地球環境

International Union for Conservation of Nature

令和8年4月13日

1 名称

 International Union for Conservation of Nature [自然及び天然資源の保全に関する国際同盟(通称:国際自然保護連合)]

2 本部

 スイス・グラン(ジュネーブ郊外)

3 設立

 1948年

4 団体の性格

 スイス民法に基づき設立された社団法人

5 代表者

会長 ラザン・アルムバラク(アラブ首長国連邦)
事務局長 グレテル・アギラール(コスタリカ)

6 目的と活動

  1. 自然及び天然資源の保全に関わる国家、政府機関、国内及び国際的非政府機関の連合体として、全地球的な野生生物の保護、自然環境・天然資源の保全の分野で専門家による調査研究を行い、関係各方面への勧告・助言、開発途上地域に対する支援等を実施している。
  2. 特に、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)とラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)とは、関係が深い。ワシントン条約については、附属書改正提案の検討に際し、締約国の意思決定に資する科学的な情報提供を行っている。また、ラムサール条約においては、事務局業務を担っている。
  3. 1999年の第54回国連総会において国連総会オブザーバー資格を取得した(我が国も本件決議案の共同提案国としてIUCNの国連総会オブザーバー資格の取得を支持した)。

7 会員

 国家会員、政府機関会員、地方政府会員、非政府機関会員、先住民組織等に分かれる。2026年4月現在、90の国家会員、112の政府機関会員、32の地方政府会員、31の先住民組織、96の国際非政府機関会員、1133の非政府機関会員、39の先住民組織等が加盟。

8 専門委員会

 IUCNは、世界中の生物多様性の保護に取り組む専門家からなるボランティアネットワークである7つの専門委員会(種の保存委員会、世界保護地域委員会、生態系管理委員会、教育コミュニケーション委員会、環境経済社会政策委員会、環境法委員会、気候アクション委員会)を有している。これらの委員会には、科学と学術分野における専門家がメンバーとなっている。これらの委員会は、自然保護に関する情報の収集、統合、管理、知識の共有といったIUCNの核となる活動に貢献している。

9 レッドリスト

 IUCNの種の保存委員会(Species Survival Commission:SSC)は毎年「絶滅の恐れのある生物リスト(以下レッドリスト)」を作成している。最新版(2025-2版)では、IUCNレッドリストデータベースに登録されたものは172、620、種、うち48、600、種以上が絶滅危惧種と評価されている。

10 我が国の取組み

(1)我が国の加盟状況

 我が国政府は1995年6月に国家会員として加盟。その他政府機関会員として環境省(1978年9月加盟)が、非政府機関会員として国内16NGO団体が加盟。

 2025年10月から𠮷中厚裕酪農学園大学教授がIUCN地域選出理事を務めている(任期は4年)。歴代の我が国出身理事は以下のとおり。

1994年~2000年
:堂本暁子元千葉県知事(兼IUCN副会長)
2000年~2008年
:赤尾信敏元駐タイ大使
2008年~2012年
:小池寛治元駐オランダ大使
2012年~2013年
:北島信一元駐ジュネーブ代表部大使
2013年~2021年
:堀江正彦元駐マレーシア大使
2021年~2025年
:星野一昭NPO法人日本湿地保全連合会長
2025年~
:𠮷中厚裕酪農学園大学教授

