2008年10月30日
日本政府代表団
(1)日時:2008年10月29日(水曜日)~30日(木曜日)
(2)場所:カナダ・バンクーバー
(3)参加者:我が国をはじめ、豪州、カナダ、中国、インド、韓国及び米国の7カ国から、政府関係者及び民間関係者が出席。我が国からは、環境省竹本地球環境審議官、経済産業省本部資源エネルギー庁次長、外務省、国土交通省及び産業界等が出席した。各国からの主な出席者は別紙(PDF)のとおり。
(1)各国のステートメントが発表され、我が国からは竹本地球環境審議官がG8の結果の報告及び本年7月に閣議決定された「低炭素社会づくり行動計画」を紹介し、我が国のAPPへの貢献、道路交通セクターのタスクフォース提案等について説明した。
(2)8つのタスクフォース(TF)議長から活動状況を報告し、意見交換を行った。我が国が議長を務める鉄鋼及びセメントTFからは、ベンチマークを設定し、削減ポテンシャルの特定や第三者によるデータ収集・分析を進めていること、かかる収集・分析を進める上ですべてのパートナー国の協力が必要であること、中国やインドに対して省エネ・環境診断(専門家を派遣し、適切な省エネルギー及び環境技術移転及び管理に向けたアドバイスや提案を行う)を実施したこと、また、こうした活動を通じ技術普及を図っていくことが重要であることを説明した。
(3)道路交通セクターについては、7カ国の参加を得て、本年9月18日、19日に日本でワークショップを開催したことを報告し、その内容・成果について各国から高く評価された。また、道路交通セクターの重要性について各国から前向きなコメントが多く寄せられた。他方、現在は自動車業界の業況が悪く、産業界の参加のためには、状況を見極めてこの取組を進めることが必要であること、政権移行期でもあり、詳細はまだ判断がつかない等の発言があった。議論の結果、次回PICに向けて意見交換を更に深めていくことで合意した。
※9月のワークショップは前回PIC(シアトル:本年5月)での合意に基づき実施したもので、7カ国から総勢37名の参加があった。
(4)TFに参加する産業界からAPPの効果や技術移転の実績・課題について報告し、意見交換を行った。我が国からは、セメント、鉄鋼、発電、自動車業界が参加し、中国やインド等への技術移転について報告を行った。技術移転の状況も含め、APPが国内及び国際的な官民協力に果たしているプラスの効果について、各セクターの産業界から報告がなされた。インドや米国からは、技術移転促進に向けた障壁の特定が困難であり、その点でAPPが果たす役割が重要であるとのコメントがあった。日本の産業界からは、エネルギー・環境の分野では知的財産権の問題は技術移転の障壁とはなっておらず、商業ベースでの技術移転をさらに円滑に進めるための環境づくりや支援を行うことが重要であることが紹介された。一方、中国やインドからは、具体的に問題となった事例についての言及はなかったものの、気候変動問題の解決に向けて、技術移転を通常の商業ベース以上に促進するための方策に関する議論が重要であるとの指摘があった。本件に関しては、各TFで技術移転の加速化に向け、障壁を幅広く精査し、特定していくこととなった。
(5)ベンチャーキャピタル等の民間金融機関からクリーン技術に関する民間資金の活用について報告し、意見交換が行われた。
(1)各TFの運営と成果に対し、各国が高い評価を示した。特に、発電及び送電TFにおける、既存石炭火力発電所の運用・保守の改善によるCO2排出量削減ポテンシャル試算を始め、鉄鋼やセメントTFで取り組んでいるCO2の定量評価及びベンチマークの設定が有効な取組であると評価を受けた。また、アルミニウムTFや建物及び電気機器TF、再生可能エネルギー及び分散型電源TF等における国際産業連盟や国際機関及び民間投資機関との連携についても、APPの活動を展開させる良い例であると評価された。
(2)技術移転の加速化に向け、各TFでセクター毎に具体的な障壁を特定していくことの重要性を各国で共有したことは評価できる。
(3)日本で開催したワークショップの成果として、道路交通セクターの対策に取り組むことの重要性について、各国が共有するところとなったことは評価できる。
(4)来年5月に豪州(キャンベラ)で第7回政策実施委員会を開催することを決定した。なお、中国やインドをはじめとする各国とセクター別アプローチによる協力を進めることは、2013年以降の次期枠組みに関する国際交渉において、これらの国々の削減努力を引き出すことにつながることから非常に重要であり、我が国としては引き続き積極的に貢献することが必要である。
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