地球環境

国連気候変動に関する特別作業部会 結果の概要

平成22年4月11日
日本政府代表団

  1. 4月9日(金曜日)から4月11日(日曜日)、ドイツ・ボンにおいて国連気候変動に関する特別作業部会が開催され、我が国から外務省、農林水産省、経済産業省、環境省の関係者が出席した。
  2. 今回の会合は、コペンハーゲンにおける国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)及び京都議定書第5回締約国会合(CMP5)後の初の会合であり、2010年の会合日程や議論の進め方等について、気候変動枠組条約の下の特別作業部会(AWG-LCA)及び京都議定書の下の特別作業部会(AWG-KP)において議論された。
  3. 議論の結果、両特別作業部会において結論文書が採択され、会合日程に関して、両特別作業部会は5~6月の補助機関会合(SB)の際に並行して開催され、その後COP16(11月29日~12月10日、於:メキシコ・カンクン)までの間に2回(それぞれ最低1週間)開催されること等が決められた。また、議論の進め方に関しては、次回会合までにそれぞれの議長がCOP15での作業の結果(AWG-LCAについては「コペンハーゲン合意」を含む。)を踏まえて交渉を促進するためのテキストを作成すること等が決定された。
  4. 主な議論は以下のとおり。
    1. (1) COP15の成果については、先進国のみならずコロンビア、ペルー等を含めた多くの国が「コペンハーゲン合意」の作成を含めた意義を強調する一方で、ALBA諸国(ボリビア、ベネズエラ等)は同会合を失敗と見なすなど、途上国内でも見解が分かれた。COP16に向けては、コペンハーゲンの会合を踏まえ、包括性・透明性を確保した形で議論していくことの重要性が指摘された。
    2. (2) AWG-LCAでは、今後の交渉の基礎とするテキストには「コペンハーゲン合意」の要素を含めるべきであるとする先進国を含む多くの国々と、今後の交渉の基礎に「コペンハーゲン合意」を含むべきでないとする中国、インド、ALBA諸国等一部途上国の間で対立が見られた。最終的には、議長は自らの責任で交渉を促進するためのテキストを作成すること、同テキスト作成にあたってはCOP15での全ての作業の結果を踏まえることで認識が一致した(注:AWG-LCA議長は、「COP15での全ての作業の結果」には「コペンハーゲン合意」も含まれるとの理解であるとの点を会合の場で明言。)。また、フランス及びノルウェーから、REDDの早期実施に向けた閣僚級会合の開催(次回は5月27日、オスロ)についての言及があった。
    3. (3) AWG-KPでは、附属書Ⅰ国の削減約束について分析を進めるべきとする途上国と、そのような議論は米国や途上国の削減行動も含めてAWG-LCAにおいて進めるべきとする我が国等の先進国で対立が続いた。また、途上国からは、カンクンで京都議定書の附属書Bについての改正を採択し、先進国の第二約束期間における義務を定めるべきといった従来の主張が繰り返された。なお、日本、EU等の強い主張により、AWG-KPの議長が附属書Ⅰ国の削減目標に関する情報についてAWG-LCA議長と話し合い、当該情報を締約国に提供することが結論文書に盛り込まれた。
    4. (4) 5~6月の補助機関会合とカンクンにおけるCOP16までの間の追加会合の回数については、途上国側は3回以上等多くの回数を主張したのに対し、先進国側は議論を実質的に進展させることが重要とし、多くの開催については否定的であった。最終的には2回の会合の開催(それぞれ最低1週間)で決着をみた(注:具体的開催時期、場所等については今後決められる。)。
このページのトップへ戻る
目次へ戻る