(2)会議への参加

  1. 1994年1月にブエノスアイレス(アルゼンチン)で開催された総会に、我が国はオブザーバーとして参加。
  2. 1996年10月にモントリオール(カナダ)にて第1回世界自然保護会議(IUCN総会)が開催され、我が国は国家会員として初めて参加。地球規模、各地域、国における生態系保全、エネルギー、漁業、地球環境関連各条約等の決議を採択。
  3. 2000年10月には、アンマン(ヨルダン)で第2回世界自然保護会議が開催され、環境保全、野生動植物の保護等に関する決議を採択。
  4. 2004年11月には、バンコク(タイ)で第3回世界自然保護会議が開催され、「生態系管理」、「健康、貧困及び自然保全」、「生物多様性の損失と種の絶滅」、「市場、ビジネス及び環境」の4つの大きなテーマの下、約460のワークショップやシンポジウム等が開催されたほか、100本以上の決議・勧告案の審議・採択等が行われた。
  5. 2008年10月に、バルセロナ(スペイン)で第4回世界自然保護会議が開催され、「多様性があり持続可能な世界」というテーマの下、800以上のワークショップやシンポジウムが開催された(環境省は日本自然保護協会と共催で"SATOYAMAイニシアティブ"の普及啓発を目的としたシンポジウムを開催。)。また、生物多様性保全等に関する136本の決議・勧告が採択された。
  6. 2012年9月に、済州島(韓国)で第5回世界自然保護会議が開催され、「Nature+」というテーマの下、550以上のワークショップ、イベント等が開催され、180本以上の決議・勧告が採択された。環境省は、生物多様性や三陸復興国立公園に関するワークショップやサイドイベントを開催した。
  7. 2016年9月に、ホノルル(米国)で第6回世界自然保護会議が開催された。同会議は、経済、福祉、生存を支える生態系が崩壊しつつあり、生物が空前のスピードで絶滅、気候変動により地球が危機にあるとの状況認識の下、2015年に採択された「アジェンダ2030:持続可能な開発目標(SDGs)及び気候変動枠組条約に関するパリ合意を行動に移すべきとの観点から「岐路に立つ地球」というテーマの下で開催された。会期中には900以上のワークショップ、イベント等が開催され、106本の決議が採択された。環境省は、日本の温泉の多様性ついての社会・文化イベント「温泉いろいろ!愉しみいろいろ!」やポスターセッションなどのサイドイベントを開催した。また、シンガーソングライターのイルカIUCN親善大使が自然保護への貢献者に対する表彰式においてIUCNの歌を歌唱した。
  8. 2021年9月に、マルセイユ(フランス)で第7回世界自然保護会議が開催された。新型コロナウイルスからの復興、生物多様性の危機、気候変動の3点を軸とした、IUCN世界自然保護会議で議論されたメッセージを取りまとめて「マルセイユ・マニフェスト」として発出された。同マニフェストには、自然に対する投資の増加や野心的なポスト2020生物多様性枠組を通じて生物多様性の損失の食い止め、自然を活用した解決策(Nature-based Solutions)を活用して気候変動へ対応していくことなどが盛り込まれた。シンガーソングライターのイルカIUCN親善大使が動画出演し、IUCNの歌を各国の参加者に披露した。事前のオンライン投票にかけられなかった生物多様性保全等に係る計28件の動議とIUCNのガバナンスに係る11件の動議が採択された。環境省はイベントやポスター展示を通じて保護地域や生物多様性について我が国の取組を発信した。
  9. 2025年10月に、アブダビ(アラブ首長国連邦)で第8回世界自然保護会議が開催された。国際社会に向け、自然、地球及び人類の未来に向けた以下の5つの主要な方向性について、緊急かつ実践的で影響力のある行動を促進するよう呼びかける「Abu Dhabi Call to Action」を発出した。事前のオンライン投票に掛けられなかった生物多様性保全等に係る39件の動議とIUCNのガバナンスに係る4件の動議、8件の緊急動議が採択された。環境省はイベントでの登壇を通じて、日本のOECM(保護地域以外で生物多様性保全に資する地域)やNbS(自然を活用した解決策)の取組等を発信した。

(3)IUCNに対する我が国の拠出

2026年度
国家会員会費(義務的拠出金、外務省予算) 93,110千円(526,040スイス・フラン)(この他、環境省が政府機関会費拠出。)

(4)IUCN日本委員会(IUCN-J)

 IUCN日本委員会は、IUCNに加盟する日本国内の団体間の連絡協議を目的として1980年に設立され、2001年10月にIUCN理事会において正式な国内委員会として承認された。2025年4月現在、IUCN日本委員会は、国家会員1(外務省)、政府機関会員1(環境省)及び18の非政府機関会員からなっており、日本自然保護協会の道家 哲平氏が会長を務め、事務局は(公益財団法人)日本自然保護協会内におかれている。

(5)親善大使

 IUCNの認知度を上げ活動支援を強化することを目的に、2004年7月にシンガーソングライターのイルカ氏がIUCN初の親善大使に任命された。イルカ氏は2004年、2008年、2012年及び2016年の第3回から第6回世界自然保護会議に参加したほか、2005年以降にIUCNの活動をアピールするためのコンサートを開催(於:山梨、大阪)するなど、積極的な活動を続けている。2014年には、10年にわたる親善大使としての活動等・芸術活動を通じて国際的な自然環境保全活動に多大な寄与をしたとして、外務大臣表彰が授与された。


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