本政府の対応

  1. (1)日本政府は,COP16で合意されたカンクン合意を踏まえ,すべての主要排出国が参加する公平かつ実効性のある国際枠組みを構築する新しい一つの包括的な法的文書の早急な採択という最終目標に向けた道筋を今次会合で明らかにし,必要な作業に着手することで一致することを目指して交渉に臨んだ。交渉の最大の焦点であった2013年以降の枠組みの在り方については,新たな作業部会を設置することなどの建設的な提案を行って交渉の進展に貢献した。他方,途上国が求めていた京都議定書の第二約束期間については,将来の包括的な枠組みの構築に資さないため日本は参加しないとの立場を貫いた。
  2. (2)細野環境大臣による演説等を通じ,上記の交渉立場に加え,東日本大震災という国難にあっても日本国民は気候変動問題に積極的に取り組んでいること,現在新しいエネルギーベストミックス戦略・計画に向けた検討と,今後の温暖化対策の検討を表裏一体で進めていることを説明した。また,地球温暖化対策への効果的な取組として「世界低炭素成長ビジョン-日本の提言」を公表したことや,日本が約束した官民合わせて150億ドルの短期資金を今後も着実に実施していくことを表明した。
  3. (3)細野環境大臣,中野外務大臣政務官,北神経済産業大臣政務官及び仲野農林水産大臣政務官は,会合期間中に各国と精力的に二国間会談を行い,改めて日本の立場を説明して理解を求めると共に,会合の成功に向けた連携を確認した。

3 今次会合の成果

  1. (1)今次会合では,将来の枠組みへの道筋,京都議定書第二約束期間に向けた合意,緑の気候基金,及びカンクン合意の実施のための一連の決定,という4つの大きな成果があった。
  2. (2)将来の枠組みに関しては,法的文書を作成するための新しいプロセスである「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会」を立ち上げ,可能な限り早く,遅くとも2015年中に作業を終えて,議定書,法的文書または法的効力を有する合意成果を2020年から発効させ,実施に移すとの道筋に合意した。同作業部会は,2012年前半に作業計画を作成し,作業の進展状況をCOPに報告することとなっている。条約作業部会(AWG-LCA)については,期限を1年間延長し,来年のCOP18にてバリ行動計画の目的を達成するための一連の決定を採択することによりその役割を終えることとなった。
  3. (3)京都議定書については,第二約束期間の設定に向けた合意が採択された。我が国を含むいくつかの国は第二約束期間には参加しないことを明らかにし,そのような立場を反映した成果文書が採択された。議定書作業部会(AWG-KP)は,第二約束期間に参加する先進国の削減目標の設定をCOP18で行い,その役割を終えることとなった。なお、森林吸収源等(LULUCF)については、各国の状況を反映した算定方法である「参照レベル」方式が適用されることとなり、我が国のこれまでの主張が大筋で反映された形で合意した。
  4. (4)将来の枠組みに加え,昨年採択されたカンクン合意に基づき,緑の気候基金の基本設計に合意するとともに,削減目標・行動推進のための仕組み,MRV(測定・報告・検証)の仕組みのガイドライン等,適応委員会の活動内容,国別適応計画の内容,資金に関する常設委員会の機能,気候技術センター・ネットワークの役割,対応措置やキャパシティ・ビルディングのフォーラムの立ち上げ等に合意した。新たな市場メカニズムについては,国連が管理を行うメカニズムの方法・手続の開発,及び各国の国情に応じた様々な手法の実施に向けて検討を進めていくことに合意した。
  5. (5)なお,次回のCOP18はカタールがホストし,ドーハで開催されることとなった。


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