地球環境

クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)
第7回政策実施委員会(PIC)
- 概要と評価 -

2009年5月20日
日本政府代表団

I. 会議概要

(1)日時:22009年5月19日(火曜日)~20日(水曜日)

(2)場所:オーストラリア・ゴールドコースト

(3)参加者:我が国をはじめ、豪州、カナダ、中国、インド、韓国及び米国の7カ国から、政府関係者及び民間関係者が出席。我が国からは、西村内閣官房参与、本部資源エネルギー庁次長、島田環境省国際調整官等が出席した。各国からの主な出席者は別紙(PDF)PDFのとおり。

II. 主要議事と結果

(1)各国のステートメントが発表され、我が国を代表し西村内閣官房参与から、未来開拓戦略における低炭素革命や省エネ法改正によるセクター別アプローチの導入、クールアースパートナーシップに代表されるようにあらゆる資金源を導入し技術移転に向け途上国支援を継続していることなど地球温暖化対策に関する最新動向を紹介の後、鉄鋼及びセメントTFにおける日本のAPPに対する貢献を紹介し、日本から提案の道路交通セクター新設については引き続き検討が必要であることを強調した。

 またAPPはこれまで、各国の状況の多様性を考慮し各セクター固有の課題に向けた現実的な対策を官民の協力によって積み上げており、それらの成果は、今後の低炭素社会に向けた各国の政策や莫大な投資に反映されるべきであり、更に、このような経験はコペンハーゲンにおける次期枠組みの議論が進む中で、その要素としても取り入れられていくべきことを訴えた。

(2)8つのタスクフォース(TF)議長から活動状況を報告し、意見交換を行った。我が国が議長を務める2つのTFのうち、鉄鋼TFからは、主要技術が普及した場合のCO2削減ポテンシャルが加を含めAPP7ヵ国合計で1.29億トンであること、中期目標設定の方法論の基本的な考え方として、エネルギー効率を指標とすることなどを主旨としたセントルイス・アグリーメントが採択されたこととともに、セクターにおける国別目標の設定を国連次期枠組み交渉における目標設定と切り離すことは難しいとの共通認識があったことを説明した。

 また、セメントTFからは、CO2排出量算定に向けたキャパシティビルディング・セミナーを実施したこと、中国やインドに対して省エネ・環境診断を実施したこと、省エネ・省資源に関する主要技術集を公表したことを説明した。

 更に、建物及び電気機器TFから提案されたニアゼロエミッションビルに関する国際連携プロジェクト(リード国:加、参加国:日、米、中、豪)を含む5つのプロジェクトが新たに認められた。

(3)APPの今後の活動については、全ての国がこれまでのAPPの取組を評価するとともに、地域性や官民協力、セクター別に特徴づけられるユニークなAPPの取組を維持していくことが重要との意見が出された。その後、今後の発展の方向性について活発な議論が行われた。

 議論の中で、APPの活動と国連次期枠組み交渉との補完的な関係についてより明確にしていくこと、これまでのデータ収集、ポテンシャル分析から、削減効果をともなう技術移転プロジェクトに拡大して行くことが重要であり、そのためにはAPPの取組を各種資金メカニズムに結びつけて、持続可能なメカニズムを作っていくことが鍵である旨が確認された。なお、我が国からは、鉄鋼TFにおいて、中印に対する省エネ・環境診断結果を踏まえた技術移転と資金支援を結びつけるためにJBICと協力を行っている状況について紹介した

 また、APPが各国の低炭素化への構造変革(Transformation)に関与していくことが必要であり、今後その方向で検討していくことになった。

(4)次回の閣僚会合については、再度、中国から今年の10月末から11月初めの間に開催する意向が表明され、各国から賛同を得た。今後、国連次期枠組み交渉の機会等を活用しながらアジェンダ設定や開催地の決定など、会合に向けた準備を進めていくこととなる。

III. 評価

(1)各TFの運営と成果に対し、各国が高い評価を示した。鉄鋼TFからは、目標設定の方法論の基本合意として、エネルギー効率を指標とすることを主旨としたセントルイス・アグリーメントが採択されたことを説明し、また、セメントTFからは、中国やインドに対して省エネ・環境診断を実施したことを説明し、これらの定量評価やセクター毎のベンチマークの設定が有効な取組であると評価を受けた。

(2)APPの将来について、全ての国からAPPの取組が重要である旨発言があり、官民が協調しセクター毎の課題に対応してプロジェクトを実施していくAPPの活動のあり方の有益性が再確認された、今後も活動を続けることの重要性が確認されたことは、APP活動をリードしてきた我が国にとって評価できる。今後は、資金メカニズムとの連携、道路交通タスクフォースの設置などの新たな活動、これまでのTF活動の整理・統合の際に低炭素化への構造変革を促すようにしていくことが必要となる。

(3)中国が第3回閣僚会合を積極的に誘致し開催することはAPP活動のモメンタムが維持・加速されたことを意味し評価される。こうした中で、APPのユニークな官民協調によって得られた経験や知識を2013年以降の次期枠組みに適切に反映させることにより、地球温暖化対策の推進に寄与することが期待される。

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