
気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)
京都議定書第6回締約国会合(CMP6)等の概要
平成22年12月10日
1.全体の概要
- (1)11月29日から12月10日までメキシコのカンクンにおいて、気候変動枠組条約第16 回締約国会議(COP16)、京都議定書第6回締約国会合(CMP6)等が行われた。松本環境大臣、山花外務大臣政務官、田嶋経済産業大臣政務官、田名部農林水産大臣政務官等が出席した。
- (2)主に前半に行われた事務レベルの交渉(条約作業部会(AWG-LCA)及び議定書作業部会(AWG-KP))を経て、7日~10日のハイレベル・セグメントに参加した首脳・閣僚間でさらに協議を重ねた結果、COP及びCMPの一連の決定が採択された(3.参照)。
2.日本政府の対応
- (1)日本政府は、COP15で作成された「コペンハーゲン合意」を踏まえ、米国・中国を含む全ての主要排出国が参加する公平かつ実効的な国際枠組みを構築する新しい一つの包括的な法的文書の早急な採択を目標とし、これに向けた一里塚となるよう、先進国と途上国の排出削減(緩和)と資金等の支援との間のバランスのとれたCOP決定の作成を目指した。途上国から先進国に対しては、京都議定書の第二約束期間の設定に関する強い要求があったが、先進国のみに義務を課し、米国の参加も見込めない京都議定書は、世界規模の温室効果ガス排出削減につながらないことから、我が国は第二約束期間の設定に反対する立場を貫き、粘り強く交渉した。松本環境大臣による演説等を通じて、京都議定書第二約束期間に関する我が国の立場を改めて述べたほか、坂場COP16担当大使名の書簡(PDF)
もフィゲレス条約事務局長宛に送付した。
- (2)松本環境大臣、山花外務大臣政務官、田嶋経済産業大臣政務官及び田名部農林水産大臣政務官は、会合期間中に各国と精力的に二国間会談を行い、改めて日本の立場を説明して理解を求めると共に、会合の成功に向けた連携を確認した。また、途上国との会談では、短期資金を含む日本の支援に対する謝意が示された。
- (3)AWG-LCAでは、共有のビジョン、先進国・途上国の緩和の約束・行動及びその透明性の確保、適応(気候変動の悪影響への対策)、資金支援、技術移転、キャパシティビルディング、炭素市場、REDD+(途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減等)、対応措置、分野別アプローチ(農業・国際バンカー油)について議論した。
- (4)AWG-KPでは、先進国の削減目標、森林等吸収源(LULUCF)、市場メカニズムの活用、対象ガス等について議論した。森林経営の今後の検討方法を決定した森林等吸収源を除き、あまり各論に進展は見られなかった。
3.今次会合の成果等
- (1)COPでは、「コペンハーゲン合意」に基づく、2013年以降の国際的な法的枠組みの基礎になり得る、包括的でバランスの取れた決定が採択された。その一部として、同合意の下に先進国及び途上国が提出した排出削減目標等を国連の文書としてまとめた上で、これらの目標等をCOPとして留意することとなった。これにより、我が国が目指す、すべての主要排出国が参加する公平かつ実効的な国際枠組みの構築に向けて交渉を前進させることとなった。
- (2)CMPでは、京都議定書第二約束期間に対する各国の立場を害しない旨脚注で明記しつつ、COPと同様に先進国の排出削減目標をまとめた文書に留意することとなった。また、AWG-KPの作業の成果を踏まえ、今後の交渉の土台となる文書が作成された。
- (3)AWG-LCAは、さらに一年間作業を継続することが決定された。AWG-KPでの作業も引き続き継続される。今後は、2011年末に南アフリカにて開催されるCOP17・CMP7に向け、これら作業部会においてCOP16・CMP6での合意内容を基礎とした交渉を続けることとなる。
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