
クリーン開発と気候に関する
アジア太平洋パートナーシップ(APP)第3回閣僚会合
-概要と評価-
2009年10月27日
日本政府代表団
I 会議概要
(1)日時:2009年10月27日(火曜日)
(2)場所:上海国際会議中心、中国・上海
(3)参加者:我が国をはじめ、中国、米国、豪州、インド、カナダ及び韓国の7か国から、政府関係者及び民間関係者が出席。我が国からは、望月経済産業事務次官が出席し日本政府の代表を務めた。また、西村内閣官房参与、竹本地球環境審議官及び本部資源エネルギー庁次長等が出席した。各国からの主な出席者は別紙1(PDF)
のとおり。
II 主要議事と結果
(1)冒頭、各国のステートメントが発表された。
- (イ)我が国を代表し望月経済産業事務次官からは、冒頭、9月に国連気候変動首脳会合で行われた我が国の中期目標及び「鳩山イニシアチブ」に関する鳩山総理の演説について紹介を行ったところ、議長国の中国から高い評価と期待が表明された。
- (ロ)さらに、望月次官から、APPは、参加国の官民が協調し具体的なプロジェクトを推進する取組であること、気候変動問題について世界的な協力の重要性が高まる中、その模範となるものであり、今後とも継続、強化されるべきことなどを強調した。
- (ハ)続いて、今後のAPPの進むべき方向性について、次の3つを提案した。
- 1)鉄鋼やセメント分野における、排出測定方法の標準化・共通化や優良技術集の取り纏めのような体系的な取組は、他分野へも拡大すべき。また、現在の8つの対象分野の二酸化炭素排出量のカバー率を上げるために、例えば、道路交通セクターを加えるなどの分野拡大も今後の検討課題とすべき。
- 2)APPで得られた経験と成果は、国連気候変動枠組条約における2013年以降の新たな次期議定書構築にも積極的に活用していくべき。我が国が国連交渉の場で提案している「技術協力アドバイザリー・グループ」は、APPの経験を踏まえたもの。
- 3)長期的に温室効果ガスを削減するには、革新的技術の開発と普及が鍵。重要技術分野における革新的技術の開発などで協力が行われているエネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)との連携強化を積極的に検討すべき。
(2)APPの活動状況について、政策実施委員会の議長から、前回のニューデリー会合以降の各タスクフォースの進捗状況について説明が行われた。その後、APPの取り組みを象徴するものとして、前回閣僚会合において100を超えるプロジェクトの中から選定されたフラッグシップ・プロジェクトに関するレビュー結果について豪州代表から説明があった。
(3)最後に、今回の閣僚会合を総括し、次の趣旨からなる「上海コミュニケ」(別紙2(PDF)
)(別紙3 仮訳)を公表することが合意された。
- 1)APPの下で、これまでに22のフラッグシップ・プロジェクト、175のプロジェクトを承認。本パートナーシップは、官民によるセクター別協力の先駆的な取り組みであり、国際協力の恩恵を示す例。
- 2)本パートナーシップは、国連気候変動枠組条約における原則等と調和したものであり、京都議定書を補完するものであることを再確認。本年12月のコペンハーゲンにおける成功のために協力。
- 3)2009年7月のMEF首脳宣言にあるグローバル・パートナーシップを含む多様なイニシアチブとの協力の必要性など、APPの下での協力を強化する方策ついて検討。
- 4)政策実施委員会に対して、協力の強化に向けて、次の要請を行う。
- イ)ファイナンス、技術の開発と移転、ベストプラクティスと政策手法に関する意見交換、キャパシティビルディング及び民間とのパートナーシップといった取組みを強化するために議論を継続。
- ロ)今回示されたフラッグシップ・プロジェクトと問題に関する分析についての考慮。
- ハ)他のセクター、例えば交通分野に活動を拡大することについての検討等。
III 評価
(1)COP15の直前であるこの時期に、前回のインドに引き続き、中国が閣僚会合を主催したことは、APPに対する中国・インドのポジティブな評価を示すものである。
(2)今日の会合及び前日に行われた非公式閣僚意見交換会において、鳩山総理のリーダーシップに高い評価のコメントが寄せられるとともに、鳩山イニシアティブについて強い関心が示された。
(3)今回の会合は、米国オバマ新政権発足後に開催される初めての閣僚会合であり、米国を含む全ての国からAPPの取組みが重要である旨発言があり、官民が協調しセクター毎にプロジェクトを実施していくAPPの活動のあり方の有益性が改めて再確認されたことは、これまでAPP活動をリードしてきた我が国にとって評価できる。
(4)さらに、今回の会合では、国連気候変動枠組条約やMEFなど様々な活動との連携について検討が行われ、政策実施委員会に対しては、交通分野等への拡大など今後の活動強化に向けた検討を行うよう要請が行われた。次回の政策実施委員会は我が国での開催となることも踏まえ、その成果が2013年以降の次期枠組みに適切に反映されるよう、今後、我が国としても積極的に対応していくことが必要。
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