平成19年10月15日
日本政府代表団
1. クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)の第二回閣僚会合が、10月15日、インドのニューデリーにおいて開催された。参加国は、日本、豪州、カナダ、中国、インド、韓国、米国の7ケ国。我が国からは、中野経済産業副大臣を代表として、外務省、経済産業省、環境省及び産業界から総勢34名が出席。なお、今回、カナダが正式メンバーとして承認された。
(注1)APPは、世界のCO2排出量の半分以上を占める7ケ国が取り組む実効性のあるパートナーシップ。
2. 各国から外務、エネルギー、環境を担当する閣僚級に加え、幅広い産業分野のトップクラスも参加して、第一回閣僚会合(2006年1月、シドニー)以降の進捗状況を確認すると共に、今後の取組の強化について議論した。
3. 8つのタスクフォース(注2)の下で実施しているプロジェクトは、現在110件となっており、各タスクフォースの代表者が18件のフラッグシップ・プロジェクト(注3)の進捗状況について説明の上、議論を行った。
(注2)アルミニウム、発電・送電、鉄鋼、セメント、建物・電気機器、石炭鉱業、再生可能エネルギー・分散型電源、よりクリーンな化石燃料
(注3)プロジェクトの中で特に象徴的なもの
4. 中野経済産業副大臣は、カントリー・ステートメントにおいて、「我が国は、鉄鋼及びセメント・タスクフォースの議長を務めるとともに、46件のプロジェクト、12件のフラッグシップ・プロジェクトに参加し、APP活動に積極的に貢献している」こと、「APPは着実に進展しており、このような成果を適切に評価し、APPが実践しているセクター別アプローチの有効性を示していくことが重要である」ことを強調した。
5. こうした議論を踏まえ、以下の内容のコミュニケがとりまとめられた。
(1) 21ケ月という短期間で多くの成果を得たことにより、APPの革新的なアプローチの有効性が証明された。
(2) 成功の鍵となったのは、参加国の省庁間の相互協力と官民協力である。
(3) 関心を有する国際機関との関係を強化する。
(4) 引き続き協力関係を強化し、2009年に再び閣僚会合を開催する。
(1) 日時:2007年10月15日(月曜日)
(2) 場所:モーリヤ・シェラトン・ホテル(インド・ニューデリー)
(3) 参加者:我が国をはじめ、豪州、カナダ、中国、インド、韓国及び米国の7ケ国から、外務、エネルギー及び環境の担当閣僚級と幅広い産業分野のトップクラスが参加した。我が国からは、中野経済産業副大臣が出席し日本政府の代表を務めた。また、外務省、経済産業省、環境省及び電力、鉄鋼、セメント等の産業界から総勢34名が参加した。(別紙1)(PDF)
(4) 会議の目的:
参加国の閣僚級が、フラッグシップ・プロジェクトに代表される8タスクフォースの進捗状況を第一回閣僚会合(昨年1月、シドニー)以降初めて確認し、APPが着実に進展していることを評価するとともに、今後の協力強化について確認する。また、各国の産業界からの参加者も一堂に会することにより、多国間官民パートナーシップの強化に努める。
(注)APPは、世界のCO2排出量の半分以上を占める7ケ国が取り組む実効性のあるパートナーシップ。
(1) カントリー・ステートメント
1) カントリー・ステートメントにおいては、各国が、APPの下で行う各プロジェクトの実施状況、CO2削減に係る国内政策等について説明すると共に、官民パートナーシップに基づく活動の有効性について意見が述べられた。
2) 中野経済産業副大臣は、次の点を強調した。
a.我が国は、110件のプロジェクトのうち46件に、また、18件のフラッグシッププロジェクトのうちの12件に参加する等、APP活動に積極的に貢献している。
b.官民協調の下で実効性のある取組を実施することにより、地球温暖化などの困難な課題に対応することがAPPの特徴である。
c.各タスクフォースが実行しているプロジェクトの多くは着実に進展しており、このような成果を適切に評価し、APPが実践しているセクター別アプローチの有効性を示していくことが重要である。
d.省エネルギー等の技術を保有している産業界の協力無しにはAPPのプロジェクトの推進は有り得ない。
(2) 主要議事
1) 政策実施委員会の議長から、現在8つのタスクフォースにおいて110件のプロジェクトが実施中であること等、APPの進捗状況について説明が行われた。第一回閣僚会合以降の当該プロジェクトの実施状況について説明があったところ、各プロジェクトについて、ベストプラクティスの把握、技術の開発・普及・移転等が重要であるとの認識が示された他、今後も、7ケ国の官民の協調関係の強化に努めるべきとされた。
2) 各タスクフォースの代表者から、18のフラッグシップ・プロジェクト(注2)の進捗状況について説明が行われた。我が国が議長を務める鉄鋼及びセメント・タスクフォースについては、以下の点を強調した。
a.鉄鋼タスクフォースでは、省エネルギー効果の大きな10個の技術を抽出し、これが6ケ国に普及した場合、合計で1億3千万トンのCO2削減効果があることを示した。こうしたポテンシャル評価は、セメント・タスクフォースでも進められている。
b.削減ポテンシャルを実現するため、インド及び中国の製鉄所やセメント工場を対象に、我が国産業界の協力を得て「省エネ診断プロジェクト」を進める。
(3) コミュニケ要旨
1) 第1回閣僚会合以降の21ヶ月という短期間で多くの成果を得た。APPの下で実施されているプロジェクトは110件に及ぶ。また、この中からAPP活動の多様性を示す18件をフラッグシップ・プロジェクトとして選定した。
2) カナダが7番目の参加国となったことを歓迎する。
3) この成果によって、気候変動、エネルギー安全保障、持続可能な開発という課題に同時に取り組むAPPの革新的なアプローチは、その有効性が証明された。
4) 成功の要となったのは、過去に例を見ないAPP参加国の省庁間の相互協力、官民連携である。
5) これまでに採択されたプロジェクトは、部門(セクター)別の評価、ベストプラクティスの特定、人材育成、技術開発、技術実証等の活動に主眼が置かれており、こうした活動は今後も我々の根幹であり続ける。
6) 我々は、国際機関がAPPとの連携について関心を表明していることを歓迎し、将来的にこれらの組織との関係を強化したい。
7) 我々は、引き続き協力関係を強化し、2009年には再び閣僚会議を開催する。
(4) 参考:
(1) 参加各国の閣僚が、APP活動の進展を確認し、セクター別の官民連携による多国間パートナーシップを特徴とするAPPの活動を今後とも維持、強化していくことの重要性について認識を共有したことは大きな成果。
(2) 46件のプロジェクト、12件のフラッグシップ・プロジェクトに参加する等、我が国の積極的な貢献について各国から評価。また、我が国が議長を務める鉄鋼及びセメント・タスクフォースについては、CO2削減ポテンシャルを評価しつつ、削減ポテンシャルを実現するための効果的な技術協力を指向しているところ、このようなアプローチについて各国から高い評価を受けた。
(3) 今回の閣僚会合をインドがホストしたことは、APPに対する同国の積極姿勢を示唆したものであり、今後のタスクフォースにおけるインドの積極的な対応に期待。更に、本会合に参加した国際エネルギー機関(IEA)、アジア開発銀行との今後の協力強化にも期待。
(4) また、京都議定書を批准した先進国として共通の立場にあるカナダの参加は、APPの取組を活性化するのみならず、気候変動条約交渉の場における緊密な協力にもつながる。
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